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村上隆もののけ京都を観に行った話の続き

京セラ美術館はまあまあ混んでいた。

でも心配していたほどでもなく、さらに、行くと決めてすぐ事前にオンラインチケットを買ってあったので並ぶことなくスイッと入れた。

わたしたちのような年配者から美術系と思われる若い人、ベビーカーを押したお母さん、おじいちゃんにおばあちゃん、あらゆる年代の人がみんな「ほぉー」と言いながらKIRAKIRAでKAWAII村上隆の世界を眺めている。
展示は一部を除きほとんどが撮影OKで、ああ、そういうところも海外を拠点にしてる人だなあと思いながら遠慮なくバシバシと撮影してきた。

このでかいの、今はどうなってるのかな。もうなくなってるのかしら。

正直言うと現代美術ってよくわからない。いや、現代だけじゃなくて普通に美術ってよくわからないけれど、その中でも村上さんの作品は特別なんじゃないかと思う。
ある意味漫画的でアニメーションっぽくてとっつきやすい。アキバあたりにいるゲーム好きなオタクが好きそうとか、そういう感じ。

風神雷神

アートです!っていう大構えがない分、単純にかわいいかかわいくないか好きか嫌いかで選択してしまうわたしのような一般人には入り込みやすい。
あの、ルイヴィトンが!コラボしてるんだから!ってのもその要因のひとつなんじゃないかとも思う。とにかく入り口がわかりやすい。

でも実際作品を観ると、KAWAIIだけじゃない凄みみたいなのがあって、あ、やっぱすごいわ、って素直に思った。かわいくてPOPなんだけど毒。苦手な人にはただ毒々しいだけに見えて当たり前かもしれない。

キャプションかと思ったらこれもきちんと作品だった

絵や造形物ばかりじゃなくて実は文字ばっかの作品もあった。
それは村上さん自身が考えてることや感じてることをつらつらと書いて、いや描いてあるのだけれど、そこで、今回の展示をするにあたってのあまりの予算のなさを憂いていた。
億の単位で予算が足りない。
それを、作家自身が心配しなくてはいけないって、ちょっとどういうことなのかと思った。
予算がなさすぎて規模を小さくしなくてはいけないとか、持ち込み企画でもあるまいし作家がどうやってお金を集めるのかを考えなきゃいけないとか、おかしくないか?

本当に、もっと芸術とか職人とか、もちろんわたしの好きなエンタメの世界もそうだけど、そういうかたちのない技術に国はお金を出しなさいよ。博物館や美術館、守らなきゃいけないところはきちんと補助して守っていかないと、先行きは不安しかない。

後ろ姿にも隙なし

などと、ずーんと重い気持ちで展示室を出た。まわりはポップでキュートでカラフルで楽しいに溢れていたけど、その裏側がどれだけ大変なのか考えちゃって。

わたしなんかにできることといえば、なるべく現地へ足を運んで作品を観てグッズを買って作る側と会場にお金を落とすことぐらいしかない。
そのためにはちゃんと仕事して生活に困らない程度に稼いで、なおかつ元気でいなければ。

梟猿図の猿、と、梟猿図の梟

さて。

グッズをたんまり買ってほくほくのわたしたちはお昼を食べに行くことにした。
行き先はすでに決めてある。
ずーーーーーーっと前から、それこそ京都に行くようになった最初の頃から一度行ってみたかった場所。

大正15年に建てられた洋館で昭和20年末から営業している中華料理の「東華菜館」。
古い建物好きのわたしでも京都に来てわざわざ中華に、それもこんな本格的な中華料理に行く勇気がなく、いつも外を通るたび(いいなあ…)と首を伸ばして中を覗き込んでいた。
そこに!今回は!満を持して行くことにしたのだ。


みなさん一度は見たことあるでしょう、ここです。
素敵がすぎる!
なにこの素敵衝立!ほしい!置くとこないけど!
日本最古のエレベーター

東華菜館のエレベーターは現存する日本最古のもので、1924年製。
めちゃくちゃかっこよくてキャッキャ言いながら動画撮影してて、そろそろ4Fだからガラガラ〜ッて開くぞって身構えてたらまさかの横のドアが開いておたおたしちゃった。

手前が春巻き、奥が芙蓉蟹

東華菜館ってググってみるとまあまあお料理はイマイチって評価されてたりするんだけど、わたしたちはすっごく気に入った。おいしかった。春巻きはただの春巻きじゃなくて玉子で巻いてあって豚肉とエノキの風味もおいしくてボリュームあったし、芙蓉蟹はなにがどうなってんのかわかんないけどとにかくすっげぇおいしかった。

水餃子もちもち
シンプルチャーハン

水餃子もチャーハンも、言っちゃなんだけど普通なのだった。
普通でそれがすごくおいしい。昔からある中華料理って感じ。奇を衒ってないおいしさ。

こーいうのがいいよね、とおばちゃんたちはにこにこして平らげた。
3人でギリ食べ切れる量だった。
帰りのエレベーターはこっちが開くぞ間違えないぞと思って乗り込んだのに、動き出したら中をジロジロ見るのに必死になっちゃって、気がついたら1Fだった。

乙女建築でしょう


やっぱ中華は3人以上じゃないとあかんね、とわたしたちはパンパンの腹を撫でながら外に出た。大満足だった。

昔の香港みたい


天井とか壁のすみっことかそれなりに古さは感じたけど、どうかこのまま残っていきますように。

今回はアートの行く末と中華を暑苦しく語っただけでした。
次で終わります。

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