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高校の友達が1人もいない
高校時代に知り合った友達がマジで1人もいません。
イジメられていたとかでは無く、これは私が完全に悪いのですが、入学当初から失敗をしてしまいました。
前置きですが、私の中学時代はピュアな茜色に染まっていました。
放課後は公園でドロケイをやっていたし、アイドルのシールを自作して交換したり、好きな異性が出来ても恥ずかしくて目を合わせる事が出来ず、下駄箱で「おはよう」と挨拶する事すら出来ない日々。新品の消しゴムに好きな人のイニシャルを書いて誰にもバレずに使い切ると子供が生まれるという白魔法を信じて赤い実を育てては摘んでいたのです。
オシャレといったら動物のヘアピンを頭につける事で、これは中学3年に上がらないと許されない行為でした。
1年や2年がこれをやると派手で生意気だと上級生に詰められ、村に唯一ある娯楽施設「コインランドリー」にて火で炙った鉄の棒で腕を焼かれるのです。
前置きが長くなりましたが、高校を入学しても一年でヘアピンを付けて行ったら上級生に目をつけられてどんな酷い目に遭わされるか分からない。
そう思って怯えて震えながら黒髪を黒ゴムで縛り、防弾チョッキを着て靴下にはクナイを仕込み、出来るだけ目立たないように入学式に挑みました。
初めての教室、ドアを開け教室を見渡すと驚愕の景色が広がっていました。
ほぼギャルとヤンキーしかいねぇ
担任はヤンクミが来るのかな?バカ高校だったのですが、受験の時はみんなドングリ坊主や松ぼっくりガール達だったのに…
治安の悪い教室でゲロ吐きそうになりながら着席し、3年間この学校でやっていける気がしないと絶望しました。
ヤンクミとは程遠いジジイ先生が担任である我がクラスの初回のホームルームが終わり、いちもくさんに馬(赤兎馬)に乗り、帰ろうと支度を始めていると1人の女子に声をかけられました。
「ねぇ、制服の寸法測る時に後ろに並んでいた子だよねぇ?お母さんがあなたと私、顔が似てるって言ってたの。同じクラスになれて嬉しいなぁ」
めちゃくちゃ良い子
気さくで話しやすいその子は見た目も割と大人しめで、マイちゃんと言った。
地獄に咲いた一輪の花。魔界を照らす月である。
「あっちで他の子たちと自己紹介してるの。良かったら、来ない?」
爆裂に人見知りで野犬のような目つきの私を保護し、まるで幼き頃から共に育ったマルチーズのようにかわいい声でオイデオイデしてくれるマイちゃんに導かれ、女子のグループに混ざってみる事にしました。
「はじめまして、なんて名前なの?」
「中学はどこから来たの?」
「自転車通学?バス?電車?」
「部活は何入る?」
そんな普通で他愛もない自己紹介のやりとりが続いて緊張もほぐれ、和みある楽しい雰囲気が続いていた時、突然
「ねぇ、みんな処女?」
マイちゃん…?
マイちゃん、何を言っているの?そんな赤裸々な質問を面と向かってしたら、退学になるかもしれないよ…?
あたしたち、15歳だよ?
そんな質問したらみんなが引いてしまうよ…
マイちゃん… ジョジョ?の間違いだよね…?私は二部が好きよメメタァ
マイちゃんの唐突のキラー・クイーン発言に声を失っていると、
他の子達は次々と
「違うよ」
「彼氏いるし、してるよ」
「私も経験してるよ」
お前らは何言ってる?
ここは日本ですか?
どんな中学時代を過ごしたらそんな淫らなイベントが起こったんだ?
朝はニワトリの鳴き声で起床、パンを咥えながら登校して(時々転校生と衝突しながら)
授業を受けて、10分休みにジョウセン(定規戦争)やって、授業を受けて、給食食べて(真珠団子が好きでした)、昼休みに4コマ漫画書いて教室の隅で見せ合って、部活やって、家に帰って、ゲームして、晩飯食べながらお笑い見て、風呂入ってHUNTER×HUNTERを読んで寝る。
みんなそうやって過ごしてきたんじゃないのか?
いつ異性とまぐわう時間や勇気があった?
もしかしてみんな
消しゴムの白魔法を叶えたの?
話がそれましたが、
当然「あなたは?」と聞かれたので
「私も、した事ある」と即答しました。
嘘をつく。一択です。こんなもん。
他の選択コマンドは一切出てきませんよ。
ここで私は経験ありません!と正直に言った日には死ぬほどバカにされ、
誰にも友達になってもらえず、
体育祭も文化祭も修学旅行もぼっち確定。
そのうち存在しないはずの生徒の名前が名簿に載っているだとか、
写真に映っているだとか、
プリントが一枚足りなくなるだとか言われて学園の七不思議にされて伝説にされるんですよ。
オカルト系YouTuberに私を探す動画を作られるんですよ。
撮れたはずの動画はなぜかザザザと途切れているんですよ。
そしてそのオカルト系YouTuberはなぜか3日後に消息不明となる
『知りすぎた』 ので
今思えばそうなった方が良かったと思いますが。
この一回の嘘を3年間突き通さなければならない地獄がある事を想像していなかったので。
それから学校では偽の自分(めちゃくちゃカッコ良い名称を付けるとThe Phantom Self)(ただ言いたかっただけ)になり切って通う事になりました。
私の初体験は憧れの先輩(バスケ部、大阪に引っ越した)が相手であり、
図書室で性行したという超絶架空卑猥物語を作り上げたり、
マイちゃんや他の子が話す体験談も「わかるわかる、アレって痛いんだよネッ」と知ったかぶりして話を合わせる痛すぎる日々
高校から帰ると素に戻って中学時代の友達とスマブラをしたりギャグ漫画を描いたりして過ごして遊んでいました。
中学の友達は相変わらず純白ピュアコットン100%で「キスする時って息を止めるのかなあ?女優さんって大変だよねぇ」なんて話をしたものです。
To LOVEるをコソコソ読んでいる男友達の事を色魔扱いして軽蔑したり。
こちらの世界は何も変わらなかった。
変わったのはアタイの嘘のつき方が上手くなって行く事だけさ。
ある日、ドンドン過激なギャルへの進化を遂げて行くマイちゃんが「3Pをした」と打ち明けてくれた時は、本来の意味が分からず、スマブラの3人同時対戦の事だと思い、
「私もしょっちゅうやっている。普段は4Pが多い」と答え、未経験なのに校内で一番のアバズレだと噂された事があります。
そうして高校を卒業するまで嘘卍固めで過ごし、
卒業してからも数ヶ月はマイちゃん含む数人と連絡をとっていたけれど、
3年間『大嘘太夫』を演じ続けて大変申し訳ない気持ちでした。
私の被害妄想のせいで、最初から真実を言っていても普通に仲良くなれる未来はあったはずです。ですが、今更本当の事を言う勇気も無いまま音信不通になってしまいました。
ですから私には高校の友達が1人もいません。
どこかで元気で幸せに暮らしている事を願うばかりです。
そんなあの頃のみんなに伝えたい事、
こんな私ですが、今では経験人数1000人は超えていると思います
(スマブラでオンライン対戦した人数が)