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破壊神マグちゃんZ(第三話)


『日曜日なのに営業しているのかな?』
瑠璃の案内で騎士団に向かうマグ=メヌエク。
「ルリよ、騎士団はいか程の軍勢なのだ?」
「?よくわかんない?お兄ちゃんたちはいつもいるよ」
『ブラックだな~職場改善しないと』
混沌住民とニンゲンに似た何か・・とニンゲンの瑠璃。この状況でまともな行政が運営されてるとは思えないし、何が起こってるのか・・そもそも今は何年なんだろう?昨日の青年に聞いたが、筍5年と意味不明な年号を教えてくれた。
「着いたよ~!ここがお兄ちゃん達が働いてるところだよ」
『・・・おお、ゴシック建築とは、まあ悪く言えばチビッ子広場的な。。』
「なんと粗末な城壁か。我にかかれば瞬く間に征服してみせよう」
『いや、今のマグちゃんじゃ無理だし』
中から昨日の青年が顔を出す。
「案内ありがとうね、瑠璃ちゃん。ピンクの彼はマグ=メヌエクさん・・・あはは、混沌教団の教祖と同じ名前ですね。ここにサインいただけます?」
ペンを渡されるが、跳ね除ける。

「やはり我の支配を目論む浅ましい組織であったか。」『いや、犬猫レベルなのに・・あれ?混沌教団ってミュッ様の・・』
「困ったな。まあいいや、ホントはダメですが、代筆しときますね」
なんとも緩い運営だなぁ。っと飽きれる流々。
「聖騎士よ、移ろいを検めたいので案内するがよい」
「ここにはあんまりたいした記録は残してないんですよねえ。住民管理とか土木工事ぐらいだし、広報も10年ぐらいで処分しちゃうし・・聖都なら
詳しい記録あると思いますが。ただ・・」
「ただ?なにか支障でもあるのか?我が解決してくれようぞ」
「いや、さっきの混沌教団と聖十字騎士団の対立が大きくなってましてね。街道がちょっと危ないんですわ。ウチの田舎ではさしたる影響は無いのですが・・奴ら電話線とか切るんで結構やっかいなんですよ」
「よかろう、その望み叶えてやろう。」ベロンと破滅使徒の書を差し出す。
プロフィール帳に青年は素直に記入する。
「数年前までは十天将のイズマさんが見回りに来てくれたんですがねえ、ここ最近は忙しいみたいで」
『イズマくんいるんだ・・懐かしいねえ』
「フムン、ヤツごときで対処できるのであれば、造作もないこと」
『さすがに別人でしょ、最後に合った時もオジーチャンだったし』


どうやら今は聖十字騎士団が世界を統治しており、混沌教団と対立しているようだ。おそらくかなりの気候変動で人類が滅亡したのではないか・・まだ生き残りはいるのであれば聖都に向かうべきだが・・物理的に欠けた月を見上げた。

不意に敵意を帯びた視線を感じる。マグ=メヌエクにとっては取るに足らない視線ではあったが、抱えている瑠璃に危害が及んでは寝覚めが悪い。
「少し右を向け、小娘よ。」「?ん?こう?」「少々踏ん張っておれ」
ズバン!

破滅の眼光が周囲ごと焼き尽くす。
「逃げられた・・」『全力でビカー!はダメでしょ!!』
瑠璃の腕で萎れる第一柱は思いにふける。我を狙ったのだろうか?そうなれば思い知らせてやるだけだが・・ニンゲンを狙った可能性もある・・ここまで体力を失っていたのは想定外だった。



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