【忍殺二次創作】アイ・アム・ザ・ボーン・オブ・マイ・カタナ#2

マレフミは、バーカウンターに他の4人と並んで、真ん中に座った。店主や客は、隅に寝かされていた。彼は、壁から抜き取ったスリケンをしげしげと眺めた。

「ミデタロ=サン。見たところ、ただのスリケンではないようだが?」目元に装着した機器をいじりながら、KATANA腕章の男が隣に質問した。

「ケケケ……俺の体に埋め込んだセラミック・ヤッパをスリケンにしてンだ……」ミデタロは、自慢げに手首から刃を出して見せた。

「そのオモチャは、材質の特定もできぬのか?KATANAは予算も年収も低いようだ」黄色い鎧の男が、左端から緑色のポリマー装束の者へ毒づいた。「フン、オムラの下請けが、カチグミ気取りか?キトグチ=サン」緑色の男は反駁した。

「ヤメロ。ゲンキチ=サン、キトグチ=サン。せっかく5人で酒を呑める機会だぞ。」マレフミの右隣に座るスカーフの男は、二人を制止した。その背中からは、青いエネルギー……カラテが輝いていた。「そう思わんか、マレフミ?」

スリケンを見つめ、呆けていたマレフミはその言葉に意識を戻した。「ウム……オレ達がこうして、センセイの……7年前のあの日以来集まれるとはな……感慨深いものだ」彼の目には感傷的な色が浮かんでいた。

彼は、ふとロクハラやKATANAから追われるミデタロのことが気になりだした。「ミデタロ=サン……」「改まってどうした?オラァ何も悪事を働いちゃいないぜ……」マレフミは、ミデタロの目を見つめた。「本当か?じゃあ、ナンデ、シェリフやら警察法人やらに目を着けられてんだ?」

「ソノォ……」ミデタロは答えに詰まった。黄色いキトグチや緑のゲンキチらは、刺し貫くような視線を向けた。彼は、唸ったり、体を揺すったりしながら、返答を躊躇した。

「お前ら、ミデタロ=サンをあんまり追い詰めるなよ」またしても、チミモトは青いオーラを出して周りを威圧した。彼は、ミデタロの肩を軽く叩いた。「なっ?サケが不味くなるよな……話題変えるか?」

「イヤ……実は、サイバネのローンがよ、迫ってて……」ミデタロは意を決して話し始めた。「そんでよ……こないだ、空に流れ星が降って……気づいたらよ、オレ……オレ」彼は、懐から何かを取り出した。

「「「「……!!」」」」酒場内の全ての目が、その品物に固定された。それは、タントであった。柄と鞘は、上質な木材を彫り出して作られたようだ。ミデタロは、全員の顔を見たあと、おずおずと鞘から刃を引き抜いた。キィーン確かにタントから音が発したのを全員が耳にした。

「これは、オメエらだから言うけどよ……」ミデタロは再び口を開いた。彼は、周りの客や店主が起きていないかを確認した。彼ら以外誰も聞いていない、彼はそう結論付けた。聞いている者はいなかった。しかし、埃被った監視カメラがタントを見ていたのだった。

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 <# SoCRelic>

 22:05:20 *** h311がjoinしました

22:05:32 <#SOCRelic:Tiryanc > おかえり

22:09:00 <#SOCRelic:Peta >こんばんわ

22:12:20 <#SOCRelic:h311 > h3l0 wrld

22:13:15 <#SOCRelic:Tiryanc > なにかありました?>h311-san

22:14:00 <#SOCRelic:h311 > relc fund

22:14:05 <#SOCRelic:Peta > どこですか?>h311-san

22:14:06 <#SOCRelic:h311 > kmnm strt

22:14:11 <#SOC1001:Tiryanc > kmnm?

22:14:20 <#SOC1001:Peta > カメニマ
私のテリトリーです>Tiryanc-san

22:16:32 ***Asura がjoinしました

22:16:45 <#SOCrelic:Asura > こんばんわ 今北産業

22:18:05 <#SOCRelic:Tiryanc > h311-san
レリック
カメニマ・ストリート>Asura-san

22:18:18 <#SOCRelic:Asura > マ?

22:20:24 <#SOCRelic:h311 > 128% srly m@

22:21:30 <#SOCRelic:Asura > じゃ近いし行きます

22:22:04 *** Asura が退出しました

22:22:37 <#SOCRelic:Peta > 私も非ニンジャを連れて行きます

22:22:40 *** Peta が退出しました

22:24:05 <#SOCRelic:Tiryanc > 私達どうします?>h311-san

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暗いIRC-SNSインターネットカフェの一室で、触手めいたLANケーブルを機器に接続した男が、UNIXの明かりに照らされていた。

彼はタイピングすることなく、「0bsrv n cmntry>Tiryanc-san」と返信した。その顔は、無機質なメンポで覆われ、脊髄などの各部にチューブが繋がった異様な姿であった。メンポには、「35€@+r0g¥」の文字が刻印されていた。それが彼の名だった。


 

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