スタンドプレーからなる、チームワークだけだ
「なんだか堅くて、難しそうで、絵が好みじゃない」
これが、かの名作
攻殻機動隊〜STAND ALONE COMPLEX〜
(後述S.A.C)
に抱いた感想だった。
幾度となく、母や友人から
「面白そうだから見ようよ!」
「面白いから見て!!!」
と言われても、ANIMAXから流れてくるCMのイメージで「ん〜絵が好みじゃないし、可愛くないじゃん」なんて言う理由でスルーしてきた。
出会ってしまった今、そんなかつての自分をぶん殴りたいエルボー!!○( `-´)っ))`◇、´)グ゙ッフー
そう、今回は大好きなアニメ
攻殻機動隊について熱く語りたいと思う。
頑なに攻殻機動隊を観なかった私が、なぜ重い腰を上げて観るに至ったか。
そのきっかけは、上司だった。
「観てみて!」と攻殻機動隊の当時出ていた全話が保存された端末を「最初は、ダイジェストの映画版から見たほうがいいよ!」と言う言葉とともに渡された。
これは私の仕事への弊害と言ってもいいのだけど、本当に「興味のある事」「好きな事」「今必要な事」にしか触手が動かない。
もちろん、今回も「うへぇ〜ダルいなぁ…でもちょっとでも見ないと、『見た?』ってうるさいんだろうなぁ」なんて考えながら帰宅中の電車内の暇つぶしにすればいっか…と諦めながら端末を受け取った。
帰宅の電車、気怠い義務感と共に見た攻殻機動隊のS.A.Cは私の心を踊らせ、目の色を変えた。
キャラクターの人生の厚みを思わせる名言の数々、いずれ来るのではないかと予期できるような近未来の情景、テンポよく繰り広げられるストーリー。
「これはながら見なんてダメだ!でも止まらない!目に、心に、記憶に焼き付けたい!」
1分も無駄にせず、見終わるまで全ての時間を注ぎたいと思わせる魅力がそこにはあった。
攻殻機動隊S.A.Cの舞台は、私達の生きるこの世界のパラレルワールドに当たる近未来の物語だ。
科学技術が発展したS.A.Cの世界では、脳の神経に直接アクセスをする電脳化(さながらスマホでやっている事が脳内でできる感じ)や、体のサイボーグ化が進んでいる。
そんな電脳化社会で起こる特殊犯罪の対策チーム、それが攻殻機動隊だ。
攻殻機動隊に所属するメンバーはどの人物をとっても主役級で、クローズアップされる人物が誰であれ見応えのある物語になると確信できる。
キャラクター一人一人の人生の厚みが計り知れないのだ。
そんな一口も二口も癖も味もあるメンバーが紡ぐセリフは名言のオンパレード!
その中から、私が胸を打たれたセリフを紹介したい。
「世の中に不満があるなら自分を変えろ!
それが嫌なら、耳と目を閉じ、
口を噤んで孤独に暮らせ」
(草薙素子)
「我々の間には、チームプレーなどと言う
都合のよい言い訳は存在せん。
有るとすれば、
スタンドプレーからなるチームワークだけだ」
(荒巻大輔)
「俺は別にヒーローに
なりたかったわけじゃない。
だけど、自分の信じる正義には
一点の曇りもなく殉じてきたつもりだ」
(トグサ)
「疑似体験も夢も
存在する情報は全て現実であり
そして幻なんだ」
(バトー)
ここで紹介した名言は、氷山の一角に過ぎず、言ってしまえば、各エピソード毎に名言が繰り出されると言っても過言ではない。
どれほどの人生経験を獲得すれば、こんな言葉が出るのだろうと思ってしまう。
これほどまでの熱く、厚いキャラクターが織りなすSFであり、ミステリーな世界に目も耳も魅せられっぱなしだ!
また、攻殻機動隊を語る上で外せないのがタチコマの存在だ。
タチコマとは多脚戦車の事であり、人工知能を持って自ら思考する戦車だ。
タチコマは複数台おり、一台が経験した事を全台が共有し、並列化させている。
S.A.Cでは、タチコマが並列化を繰り返す中で回をおうごとに個に目覚めていく過程が見る事ができる。
「攻殻機動隊はタチコマの可愛さも魅力」
と言われた時は、
「は?全然可愛くなくない?」
と訝しげにしていたが、並列化の中で徐々に個を確立していくタチコマは確かに可愛い!
自我を持つ過程は、さながら子供の成長を見るに等しい。
ここまで攻殻機動隊を見るに至った成り立ちや魅力を書いても、攻殻機動隊S.A.Cの魅力の十分の一も伝えられていないんじゃないかと思う。
私の語彙力と表現力のなさを呪いたくなる。
ただ、ここまで食わず嫌いならぬ観ず嫌いをして後悔した作品はない!
もし今、かつての私のように「ん〜絵が好みじゃないから」と言う理由で観ていない方がいたら、ぜひ観て欲しい!
後悔しないよ?
特にオススメしたいのは、SFファンではなく、ミステリーファンかなぁ??
何はともあれ、一見の価値あり!!!