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(全編無料)環境デッキと見る遊戯王マスターデュエルの歴史 4月上旬~6月上旬編ー破壊祭りの地獄が始まるー

割引あり

はじめましての方ははじめまして。
第2回となる遊戯王MDの歴史は4月~6月をお送りします。
リミットレギュレーション改訂もありますので、お楽しみください。
例によって、何かありましたらコメントを下さるとうれしいです。


4月上旬~5月上旬

新パック実装

NRフェスの熱も冷めやらぬ中、MDでは新セレパが実装され、多くの未実装カードが実装されることとなります。
それがこの2種類

ビヨンド・ザ・スピード:名前の通りシンクロ主体の新パックです。
クリアウィング・シンクロ・ドラゴンジャンクスピーダーのような既存で強力なモンスター、クリスタルクリアウィング・シンクロ・ドラゴンシューティング・セイヴァー・スター・ドラゴンのような強力な新規モンスターも含まれています。シンクロテーマであるSRシンクロンの新規も入っている等シンクロ好きならほぼ必須と言えるでしょう。
その中でも必須と言える環境カードがこれ

レベル10シンクロ最強と呼ばれ、今後も環境で主流となるモンスター「フルール・ド・バロネス」です。
今まで10シンクロはセイヴァー系やアクセルシンクロ等が主流で汎用素材で出せる選択肢がかなり少なく、競争率がかなり低いレベル帯でした。
その中でバロネスは簡単に出せる汎用素材、そして何より無効破壊という万能無効効果を持っていました。
これにより、10シンクロを出せるデッキは1妨害を確約できるようになり、防御面でかなりの強化が図られました。
ただこの時の環境を見ると、レベル10のシンクロを強く使えるテーマはあまり多くありませんでした。

ルーラーズ・マスク:こちらのセレパでは、新たに3つのテーマが新規実装されました。それが下の通りです。

  • デスピア:融合召喚を活用し、融合素材にされた場合などの効果でアドをとりつつ展開していくテーマ。墓地融合などもあり、融合素材も幅が広めで超融合なども活用しやすいようになっています。

  • 魔鍵:通常モンスターを活用しながら、儀式・エクシーズ・融合していくカジュアル系テーマです。テーマの通常モンスターがいいステータスをしているのが特徴です。

  • 軍艦:軍艦巻きをモチーフにした見た目で「寿司」の愛称でも親しまれています。通常モンスターを軸としたエクシーズテーマで、特定の名称のカードをエクシーズ素材にすると効果を発動したりします。豊富なテーマカードや無効持ちのエクシーズモンスターなどを持ち、カジュアルデッキとして高い人気を誇ります。

この中でとりわけ人気なのがデスピアでしょう。
MDの環境はOCGの後追いと呼ばれ、OCGで実装されたカードが後々MDに実装されるという順番上、MD環境がOCGの後追いと呼ばれるのは避けられない状況でした。
烙印デスピアはOCGでも環境デッキであったことから、ランクマガチ勢はこぞってデスピアを集めに行きました。ただ、このころの烙印デスピアは後述の通り環境デッキという点ではまだ力不足でした。詳しくは環境考察等で後程解説します。

新ソロモード実装

本来ソロモードは環境には一切影響がないのでスルーなのですが、今回だけは少し事情が違いました。その実装されたソロが「宣告者の導き」、つまり現在環境デッキである宣告ドライトロンのパーツなのです。
ソロモードのレンタルデッキは混ぜ物が多いのですが、「同じ属性だから」、「同じ種族だから」、「同じレベルだから」などのシナジーという言葉をはき違えているデッキが多く、総じて「紙束」と呼ばれていました。
しかしこのソロモードではなんとレンタルデッキが「宣告ドライトロン」でした。レンタル構築である者の、宣告ドライトロンを体験するには十分なシナジーで組まれたデッキで、これを見たデュエリスト達は
「環境デッキに文句あるなら、体験させてやるから組めってか!」
とツッコみを入れました。

シンクロフェス開催

NRフェスの次のフェスとしてシンクロフェスが開催されました。タイトル通り、EXはシンクロモンスター限定で、その他自爆デッキのキーカードにも禁止指定など、自爆へのリミットレギュレーションはかなり厳しめと言えるでしょう。
このフェスから、今では定番となっているフェスポイントによるメイト台と称号が配布されるようになりました。またシンクロリワードチケットという独自パックのチケットがフェスポイントに応じて獲得できるようになりました。新規カードは入っておらず、シンクロに関連しそうなカードが入っているパックですが、強くはありませんでした。引ける回数が限られたパックのため、あえて強いのを入れなかったのかもしれません。

レンタルデッキ
今フェスではレンタルデッキを紹介したいと思います。

  • SR:遊戯王ARC-Vのサブ主人公的な立ち位置であるシンクロ使いユーゴが使うテーマであるスピードロイドです。サーチ・展開・墓地肥やし・墓地蘇生と様々な効果がテーマ内に存在するシンクロデッキです。展開能力がかなり高く、先攻制圧を目指す先攻展開系デッキです。

  • シンクロン:シンクロンとジャンクを要する5D'sの主人公遊星のデッキです。高い展開力と連続シンクロを得意とし、スピーダーが通ればデッキから最大5体SSできるという超展開で相手を封殺します。SRと同じく先攻展開デッキで、複数の無効効果持ちをフィールドにそろえて先攻制圧を目指します。

  • フルール:新規シンクロモンスターのバロネスを中心としたフルール、5D'sで登場したシェリーのテーマです。他の2テーマとは違い、先攻制圧よりはバロネスを活かしながらアドを取っていく中速的な動きです。ただ、安定した妨害が少なく、先攻でも後攻でもどっちつかず感が否めず人気が出ませんでした。

シンクロフェス主流デッキ

  • ジャンド:ジャンクドッペルを活用した連続シンクロデッキ。1から構築したものも基本はレンタルデッキのシンクロンと同じですが、レンタルに入っている不要カードを有用なものに変え、より対人戦を見据えて構築を考えて勝率を上げたデッキです。シンクロンと同じく、先攻制圧により複数妨害を置くことを目指し、次のターンでキルを狙います。圧倒的アドを取るスピーダーを止められるかで勝ち負けが大きく分かれます。

  • SR:こちらも、レンタルデッキからより構築を必要なものに洗練し勝率を上げた型です。EXや途中の展開札をより強固なものにすることで、先攻での妨害受け、安定性、先攻制圧能力の向上を目指します。展開途中を見極めて妨害を打てば止まることも多いですが、展開しきったらほぼサレンター必至の強さです。

  • 電脳堺:本来はシンクロとエクシーズの両方を活かすデッキですが、持ち前の展開力でシンクロのみに特化させた型です。元々はレベル6・9のシンクロ主体ですが、構築次第でバロネス等も採用圏内に入ります。他のシンクロデッキと違い、朱雀による後ろ妨害を置けるのも強みです。

  • アダマシア:岩石族GSのテーマです。本来は高い展開力を活かし、ウーサなどの妨害持ちをシンクロ問わず立てるデッキですが、フェスでは持ち前の展開力でシンクロ主軸のデッキとして回します。サベージは使えませんが、ドラガイドやバロネスを両方立てやすく、ブロックドラゴンによる次ターンのリソースも十分に残せるという強みがあります。後攻ではドラガイドによる複数バウンスが強力で、高打点も軒並みおかえり願うことが出来ます。

  • 青眼:古き良きパワー型ドラゴンデッキで、原作の海馬瀬人が使用したこともあり人気のテーマです。青眼シンクロモンスターもおり、レベル9シンクロが立てやすいデッキです。次のターンまでドラゴン族に対象耐性と破壊耐性という2大耐性を与えることが出来ます。ただ、このころはまだ青眼の最強カードと呼ばれるジェットが未実装なため、バウンスなど強くは出られませんでした。

  • レッドデーモン:5D'sのジャックが使うパワー型シンクロデッキです。高い打点で相手モンスターを上から殴れるのが特徴です。ただ、このころのレッドデーモン改めリゾネーターは強力な新規が未実装で安定性はあまり高くなく、妨害もテーマとしては少なめでした。

  • 真竜:シンクロデッキではないただのメタビデッキです。シンクロデッキはフィールドも墓地も活用するため、墓地メタの裂け目、そして多くのモンスターに刺さるスキドレ等の強力な永続効果で相手を止めつつ、真竜カードでアドを取っていく後ろ妨害メインです。

  • ベンケイワンキル:装備カードの数で攻撃数が変わるベンケイを利用したNR中心で組まれる後攻ワンキルデッキです。自爆の代わりに台頭したデッキで、数多くの装備カードで強化したベンケイの直接攻撃を狙うという完全な運デッキです。ドロー関連カードをたくさん積み、初手ガチャが上手くいかずワンキルに失敗したらサレンダーするという正直対面していても楽しくないデッキです。

シンクロフェス環境考察と問題点
今回のフェスは、実はレンタルデッキが多数みられたフェスでもありました。というのも、実はシンクロデッキは有能な効果を持つチューナーに高レアモンスターが多く、汎用な効果や強力な妨害を持つシンクロは高レアかつ複数パックに分かれているなど正直構築難易度が高いものが多かったのです。
ジャンド(シンクロン)SRは組めば強いという話はありましたが、
①:組むのにかなりのジェムとポイントを必要とする
②:ジェムを使って作ったとしても、フェス後のランクマでは苦しい
③:レンタルデッキの出来が比較的良く、手札が良ければ先攻制圧できる
④:仮に組んでも、レンタルデッキにかなり近い構築になる
等の理由からわざわざ作る必要がないということでシンクロを使う人はレンタルデッキを選択することが多かったのです。
ただ、レンタルデッキはどこまで行ってもレンタルデッキであり、先攻制圧環境に必須なうらら・増G・無限泡影などの妨害カードはほとんどなく、先攻コイントスゲーが強くなります。
そうなると後攻でも誘発を強く使える独自のデッキを組みたくなるが、そうしたら高レアなチューナー等が勝つには必要になりジェムを使用するというジレンマに陥ります。

その結果、シンクロを使わないデッキを使う人も増え、特に誘発すら捨てて真竜と数多くのメタカードでシンクロというコンセプトを潰しに来るというフェスの楽しみを否定するような対面も増加しました。
真竜は作成コストも比較的少なくて済み、メタカードは汎用としても利用できる等かなり人気を博しました。
ただ、相性から言うと真竜で完全に先攻で制圧したジャンドやSRを超えられるかは運でありました。しかし、安く組めて先攻制圧以外のミッドレンジ系(魔妖・不知火等)には命削りを筆頭にスキドレ・神宣・裂け目というメタの連打で圧倒的優位と共に勝利をもぎ取りました。

このような一見いろいろな対面が予想できるフェスな気もしましたが、実際にはジャンド・SRの先攻制圧を潰すor止めたら勝ち、潰せなかったら負けというものすごく大味なデュエルが散見されました。特にレンタルデッキ系のジャンド・SRは先攻制圧が失敗するとサブギミックをほぼ持たないため即サレという場面がかなり多かったです。
また、真竜も数多くのメタカードであらゆる対面で有利になりやすいデッキではありましたが、命削りの性質上羽根ライストを止められなければジリ貧になるため、バックが潰されれば先攻制圧系と同様即サレするユーザーが多かったです。ただ、残り2つのデッキが後ろの妨害がほぼないという性質上バック除去は若干軽視気味で、追い風ではありました。

このフェスでは環境上位という意味では、なんだかんだ先攻制圧が強力だったジャンド(シンクロン)SRだと思います。この2つのデッキは妨害を打つところは決めやすい一方、それで止まらなかった場合ほぼ突破は不可能になることが多かったため、先攻制圧するからさっさとサレンダーしろという圧力も強かったです。
そして真竜は他のデッキには効くうららや増G・無限泡影が効きづらいという利点を活かし、相手の妨害カードを無価値にできるという強みで多くのデッキに優位を取れました。
逆に電脳堺アダマシアは通常なら上記デッキよりはるかに高いパワーを持っているでしょうが、本来はシンクロ以外も活用するデッキのために弱点や強みが活かせずどうしても不利が多かったです。電脳堺は構築や朱雀を活かすことで妨害には多少強く出れましたが、アダマシアは展開力はあるけど妨害に弱すぎるという弱点がかなり響きました。

これはこのフェスだけでなく他のフェスに言える問題点ですが、負けても失うものがないゆえにあまりにも大味なデュエルが多いです。特にシンクロフェスのような先攻制圧テーマが多いフェスの場合、先攻1ターン目でほぼ勝敗が見えるため、初手を見て即サレンダーするユーザーが多かったです。
またベンケイワンキルもシンクロフェスというコンセプトとは大きく離れたデッキであり、ドローカードでデッキを回してほしいカードが来なかったらサレンダーという感じで、対面していて楽しいとは思わないデッキでした。

シンクロフェス総評
シンクロ主体のフェスでしたが、シンクロテーマ自体エクシーズ以上に先攻制圧テーマを多く抱える性質上、終始先攻コイントス&サレンダーゲーと化してしまい、駆け引きや読み合いのあるデュエルがあまり行われませんでした。
また、シンクロテーマ以外でも真竜があまりにもでしゃばりすぎであり、多くのデッキが真竜のメタカードの前に消えていきました。構築難度の低さ、そして相手の手札誘発に強いという性質の結果、フェスが進むにつれ真竜は数を増やしていきました。悪目立ちが過ぎたためにこのフェスを真竜フェスと揶揄する声も多く、以後のイベントで真竜の規制はデュエリストの注目を浴びることとなりました。

リミットレギュレーション変更の告知

5月上旬にMD初のリミットレギュレーション変更が告知されました。
サービス開始から3か月後の告知となり、期間だけでみたらOCGと何ら変わりませんでした。
ただ、あまりにも環境の停滞が長く、加えてOCGの環境変化速度に慣れていない新規や復帰にとっては飽きる原因となっていました。
詳しい変更内容は5月の章で説明します。

コイントス切断にペナルティ実装

今では当然のこととして存在していますが、実はこのころまでコイントス時の切断に対してなんら損はありませんでした。
これが何の問題かというと、先攻圧倒的有利な遊戯王というカードゲームにおいて、先攻を取れるかは重要なファクターです。本来はマッチ制といって3試合して勝敗を決めるのですが、MDはシングル戦のみという仕様上構築段階での誘発の枚数の見極めはかなり重要と言えます。
というのも、先攻を取った場合ははっきり言って誘発は必要ありません。ですが、後攻になった場合は手札誘発を多めに抱えたいものです。しかし、手札誘発を増やせば先攻での事故率が増加します。シングル戦において手札誘発とは、多すぎても少なすぎても困る調整の難しい要素と言えます。
つまり、最初から絶対先攻を取ること前提で組んでいるデッキは圧倒的に有利ということになります。
その結果ランクマで、コイントスで先攻を取れなかったらその時点で切断をして試合を流すという行為が行われました。切断された側から見たら、切断が故意か偶然かも把握できず、加えて切断をしても双方に連勝記録や勝敗には影響がなかったため、かなり悪質な行為として長い間見られていました。

これは余談ですが、当時は「〇〇デッキで〇連勝!!」という動画が多かったです。というのも動画映えを目指すなら構築を説明するより連勝記録をアピールする方がわかりやすいからです。構築なんてというより、遊戯王というゲームは本来サイドデッキからマッチ戦で構築を変えつつメタを変えつつ戦うゲームです。ですから構築を説明してもそれが嵌まるとは限りません。だからこそ連勝記録というファクターは見栄えのいいサムネでした。
ただ、既にこのころにはコイントス切断が話題になっており、「こんな先攻前提の構築で運要素の強いカードゲームで数十回勝てるわけがない」という突っ込みも散見されました。
そしてこのコイントス切断ペナ実装後、上のようなタイトルの動画は減ったように思います。噂によると、動画で連勝記録アピしてたのにいつのまにかやめていた人もいたとか…

5月上旬までのランクマ環境デッキ

既に解説した通り、リミットレギュレーションはまだ変更される前です。ですので、はっきり言ってしまえば環境に大きな変化はあまりありません。
ですが、新規テーマや新規カードの実装はありましたので、そのあたりの解説をしていきます。

  • デスピア:前述の通り、このころはまだ環境上位を取るにはパワー不足でした。というのも…

烙印融合がまだ実装されてなかったのです。本来融合召喚とは、「融合素材×2体以上+融合魔法」という3枚初動のデッキです。シャドールが環境取れたのも、融合素材になったモンスターでアドが取れるからなんです。
そう考えれば、烙印融合の強さがわかっていただけると思います。烙印融合が1枚で初動になれば、デッキとしては安定性がかなり変わります。
そういうことから、まだ当時は環境としては苦しい戦いでした。
ただ、OCGの環境の流れからも烙印融合が来れば環境上位も狙えることはほぼ確定であり、このパックを引いて準備する人も多かったです。

  • アダマシア:バロネスが実装されたことで、妨害性能が抜群に上がりました。今まではモンスター妨害枠はウーサ、魔法罠はドラガイド・万能妨害枠はサベージが担っていましたが、そこにバロネスによってもう1個万能妨害を置けるようになりました。壊獣やラヴァゴーレムにも強くなり、先攻制圧としての質が良くなりました。
    加えて、今までは余ったブロドラとレベル2アダマシアでリンクするしか手段がありませんでしたが、バロネスの実装により万能妨害に昇華することが出来ます。ブロドラのサーチにうららを打たれても出したバロネスで止められるようになりました。
    アダマシア自体の妨害の受けの悪さは相変わらずですが、環境上位のドライトロン・エルド共に誘発の採用枚数は多くはないので、展開が通ればほぼ負けることはありませんでした。
    このころから、先攻制圧デッキとしてアダマシアが徐々に環境で見られるようになっていきます。ドライトロンと違いアルデク1体に依存するということがないので、壊獣やラヴァゴにも強く出られるのが利点と言えるでしょう。

5月上旬~6月上旬

初のリミットレギュレーション改訂

サービス開始が1月下旬、そこから3か月強が経ちとうとう遊戯王MDは初のリミットレギュレーションの改訂を行うのでした。
改訂は以下の通りです。

規制緩和されたカード

  • 準制限→規制なし

    • レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン

規制強化されたカード

  • 規制なし→制限

    • サイバー・エンジェル-弁天-

    • 黄金郷のコンキスタドール

  • 規制なし→準制限

    • 幻影騎士団ティアースケイル

    • 鉄獣戦線 フラクトール

    • 電脳堺悟-老々

    • LL-コバルト・スパロー

    • プランキッズ・ロック

    • 魔救の分析者

    • フュージョン・デステニー

    • D.D.ダイナマイト

まず規制解除から。
レダメについてはドラゴン族強化であると同時に、3枚フル投入するデッキがあまり多くないことがあげられます。レダメはエラッタを行われており、以前と違い効果を連続で使える引き得カードではなくなりました。ですので、この改訂はまあ妥当と言えるでしょう。

続いて規制されたカードについて、
弁天制限はドライトロンに対して厳しい規制となりました。ドライトロンは基本的に手札のドライトロンか儀式カードをコストに使いたいため、まさにコストに最適だった弁天の制限は安定性と展開力を大きくそがれることとなりました。この規制後、ドライトロンは様々な型が現れますが、それは環境考察で行います。
エルドのコンキスタドールは、エルド罠の中でも破壊というアドが取れる強力なカードでした。打点減少、墓地除外が弱いわけではありませんが、目に見えて破壊アドの取れるコンキスタは最重要カードと言えるため、痛手と言えます。ただ、妨害の最重要だったメタ性能の高い永続罠系統は規制を逃れたため、依然エルドの強みは十分に発揮できました。破壊罠もドラグマのパニッシュメントなど代用できるカードも多く、本体のエルドは生きているため、構築で十分対応できる圏内となりました。
幻影騎士団ティアースケイル・鉄獣戦線 フラクトール・電脳堺悟-老々・LL-コバルト・スパローは環境上位陣への規制となりました。鉄獣からは純でも他の型でも重要となるフラクトール、LL型からはSS時に鳥獣族レベル1をサーチできるため、後続のLLと鉄獣のナーベルを状況に応じて選べるコバルトが規制され、安定性の面で大きな影響が出ました。
ティアスケイル・老々の規制は痛手ながらも、元々初動で絶対欲しいカードでもなく、展開途中で落としたりサーチしたりが効くため、初動が削られたテーマほどはダメージが大きくありませんでした。
プランキッズ・ロックはプランキッズへの規制という意味合いもあるでしょうが、一番はやはりアダマシアではないでしょうか。アダマシアにとって岩石族のロックは出せれば強力なアドを取れるモンスターなのです。アダマシア・プランキッズ共にテーマの特殊召喚に召喚制限等が付かないため、アダマシアでロックが出るということは、ロック1枚でリンク3相当になるということを意味していました。ウーサ等高リンクの餌になりつつ、ブロドラのコストとして地属性をたくさん墓地に供給でき、ロックがレベル4のため御影志士にもなれる。まさに最強のタッグと言えるでしょう。
アダマシア自体には魔救の分析者が直接規制を受けました。ただ。分析者は手札からのSSに条件があり後攻向けのカードと言えます。勿論ラプタイトでの当たりくじの減少、探索者のパートナーが初手で引きづらくなるという意味では痛手でしたが、初動で一番欲しいのは簡単な条件で手札からSSしやすい探索者であり、分析者の規制は正直「痛いなあ」程度のものでした。
フュージョンデステニー、通称フューデスなんて呼ばれているカードではありますが、これは今回新たに実装されたカードが原因です。詳しくは後述します。
DDダイナマイトはBOTなどがよく使うワンキルへの規制です。罠サーチを駆使することで安定してダイナマイトを2発撃てるように罠をそろえ、魔獣の大餌でEXを15枚除外してダイナマイト2枚でワンキルを狙うというものです。全て通常罠などでバーンしてくるためサイクロン等の対策なども効かないことから対応が難しく、地雷デッキとしてちょくちょく見ました。準制限になったことでトラップトリックでの安定したアクセス手段を失い、消えていきました。ちなみに、一時期このデッキ対策でEXを13枚にした方がいいかなんて会話が出る程度には影響力がありました。

新規カード実装

新たなセレパとして、リファインド・ブレードフュージョン・ポテンシャルが実装されました。
フュージョン・ポテンシャル:フュージョンの名の通り融合モンスター並びに融合に関連するカードのみが入ったパックです。新規は一切入っておらず、融合モンスターがテーマ問わず雑多に入っており、たくさん引きまくるパックというよりは、ここから出たモンスターを利用してシクパを引き、望みの融合テーマを組むという感じです。
後日融合フェスが開催されるため、融合テーマを持っていないユーザーのためのパックと言えるでしょう。ただ、融合テーマにしても入っているカードがワーム・霊獣・古代の機械・墓守・ガイア・双天とはっきり言って弱いテーマが多く、フェスが終わった後にカジュアルでも使える強さと言えるのが捕食植物月光くらいという外れくじの多いパックでもありました。

リファインド・ブレード:融合モンスター、シンクロモンスターの新規テーマやカードが中心に入っています。新規テーマがこれです。

  • 相剣:幻竜族を中心としたシンクロデッキで、自前でチューナーを持たずチューナートークンを生成してシンクロ召喚を行うという独特なデッキです。レベル8・10のシンクロを少ない消費で立てることが出来、サーチ効果から安定して展開できるミッドレンジ系シンクロテーマです。特にバロネスを立てることで安定して1妨害を確約できるため、人気を博しました。トークンや幻竜族ゆえに、天威と組む展開型などもありました。

相剣もOCGで環境として人気であったことから、このパックは多くのデュエリストに引かれるパックとなりました。ですが、シンクロフェスは終わったばかりであり、なんでシンクロフェス前に実装しなかったんだよというデュエリストからの突っ込みないし呆れ声も多かったです。
しかし、一番このパックで人気だったのは、おそらくこのカードでしょう…

融合モンスター最強と呼ばれ、いまだに多くのデュエリストの反感と恨みと怒りと殺意を買っているデスフェニことデストロイフェニックスガイの実装です。
毎ターン破壊アドを取り続け、殴っても破壊しても不死鳥のように墓地からよみがえるこのモンスターはまさに最強の一言でした。自身をコストにすれば実質毎ターンフリチェで相手のカードを対象に取らず1枚破壊できるため、このカードの登場後、このカードを止められない伏せカードはかなり価値を下げました。このカードの強みはまさに下記の通りです。

  • 破壊により毎ターンアドを取れる(デスフェニは勝手によみがえるため)

  • 対象を取らないため対象耐性が効かず、効果解決時まで破壊するカードが確定しないため相手への圧力になる

  • フリチェで打てるため、マストカウンターを狙いやすい

  • 相手の打点を下げる効果があり、戦闘面でも活躍

  • フューデスによるデッキ融合に対応しており、実質1枚でどのデッキでも出せる

  • 自分のカードも破壊できるため、デスサイズ等アドが取れるカードを相手ターンに故意に破壊できる

  • 融合素材の墓地効果も優秀なのが多く、無駄がない

  • 壊獣等がない場合、破壊されて墓地に行った後に効果発動を墓穴やわらしで止めるしかなく、相手の妨害カードを消費させられる餌としても使える

  • フューデスに発動前の特殊召喚制限はないため、フューデス素引きが得すぎる

  • 仮に素引きしていなくても、アナコンダからフューデスと融合素材を全てデッキから落として出せる

  • これがサブギミックとして素引きorアナコンダから登場する

ざっと上げただけでもこれだけあります。はっきり言って融合でも強いモンスターは他にもたくさんあり、デスフェニだから悪いというわけではありません。1番の問題は、これがフューデスに対応してデッキ融合できるという点です。素引きすれば1枚から、素引きできていなくてもアナコンダで呼べるという選択肢は使う側だけではなく、相手にもかなりの圧力です。
アナコンダ自体2体のモンスターで出せるため、モンスター2体はデスフェニに化ける可能性があるということです。しかしデスフェニはあくまでサブギミックであり、メインギミックは別にあります。つまり相手からしたら、持っている妨害札でメインギミックを止める方が得か、サブギミックを止める方が得かあるいはメインギミックを止めたところで相手がアナコンダルートに切り替えるかなどもあります。
上記の通り、デスフェニはその効果の強さだけでなく、出てくるかもしれないという圧力も持っており、搭載できるデッキは搭載しない理由がないカードと化しました。
あまりの出しやすさに見合わない強さ故に、デスフェニに慣れないユーザーは遊戯王から離れる原因にもなりました。

新ストラク発売

新たなストラクとして、サイバーデッキでストラクのサイバネティック・サクセサーが発売されました。裏サイバー感の強いストラクではありますが、表でも使えるカードが十分入っており、表サイバーによる後攻ワンキルを狙うユーザーにも引いて損はないストラクでした。サイバー自体かなり人気であり、復帰勢でも知っている人が多いテーマであるため喜んだユーザーも多かったです。加えて、同時封入されている融合派兵が強力なカードであり、こちらを求めて引いた人もいました。

融合フェス(フュージョンフェスティバル)開催

5月12日~23日までの期間で融合フェスが開催されました。例によってEXは融合モンスターのみであり、シンクロフェスの反省を活かしてかEXを使わなかったりメタることしか考えていないカードに対してかなり強めの規制をかけました。スキドレ・マクロ・サモリミ・裂け目のような強力なメタ永続系は軒並み制限カードでした。
加えて、融合セレパや融合テーマストラクなどの発売でフェスに合わせたサポートも万全と前回の二の舞にはならないという気合が感じられるフェスでしょう。
また、今回のフェスではすべてのレンタルデッキに融合と超融合2枚が入っていました。

フェス主流デッキ

  • HERO:GXで登場した融合を主軸としたテーマです。E・D・V・E-などいろいろありますが、GX自体の人気の高さからテーマ自体もかなり有名で人気でもあります。どれを主軸にするかでデッキ構築も大きく変わり、出す融合モンスターも全く異なるものになります。ただ、展開をいろいろ考えだすと、HERO自体がいろいろなシクパに分散されていることもあり、少々お高めのデッキになりがちです。ただ、フューデスやネオスフュージョンなどのデッキ融合手段にも優れ、1枚から強力なカードを呼びやすいです。

  • デスピア:先月に引き続き、今月も新規カードを得たことでより強力になりました。依然烙印融合は未実装ではありましたが、アルバスの落胤による相手モンスター素材融合も強く使え、加えてガバガバ融合素材も多い故に超融合も強く使えるなど利点もありました。

  • シャドール:9期に環境を取ったリバース・融合テーマであり、融合素材になってもアドを得ることで融合召喚のシステム的なアド損を補うミッドレンジ系なロングゲームを得意とするデッキです。後攻のみではありますが、デッキ融合であるシャドールフュージョンもテーマで備え、ミドラーシュによるSS制限をかけられるのが特徴です。

  • ドラゴンメイド:ドラメの愛称で親しまれているドラゴン族融合テーマです。シュトラールによる万能妨害を持ち、メイド体とドラゴン体で手札とフィールドと墓地を行き来する独特の動きを得意とし、融合テーマながら手札のリソース回復力が高いのが特徴です。ミッドレンジ的な動きで相手とのアド差をつけていき勝利を狙います。ただ妨害はシュトラールが主軸のため、超融合が刺さるとかなり辛いです。

  • サンダードラゴン:通称サンドラの異名で有名な雷族融合デッキです。条件を満たせば1体リリースから融合モンスターを出せますが、テーマ内のモンスターの多くが上級以上であり、事故率が高いのが弱点です。超雷龍によるサーチ不可効果は強力ですが、良くも悪くも超雷龍頼りになりがちです。カオス系統を混ぜれば横展開が伸ばせますが、リンクが禁止のため使えませんでした。

  • 捕食植物:ARC-Vのユーリが使う植物族融合テーマです。あらゆる融合・フュージョン魔法をサーチできる強力な効果を持ちます。捕食カウンターという独自のカウンターを使い相手の効果やレベルを下げることで有利に進めることが出来ます。ドラゴスタペリアによるフリチェ効果無効や、カウンターを乗った相手モンスターを利用した融合召喚など強力なカードで相手のアドを削ります。ただ、強力なテーマ融合は出す難易度も高く、他のデッキにパワー負けしやすいという弱点もあります。

  • デストーイ:デストーイとファーニマルによる混成融合デッキでアニメでも使われたテーマでもあります。豊富なサーチ効果やドロー効果で連続融合を行い、蘇生効果持ちで素材にした融合モンスターを蘇生するなどいろいろな動きが出来るデッキです。サイズによる相手ターン融合などもあるなど、独自の動きで先攻から相手を妨害しつつ後攻ワンキルを狙うこともできます。

融合フェス環境考察
融合フェスにおいて強力なカードと言える超融合がURで生成していないユーザーも多い中、レンタルデッキには2枚確定で入っていたためレンタルで攻めるデュエリストも多かったです。ただ、レンタルデッキで安定して妨害を置くことはできず、先攻を取っても負けることが多かったです。
というのも、以前お話しした通り融合というシステム自体アドをかなり消費する召喚方法であり、初動枚数も基本的に3枚必要と安定がしづらい召喚法です。そのため手札事故が起きやすく、仮に出せても打点だけある妨害のないモンスターだったりと何とも言えない部分が多いです。
その中で、環境上位はやはりHERO・シャドール・デストーイ、特にその中でもD-HEROが強かったと言えるでしょう。なんだかんだ新規のデスフェニが超強いです。
シャドールは先攻でのミドラーシュによるSS封じが強力でデッキによってはGGクラスの威力でした。破壊耐性を持っているのも強いですね。リバース特有のロングゲーム有利を活かして粘り勝ちする場面も多かったです。
デストーイは何といっても後攻ワンキルです。相手ターンに融合でデスフェニまがいの妨害を打てるのも強力ですし、破壊しない除去や連続攻撃効果、打点上昇といろいろできました。先攻を取るうま味より後攻を取る方が強かったと思います。といっても、先述の通りこのフェスではあまり先攻を取るうま味も少なかったため悪くはありませんでした。
D-HEROはデスフェニの強さに目を奪われがちですが、Dモンスターの墓地効果も強力でデスフェニをサポートしつつ墓地効果を活かしてアドを取ることができました。他のデッキがデスフェニを出すのにフューデス素引きを求められたのに対し、D-HEROは素の融合でも出すことが出来るのが強みです。
逆に新規を引っさげたデスピアでしたが、まだまだ足りないカードも多く、デスピアで出せるモンスターの効果も妨害向きとは言いづらいなど現段階ではやはり環境上位を取るのは難しかったです。ただ、新規が出たばかりの環境候補ということでフェスでデスピアを使用するプレイヤーも多く、人気自体はありました。
そしてなんとこれだけの規制にもかかわらず、相変わらず真竜が一部暴れることとなりました。確かにダイナマイトとマジェスティが共に制限を食らってはいましたが、妨害の主となる真竜魔法罠に対する規制は甘く、安定性をドロソでごまかして妨害を引きに行くデュエルも多かったです。加えて、融合テーマ自体手札事故を抱えやすいこともあり、真竜の妨害速度が間に合うということもありました。
また、ベンケイワンキルによる後攻ワンキル狙いのデッキも散見され、相変わらずのドロソ連打による運ゲーでワンキルを狙い続けていました。ベンケイワンキル自体パーツはそれぞれが強力ということもないため、規制しづらいという側面があります。

問題点
まず前回、今回のフェスで立て続けに真竜によるコンセプト無視のメタビが増えたことからだんだん言われ始めたのが、コンセプトとなる召喚法を使用した場合にボーナスポイントをつけるべきだという意見でした。融合なら融合、シンクロならシンクロをすることでポイントを追加で得られるようにしないと、結局のところメタビというコンセプト無視は消えないため、いい加減そのあたりの工夫を要求する声が増えました。
また、先述の通り融合というテーマ自体手札事故が起こりやすく、特に今までだと使えたリンクなどによるサポートも禁止のために先攻が動けないという場面もありました。そのため、勝てる試合になるまでサレンダーで手札交換を繰り返し、勝てるときのみ戦うという戦法をするユーザーが増えることとなりました。
サレンダー自体は一切規制がなく、フェスのシステム上失うものもないため負け確定ならサレンダーでいい手札が来るまで繰り返した方が早いという思考回路になるのもわからなくはありませんでした。ただ、これは対策をしようにもしづらく、ポイント減少を取り入れるとランクマみたいな状況になりユーザーがイベントを楽しむというのが難しくなってしまうため、現在でも対策が取られていません。
そしてあまりにもデスフェニの採用率の高さが悪目立ちした結果、「デスフェニフェス」と揶揄する声もありました。実際デスフェニは出しやすさに対して効果があまりにも強力であり、デスフェニがいなければもっと活躍できたテーマもあっただろうという意見も少なからず存在しました。せっかく融合セレパを出しても、デスフェニが幅を利かせすぎてどうにもできないのは勿体ないと言えるでしょう。

放置行為への規制強化

この段階で、効果発動確認を悪用した放置行為に対して対策が取られました。わざと相手ターンでも発動できるカードを多めに入れ、発動確認で放置することで相手が待ち疲れてサレンダーするのを待つというあくどい戦法でした。
時間が無駄にかかり、ゲームとしての面白みも一切なく、またBOTを使うユーザーもちょくちょくいたため、デュエリストの間では悪質なデッキとして有名でした。それに対して対策が取られたのは良い事だと思います。

5月上旬~6月上旬のランクマ環境

リミットレギュレーションの改訂により、環境は大きく変化することとなりました。
まず前期環境トップを走り切り多くのユーザーにトラウマを植え付けたドライトロンは、ドライトロンのコストとして最強格であった弁天が制限になり、安定性が激減しました。詳しくは後述しますが、ドライトロン側も構築や戦術を見直すことで対応はしていきます。ですが、もともと環境的なうま味はアルデクの4妨害に依存していたため、その安定性自体が激減したことで先攻制圧でドライトロンを使う必要が下がり、加えて環境によく出てくるデスフェニに対して壊獣を利用できないという点が足を引っ張ったため、結果環境からはその数を減らしていきます。

同様に前期環境トップであったエルドリッチも最も上質な罠であるコンキスタが制限となり、アドを取る手段が減りました。といってもカードを破壊するだけならパニッシュメント等でも代用できるため、大きな痛手ではありませんでした。ただ、コンキスタはサーチが出来るという利点もありました。妨害の主であった永続罠系統は無傷ではありましたが、破壊しまくってくるデスフェニがせっかく張った永続罠をターンが増えるごとに徐々にはがしに来るため、アド差を埋めるのが難しく、加えて得意のロングゲームになるほどデスフェニがきつくなると環境的には向かい風でした。ですが、デスフェニ以外には相変わらず強く出ることが出来るため、環境中位にしがみつきました。

逆に環境上位に伸びてきたのが、既存テーマでは鉄獣戦線です。特に環境トップまで来たのは純型十二獣型です。理由はやはりデスフェニの存在が大きいと言えるでしょう。元々ミッドレンジ系故に先攻でも妨害は少ないデッキで、その妨害も基本的にリボルトによるシュライグに依存していました。
ところが、デスフェニが登場したことでアナコンダルートによるサブプランを得られたことで妨害性能が上がりました。故に、過剰な制圧より安定した妨害性能が優先された結果と言えるでしょう。

そして、新規実装にもかかわらず早速環境トップを取ったのがシンクロテーマの相剣です。相剣も環境で2種に分かれます。

  • 純型:相剣パーツ中心としたデッキ構築で、相剣の持ち味であるミッドレンジ系の動きで少しづつアドを取っていきます。手札誘発を多めに入れることで先攻盤面を止めつつ、相剣カードで着実に追い詰めていきます。後攻でも白の聖女エクレシアを活用することで召喚権を残したまま展開出来、バロネスによる破壊と妨害・ショウエイによる除外と高打点とで有利な戦術を使います。

  • 天威相剣型:同じく幻竜族で、効果モンスター以外が存在すると発動できる効果を持っている天威と組み合わせた型です。相剣トークンが天威カードの発動条件になり、除去・リクルート・回収と先攻でも後攻でも活躍します。また、天威チューナーの採用もできるのでボウテンコウなどのシンクロを採用できるようになり、妨害数を増やすことが出来るため、純型とは違い先攻制圧色の強いデッキ構築となります。
    天威相剣自体にも相剣を軸にした天威相剣以外に・レベル3チューナーであるローズドラゴンを入れてバロネスを立てやすくした天威ローズ型・SSできるレベル7を増やしてトマホークラドンに特化した天威7軸型などがあります。ただ、どちらも完全に先攻制圧系の展開デッキであり相剣はラドン展開のパーツとみなされ、相剣の投入枚数はかなり抑えられます。

相剣の強みの一つは、やはりショウエイによる除外だと思います。デスフェニは放置するとアド差をつけられやすいカードであり、それを除外できるショウエイの効果は強力であると言えるでしょう。

電脳堺・幻影騎士団は前回と同じく環境中位で戦っていました。電脳堺はVFDを主軸に戦い、実際決まればゲームセット級のパワーでした。
幻影はモンスターを横に並べやすいため、デスフェニという強力な妨害札は追い風でした。ただ、妨害を受けやすいという弱点は変わらなかったため、まだ伸び切っていはいませんでした。しかし、OCG環境では幻影勇者Dとして環境トップに存在したため、MDプレイヤーの中にも後程の環境での活躍に期待する人が多かったです。

環境総評

長い間の環境硬直が溶け、環境トップに新たな風が吹きました。
環境トップが塗り替わり、新たなテーマが環境トップとして君臨し、多くのユーザーが環境の変化を喜びました。新たな環境トップとして現れた相剣はドライトロンのように過剰な先攻制圧をしないため、駆け引きや読み合いのある環境になったという声もありました。
ただ、デスフェニの影響は多大に出たと言えるでしょう。デスフェニの性能の高さと出しやすさから、デスフェニを投入できるデッキはシナジー関係なくデスフェニを投入することが増えてきました。
一部ではテーマの本命よりデスフェニの方がアドを取りやすいため展開着地点として優先されたり、展開力のあるデッキではアーティファクト-ダグザアナコンダを特殊召喚してアナコンダの効果発動に対してデッキからデスサイズをセット、相手ターン開幕にデスフェニで破壊して相手のEXを封じるなんてコンボも徐々に増えてきました。
良くも悪くもデスフェニが幅を利かせる環境のため、OCGでは同時に暴れた勇者と合わせて勇者D環境などと呼ぶ人もいました。故に、環境の変化を喜ぶのと同時に、もうすぐ実装されるであろう勇者ギミックに対して、どういった規制をするのかが注目されました。

ドライトロンの構築の変化

前述の通り、ドライトロンは最強のコストであった弁天を制限にされてしまいます。そこでぶち当たる壁としては、如何にコストを捻出するかです。実際ドライトロンもこの辺りからいろいろ構築が研究されました。以下に一部を載せておきます。

  • パーデク下準備型:先攻4妨害の流れを組む正当派生的なデッキです。特徴としては、アルデクではなくその下位互換のパーフェクトデクレアラー(通称:パーデク)を使用し、下準備に対応させるためパーデク用儀式魔法を使った形です。
    一つ補足をしておくと、アルデクにも専用儀式魔法は存在します。ただ、あまりにも使い勝手が悪かったことと、レベルを12分も用意するのがドライトロンでは厳しいことからアルデク下準備型は存在しませんでした。
    それに対し、パーデクの専用儀式魔法宣告者の預言はレベル6のため弁天1体でSSできる点、そして何より宣告者の預言の墓地効果により、素材にした墓地の弁天を手札に回収できるのがドライトロンにとってはとても有利でした。これにより、弁天の効果を1枚で何度も使いまわすことで必要なカードのサーチを繰り返し、4妨害のための弾をチャージします。ただ、下準備を引けるか引けないかに左右されやすくなるという弱点がありました。

  • 虚無の統括者型:この型では、弁天のサーチを虚無の統括者にして、相手の特殊召喚を完全に封じてしまう型です。ドライトロンは召喚権が余りがちで、基本的に余った召喚権を使うのは効果でレベル6になれる宣告者の神巫でした。イーバを必須としない以上ベアトリーチェのためにレベル6を並べる必要はなく、その余りやすい召喚権を統括者にすることで、相手に永続封じをしてしまうというものです。このデッキの利点は、増Gを受けても最小のドローで統括者を立てやすく、壊獣も使用不可能でEXに依存するテーマはメインが低打点なことも多いために無限泡影を引かない限り統括者の除去が難しいことでした。
    といっても採用率は高くないですがサンボルライスト等は警戒して、横に虚光の宣告者を並べて魔法罠対策なんかもできました。パーデク型とは違った先攻制圧と言えるでしょう。

  • フェイズスキップ型アモルファクターPの効果によるメインフェイズ1スキップを活用する型です。先攻でこれを使用した場合、相手はバトルフェイズにモンスターがいないため自軍モンスターとプレイヤーの生存率がかなり高いことが特徴です。次の自分ターンでフィールドを整えてワンキルを狙いますが、メインフェイズ2に封殺されるリスクもあります。手札が上振れたら、端末世界によってメインフェイズ2もスキップできるため、アモルファクターPと端末世界による実質ターンスキップもありました。
    ただ、妨害力は他の型より低いためメインフェイズ2の展開に対する妨害が足りず封殺されてしまうこともありました。

  • ナーサテイヤ型:サイバーエンジェルでも強力な効果を持つナーサテイヤによる相手モンスターNTRを軸とした連続リンク召喚が特徴です。ナーサテイヤ自体はターン1が存在しないため、相手のモンスターを減らしつつ高リンクにつなげることが可能でした。この効果を優先的に使用するためにナーサテイヤのコストとなるサイバーエンジェルを多めに採用します。運が良ければ、相手のフィールドのモンスターを全て除去したうえでウーサやアクセス・アストラム等を立てられます。基本的にはナーサテイヤ型単体というよりは、他の軸や型と組み合わせて使われることが多かったです。

  • 儀式の準備型:名前の通り、儀式の準備を多めに入れることで、弁天が抜けた分のサーチを補おうという型です。儀式の準備で墓地のメテオニスも回収できるため、場合によっては展開の一押しにもなりました。ナーサテイヤ型と組み合わせるために、サーチ用の儀式はサイバーエンジェルを多めに入れたりすることもありました。儀式の準備はターン1がないため、手札にかぶっても腐りにくいという利点はあります。ただ、儀式の準備とサーチ先の儀式体の分だけメインが膨らみやすくなるのが弱点です。


おわりに

リミットレギュレーションが改訂されたことで、今までのドライトロン祭りが終了し、ランクマを楽しむ人が増えてきました。OCGとは完全に独立した禁止制限故に環境もOCGとは異なってくるため、OCGのマッチ戦とは異なった環境を楽しめると喜ぶOCGユーザーもいました。
また、イベントもこのころから毎月行われるのだということが確定し、来月は何のフェスをやるのだろうかというワクワク感を生み出すこととなりました。特にランクマッチ戦に飽きていたユーザーにとってはイベントは気楽にできる遊戯王であり、面白いフェスを期待する人も多かったです。
ただ、真竜などのコンセプト外デッキによるフェスの蹂躙も規制をすり抜けてくるためになかなか消滅せず、加えてコンセプト外デッキがコンセプトデッキに優位を取れることが多いために、コンセプト外のメタカードを一律禁止すべきではという声も増えてきました。
しかし、運営のゲーム改善に対する前向きな姿勢は多くのユーザーが感じられ、コイントス切断対策、発動遅延対策なども対応されたことから大きな期待も同時に集まっていました。事実、現在でもデジタルならではの初心者がわかりやすいような工夫なども行われており、今までのコナミの運営とはやる気が違うと感じるデュエリストも多かったです。
ただ、今後の実装でどうなるか…

結構書くのが時間かかるため、1週間に1回投稿できればいい方だと思いますが、また次回お会いしましょう。


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