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ずるいソバ屋

売り悩む百貨店の企画課で働く入社5年目女子の前に突然現れたキツネ。
キツネのずるがしこさに翻弄されていくうちに、ラテラルシンキングが身につき、仕事も人生も家族もうまく回りだす。7万部突破「ずるい考え方」のマンガ化!

2021年1月10日発売『まんがで身につく ずるい考え方』( 木村 尚義 著 /星井 博文 シナリオ /たかうま創 イラスト)の著者の木村 尚義 氏によるコラムを連載!


都会ではドラッグストアが日夜、安売り競争を繰り広げています。
そんなとき、ある都市のドラッグストアでは値上げしたところ、外国人観光客の爆買いを引き入れることに成功しました。


<ヒント>
その手法は商品を値上げした代わりに、少しポイント還元率を高めました。
他のドラッグストアはポイント還元ではなくて、商品そのものを大幅に値引いています。

本書の第4章は主人公の品田杏奈の実家である神社を復興する話です。
そこで神社の儲け手法をアナタの業界でも使えるように抽象化してお伝えしました。とはいえ、自分の業界と神社とはまるっきり違うから参考にならないという方もいらっしゃるでしょう。

そこで、よく見かける飲食店ビジネスをアタナの業界で使えるように紹介します。

駅ソバって食べたことありますか?
いわゆる駅のホームにある立ち食いソバです。
自動券売機で購入するタイプ。
商品ラインナップを見ると16種もあります。

メニューは次の通り
1.冷かけ天玉  440円
2.温かけ天玉 430円
3.冷かけ玉子  340円
4.温かけ玉子 330円
5.冷かけ天ぷら 390円
6.温かけ天ぷら 280円
7.冷かけ 290円
8.温かけ 280円
通年このメニューで冷かけは、冷たい汁に氷が入っています。

え? 8つしかない?


実は、それぞれ、ソバとウドンがあるのです。
だから、16種。

もっと言うと、大盛りは別ボタンを押す仕様になっていて100円増し。
だから、ソバ、ウドンにそれぞれ大盛りもカウントすれば、なんと32種類。
だから、一番料金設定が高い設定は「大盛り冷かけ天玉は540円」ということになります。
よくよく見ると、玉子が50円の設定で天ぷら(かき揚げ)100円だから、単純に天玉は150円増し。
別に割引になっているわけでもない。
自販機前で熟考する訳にもいかないので、払ってしまいますね。

ずるいソバ屋の商品ラインナップは32種もあるのです。
でも、原料はどうかと言えば……
1.そば
2.うどん
3.温かいつゆ
4.冷たいつゆと氷
5.玉子
6.天ぷら

ね、これ、たったの6種しかない。
この6種類を組み合わせて、32種類もの商品を生み出しているのです。
でも、材料は6種類。
天ぷらを揚げると、副産物で揚げ玉が出てくるので、将来はタヌキも加わるかもしれません。

アナタの業界では、扱う商品が1つしかないかもしれません。
でも、1つだとお客さんからすれば、自分が選択した気分になれません。
一つだけ見せられて買うか買わないかYES/NOを迫られることになります。
そこで、ずるいソバ屋方式を使えば商品点数を増やせるのです。

【冒頭 クイズ答え】
現地コーディネータにメリットがあるから。
外国人観光客が帰ったらポイントは使えません。
そのため現地コーディネータのチップとしてポケットに入るようになりました。
簡単に言えば、ワイロですね。
当然、外国人客は商品そのものが安い方がうれしいのですけれど、現地コーディネータが連れて行ってくれません。

やりすぎると失敗する例。
ポイント還元は会員にならないとメリットがありません。そこで初来店のお客様には常連さんの店だと思われてしまいます。




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