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たまに読み返したくなる本

小さい時に好きだった物語は、その人の本質を表現しているかもしれない。
私は「オズの魔法使い」「魔女の宅急便」が好きでした。
普通の女の子が、特殊な事情から冒険する物語。

振り返ってみると、私はまさにそういう人生を好んで歩んできたようにも思います。

★★★

それとはまた別でたまに読み返したくなる本の中に、北杜夫「ぼくのおじさん」という本があります。
お兄さん家族の家に居候を続ける、ほぼニートでぐうたらなおじさんが主人公。
同居する甥っ子からも姪っ子からも馬鹿にされつつも、おじさんはおじさんペースを崩さない。子どもに漫画を買わせたり、都合が悪くなると逃げちゃったり。

現実社会で、居候の中年男性による凶悪事件があって以来、その本を手放しに面白いと感じられなくなったのだけれど、時たま本棚から取り出して、ぼくのおじさんと甥っ子のやり取りに「人間のおかしさ」を確認させてもらうのです。

どうしようもなくだらしがないおじさん。
屁理屈だけは立派で、なにも生産性のないおじさん。
もう出ていって下さい、と誰もが思っているのに、自分のペースとプライドを譲らず、自分の生活に没頭し続ける。

完璧な社会、完璧な尊敬される人間、そんなものはないのに、ふと自分がそれを間違って目指そうとしてしまったとき、そんな場違いなところに長居してしまったとき、「ぼくのおじさん」をひっぱり出してきて、ちょっぴり自分の心におじさんを住まわせて(ちょっぴりだけです)バランスをとっているのです。

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