ラテラルシンキング流「本の読み方」

売り悩む百貨店の企画課で働く入社5年目女子の前に突然現れたキツネ。
キツネのずるがしこさに翻弄されていくうちに、ラテラルシンキングが身につき、仕事も人生も家族もうまく回りだす。7万部突破「ずるい考え方」のマンガ化！

2021年1月10日発売『まんがで身につく ずるい考え方』（ 木村 尚義 著 ／星井 博文 シナリオ ／たかうま創 イラスト）の著者の木村 尚義 氏によるコラムを連載！

まずは、古典的ななぞなぞです。

象を一頭食べるにはどうしたらいいでしょうか。
答えはいくつあっても歓迎
仮にという頭の中だけのお話なので、象を食べると条約違反になるだとか、かわいそうという考慮は不要です。

答えはいくつでも構いません。
突拍子のない答えでもOK。一見くだらないと思えるような考え方こそ大歓迎なのです。普段は考えないようなくだらない考え方こそ、発想の枠を超えられます。
いかにたくさんの答えが出せるかという点が、ラテラルシンキングです。

いかがでしたか？
いくつ答えられましたか。

答えの例

●雑（ゾウ）煮にして食べる。

●象そっくりの形にパンを作って食べる。

●ビデオで像を映しながら、その手前で口をあけてパクッと食べたフリをして撮る。

●一人で食べているなとは、いわれなかったから、象パーティを開催してたくさんの人で食べる。

●象を切り分けて少しずつ食べる。

言葉の通り素直な答えとして「少しずつ食べる」を掘り下げましょう。

１．ナイフとフォークを持つ
２．一口大に切って口に入れる
３．よく噛んで食べる

答えを聞くと「へー、知らなかった」という人と「そんなの知っているよ」という人、「なるほど、そうすればいいのか」という３通りの人がいるという話。
「ビジネススーツの袖ボタンが、なぜ生まれたか」を例にして、本書で説明した通りです。

2番めの「そんなの知っているよ」っていうだけの人は、もったいない本の読み方をしています。

これだけネットに情報があふれていれば、いくらでも知識は手に入ります。
だから「そんなの知っているよ」は自慢になりません。
実はこの答え、象を食べる方法という検索キーワードで探すといくらでも出てきます。

知っている知識を応用してこそ役立てられます。応用して出てきた答えは検索できません。
大いにネットで情報検索して、得られた知識を応用すれば、3番目の「なるほど。そうすればいいのか」という人になるわけです。

本の読み方のキモは、この3番目の人を目指すことです。

「象を食べる話」を解説

一言でいえば、大きな問題に遭遇したら、細分化して少しずつ解決するということ。

１．ナイフとフォークを持つ
象を切り分けるのに必要な道具を揃える。大げさな道具や小さすぎる道具では切り分けられません。ちょうどよい道具を過不足なく用意します。

２．一口大に切って口に入れる
自分の処理できる範囲に限定する。別の言い方をするなら、自分がコントロールできることだけに集中します。　

３．よく噛んで食べる
確実にこなすこと。順番を考えて一つ一つ消化します。象は有限であるという点もミソです。

まとめると、
大きな問題に遭遇したら、必要な内容をリストアップする。
リストは有限なので一つずつこなしていけば問題はいずれなくなる。

象を食べるの別の例
この象を食べる方法「少しずつ食べる」以外も解説しましょう。

●雑（ゾウ）煮にして食べる。
別の概念に使えないだろうか。
　例）織田信長の時代、褒賞の与える領地がなくなってしまった。そこで茶湯の碗は領地と同じ価値があるとした。

●象そっくりの形にパンを作って食べる。
単純に形状を真似られないか。
　 例）江戸時代には富士山は江戸町内からは見えても遠い山。行くのは大変なこと。ならばと、地元に富士塚をつくって富士登山の代わりとした。

●ビデオで像を映しながら、その手前で口をあけてパクッと食べたフリをして撮る。
見せ方で工夫できないか。
　 例）特撮映画では本物は使えません。ＣＧを駆使して工夫できないか。

●一人で食べているなとは、いわれなかったから、象パーティを開催してたくさんの人で食べる。
他者と共通目的の協力体制を築けないか。
　例）映画の製作委員会やクラウドファンディングなど。
　
ここでは、正解は求める必要はありません。
勘違いでも構わないのです。
あなた自身の問題を解決できればそれでいいのです。現実に使える方法を思いついたら、それが正解です。

これってビジネスでも使えると思いませんか？
ということで次回は、ビジネスでこの考え方を応用してみます。

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