キツネが口にくわえているもの
売り悩む百貨店の企画課で働く入社5年目女子の前に突然現れたキツネ。
キツネのずるがしこさに翻弄されていくうちに、ラテラルシンキングが身につき、仕事も人生も家族もうまく回りだす。7万部突破「ずるい考え方」のマンガ化!
2021年1月10日発売『まんがで身につく ずるい考え方』( 木村 尚義 著 /星井 博文 シナリオ /たかうま創 イラスト)の著者の木村 尚義 氏によるコラムを連載!
神社で見かけるキツネのこと
ことしも初詣に参拝された方もいらっしゃるでしょう。
神社には狛犬、いましたよね。二匹でお揃いの阿吽(あうん)の形をとります。口を開けた阿、閉じた吽で森羅万象を表すのだとか。
この狛犬、犬にしては少し変わった形だと思いませんか。
狛犬は、はるかインドからシルクロードを伝わり日本にやってきました。
もともとは獅子(ライオン)だったそうです。なにぶん伝承された平安時代は、獅子など見たことがない職人ばかり。
伝聞によって神社が造られるごとに獅子は徐々に、変化してゆきます。そうして職人が知っているうちで一番近い姿になったのでしょう。
千年も前のことなので、伝言ゲームのように狛犬はいくつかバージョンが作られます。稲荷神社のキツネもその一つ。
あなたが神社で見かけるキツネ。動物園のキツネとは違いますね。
動物園のキツネは茶色をしているのに社殿に祀られているキツネは色が白い。
なぜかといえば、キツネは豊作の神様である稲荷大明神のお使いなのです。
お使いなので霊体。だから人に見えない。そのため白い姿で現れるというお約束。
どうやら、日本では見えないものは、白く描くという暗黙の了解があるようです。
幽霊が白っぽい姿なのも、本来は見えないからというお約束なのです。
本作で登場するキツネも霊体なのでオバケです。だからカバーのイラストも白なのです。
このキツネ、マンガをよーくみると一体しかありません。
行方不明の一体がどうなってるかは、本作をお楽しみください。
稲荷神社によっては、口に巻物をくわえているキツネもいます。
この巻物は知恵の象徴。神様のありがたい秘法が記されているといいます。
本作で登場するキツネは主人公の品田杏奈に、ずるい考え方を授けます。
真面目な彼女は、最初はずるい考え方なんかイヤだと拒否されます。しかし、どんなに真面目にやってもやっても、なかなか成果が出ません。
頑固な杏奈も仕方なく、ずるい考え方をキツネから教わり成果をあげます。
そこで、ずるいは言葉だけで、実は常識外の考え方だとわかるのです。
マンガでは、ずるい考え方を伝授している時、キツネは巻物をくわえていません。
しゃべっているからということもありますが……。
最後のカットで、キツネの口に巻物が登場します。
これは、キツネが巻物を開いて、杏奈にずるい考え方を伝授しているという暗示なのですね。
こうした、細かいカットの意味を読み解いて読むと面白いですよ。
『まんがで身につく ずるい考え方』
刊行日:2021年1月10日(日) 価格:1,430円(税込)
著者名:木村 尚義 (著), 星井 博文(シナリオ),たかうま創(作画)
ページ数:184ページ ISBN:978-4-86667-257-1
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