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(全編無料)環境デッキと見る遊戯王マスターデュエルの歴史 サービス開始~4月上旬ー儀式召喚は世界を獲るー

割引あり

はじめましての方ははじめまして。
これは私が個人的備忘録的感じでゆる~く上げている遊戯王マスターデュエル(以降遊戯王MD又はMDと記載)の歴史を、当時の環境デッキの推移と共に見ていくゆる~い記事です。
割と記憶便りなところがあるので、間違い・訂正・補足等ありましたらお気軽にコメントにください。
今回は初回ということもあり、初心者向けの解説も含めるなど少し長めになってしまいました。フェスの環境はフェスのところで、当時ランクマ環境は後半に記載しています。

当noteの内容については、動画にしたものをYouTube・ニコニコ動画に上げておりますので、気になる方は記事巻末のURLからご視聴ください。



サービス開始~2月中旬

サービス開始

遊戯王MDがスタートしたのは2022年1月19日、といっても実はこの日にサービス開始しますとは全く聞いていなかった!!
というのも、MDのホームページでも2021年から長い間「今冬リリース」という情報だけで、冬っていつまでのつもりだよという多くのデュエリストの悶々とした気持ちを高ぶらせていました。
そんな中でいきなりリリースで多くのユーザーがびっくりしたという当時の感想でした。
正確には19日にリリースしたのはPS4関連とsteam版で、スマホでできるiOS版やandroid版のリリースは少し後の27日からでした。

余談ですが、遊戯王のゲームはOCGをプレイしてきたデュエリストから見たらここ数年何とも言い難いゲームが多かったと言えるでしょう。

大人気となったタッグフォースシリーズ(以降TFと記載)は最新作のTFSPを発売したのがいろんな意味で話題があったあのARC-Vの初期辺りです。TFSPは主役である遊戯の声優変更、今まであったTFシリーズのキャラゲーとしての面白さは減少し、採用カードもRRなんてバニシングレイニアスしかなかった記憶のレベルです(黒崎がただの鳥獣使いだった)。

デュエルリンクスも大人気を博しましたが、OCGとはかなり違う所謂スピードデュエルという形態で実装カードや手札誘発の有無がありOCGと完全に異なるゲーム、環境となっていました。それ自体は独自性がありましたが、やはりOCGと同じように触りたいというユーザーには物足りないものでした。加えて当時は召喚法が少なく、リンク召喚は完全に実装前ですからね。

その後リンク召喚をひっさげたゲームとして、海外で発売されていたレガシーオブザデュエリスト(通称:LotD)が発売され、初の最新ルールで遊べる公式の遊戯王ゲームとなりました。ただ、カードの入手のためのサレンダー作業やOCGとは大きく異なるリミットレギュレーション、そしてハリファイバーのいない収録カードなど悪い点が目立ち、MDがある今から見るとその人気はまさに閑古鳥が鳴いていると言えるでしょう。

デッキとパック

話は元に戻して、サービス開始時点では1種のおもちゃデッキと、3種の選べる初期デッキがありました。
始まりのデッキ:おもちゃ。今でいうグッドスタッフというかスタンダードに近い?
パワー・オブ・ザ・ドラゴン:打点の高いドラゴン系列のデッキ。青眼が入ってる!!
シンクロ・オブ・ユニティ:ジャンク系があったりと遊星デッキに近い。サイク等魔法が少し優秀。
リンク・ジェネレーション:トークンなどでの横展開によるリンク召喚主体だが、魔法罠が少し弱い。

なんで初期デッキの話なんかするかというと、これが次の話につながるからです。

サービス開始時に存在したセレクションパック(以降セレパと記載)は次の2種類です。


リバイバル・オブ・レジェンズ
初期デッキの3種を強化できるパックです。初期デッキのコンセプトを活かしつつ、強化するということで、良い言い方をすれば様々な可能性を持ったパック、はっきり言ってしまえばコンセプトが3種に分かれている故に自分の望むものが手に入りづらいという点です。
このパックでは、汎用としてはファイアウォールドラゴンがいましたが、環境的に人気だったのはやはりレベル1で呼べるリンクリボーと最強クラスの耐性を持つブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴンではないでしょうか…

ストルワート・フォース
所謂パワカと呼ばれるカードをとりあえず詰めたパックと言えるでしょう。
汎用としてみれば、最強のリンク2のハリファイバー、ツーパンマンの異名を持ちアクセス登場以前は戦闘最強と言われたヴァレルソードドラゴン、質のいい魔法であるツインツイスター強欲で貪欲な壺、今回の話のテーマとなるパーツとしてみれば、鉄獣のシュライグエルドリッチ、竜輝巧(と書いてドライトロンと読むきん)のバンα、ヌメロンの初動であるヌメロンネットワークなど、強力なカードの1枚が入っているという感じですね。
テーマの軸となるカードが高レアは1種しかないものの、そこからシークレットパック(以降シクパと記載)から幅広いテーマに触れるようにされています。実際このパックは環境に大きな影響を与える貴重なセレパです。

セレパと同時に、2種のストラクチャーデッキ(以降ストラクと記載)も発売されました。ストラクは全て1つ500ジェムで最大3回までしか購入できないという限定付きです(ストラクカードは分解不可のため、そもそも3つ以上買う理由がない)。

マジシャン・オブ・ペンデュラム
EM・オッドアイズ・魔術師を含むペンデュラム中心のカードで組んだ、榊遊矢をモチーフにした所謂キャラデッキです。作中で遊矢はP召喚だけでなく融合・シンクロ・エクシーズとほぼすべての召喚法を活用して戦っており、このパックのEXも融合2種、シンクロ2種とエクシーズ1種でできております。
P実装前の方はペンデュラムの仕組み自体がややこしいと感じる方が多く、復帰プレイヤーへのペンデュラム体験デッキとしてもおすすめです。
Pを組みたいプレイヤーとしても、EMからはサーチが出来るドクロバットジョーカー、魔術師からはスケールを自在に張り替えられる慧眼の魔術師と2対2サーチが出来るペンコ、オッドアイズからはオッPやオッドアイズサーチの螺旋のストライクバースト天空の虹彩、汎用も揺れる眼差しとかなり強いカードが入ったストラクです。
ストラク全般に言えることですが、汎用カードや強いカードが入っていたりとかなり出来がよく、500ジェムでも交換得と言えるものが多いです。

リ・コントラクト・ユニバース
ホープを中心としたエクシーズデッキです。ホープと言えばZEXALの遊馬と言えるように、このデッキはオノマト、ゼアル〇〇系が混ざったキャラデッキです。
ホープドラグナーなどは入っていないものの、ゼアル魔法がしっかりと入っており豊富なサーチと展開でライオホープレイを切り札とするデッキです。
エクシーズ・チェンジ・タクティクスで大量ドローで手札回復しつつライオホープレイで妨害を置けるのが強みですが、このストラクが人気だったのはその収録カード。
そう、貪欲な壺が入っていたんです!!
当時はまだサービス開始直前でみんなジェムもカツカツでSRやURのポイントもあまり溜まっていませんでした。そんな中でたった500ジェムで手に入るなら欲しいと貪欲目当てで引く人が多かったです。
この後もストラクには有能な高レア汎用が混ざることが多く、それ目当てでストラクを引く人もいます。

後は、うらら、ライトニングストーム、神の宣告のそれぞれ1枚が確定で手に入るセット商品が同時に実装されました。
簡単に言えば、上記カード1枚が確定とあとはマスターパック(あらゆるカードが手に入るごちゃまぜパック)から10連(1000ジェム)分が付いて750ジェムとかなりお得なセットとなっております。
特に、上記3枚は現代遊戯王でもぜひ持っておきたいカードと言えるほどのものであり、コナミサイドの優しさが感じられるセット商品でしょう。
え?増殖するG?知らんそんなの私の管轄外だ。

こうして遊戯王MDはなんとサービス開始20日弱で1000万ダウンロードを突破するという人気で一躍Twitterのトレンドをさらうほど話題となります。
今まではOCGで遊戯王をしようとした場合、紙は絶版やシングル、手札誘発等費用がかなりかかり、LotDは先述の通り、ゲームは非公式のADS便りな部分が多かったです。この大人気はそれだけ遊戯王というコンテンツをやりたくても敷居が高くできなかったユーザーが多かったと言えるでしょう。

2月中旬~4月上旬

新ストラク実装

レイジ・オブ・サイファー
エクシーズテーマであるサイファー(と銀河眼)のストラクです。
サイファー自体汎用性があるカードが多いテーマではないため、このストラクは他のストラクと違い有用な汎用という意味ではあまり強いとはいえませんでした。
ただ、同時開始がエクシーズフェス(後述)のため、今までエクシーズテーマを組んでいなかったプレイヤーからしたらホープ以外の選択肢として交換してフェスで使う人が多かったです。
この辺りではサービス開始すぐということで、運営もフェスに合わせてストラクでユーザーをサポートしたりと割といい動きをしていたと思います。

エクシーズフェス開催

2月17日から2月24日までMD初のイベントデュエルであるエクシーズフェスが開催されました。
エクシーズフェスの名の通り、EXに入れられるのはエクシーズモンスターのみであり、また一部メタ性能の高いカードやフェスのコンセプトと大きく逸脱したカード、強力なテーマの軸には通常のリミットに追加する形で規制が加えられるなど日頃のランクマッチとは大きく違う環境でのデュエルです。
初めてのイベントということで、現在とは一部違う点がありました。
1つ目が勝利時の獲得ポイントです。今でこそ勝利時は500、敗北時は50ポイントと10倍の差をつけられています。しかし、初期は勝利時は100ポイントと敗北時の2倍程度。これが後述の問題を発生させる原因となり、イベント途中で獲得ポイントが勝利時のみ500と増加しました。
2つ目が所謂ノルマです。現在はジェムが11000ポイントまで,以後はレガシーパックチケット等でありこのジェムがもらえる11000をイベントのノルマと称する人が多いですが、当時はジェムとチケットが交互でノルマが19000でした。
つまり、もし勝利時ポイントが100だった場合19000ポイントを稼ぐには、勝利数に換算すると190回です。イベントが7日だったので、1日平均28勝しないといけない計算でした…
(´・ω・`)廃人イベントすぎるっぴ…

問題点
やはりこのフェスで話題になったものと言えば、自爆デッキです。
自爆デッキとは、その名の通り自分で自分のライフポイントを削るデッキのことです。
勿論使っていても別に楽しくはありませんし、対面しても勝手に相手が負けてくれるのである意味対決しても損はありません。ただつまらない!!
原因は前述の獲得ポイント問題。負けても勝利時の半分貰えるなら、自爆した方が早くイベントを回せるというものでした。それくらい平均28勝は疲れるんです…
加えて、現代遊戯王は1ターンがとにかく長い!!
所謂展開系に先攻展開されたら、相手ターンだけで数分かかります。
そう、時間の無駄なんです。
それならポイント半分でも自爆して早く回した方が得という気持ちがわかります。流石にエクシーズフェスのコンセプト外なので、勝利時とは10倍の差をつけられることで、自爆はその数を減らすこととなりました。

新ソロモードとSPデッキチャレンジの追加

3月のアップデートで天気のソロとSPデッキチャレンジ、簡単に言えば原作遊戯王のデッキを使って戦う原作再現モードが実装されました。
天気は除外を駆使して戦うテーマですが、このころはまだ天気予報が実装されておらず、正直時期が悪かったです。天気は予報が来る前と来た後では動きも違うため、アピールするなら予報実装時でよかったのでは?とか思ったりします。
SPは一見面白そうなソロモードでしたが、残念ながらあまり評価はいいとはいえませんでした。
というのも、アニメのデッキは正直しっかりと組まれていない雑多なデッキがほとんどで、現代遊戯王からしたら紙束と呼ばれるようなカードを詰めたデッキです。そしてアニメでは都合のいいときに都合のいいカードを引ける所謂デステニードローがご都合主義的なものとして陰で存在しているため互角のように見えるデュエルが行われますが、勿論そんなもの現実で使っても事故るだけです。
つまり手札事故が起きないように祈りつつ、相手に勝つまでやり直すこととなります。現代遊戯王をやってる人間からしたら、効果も弱くコンセプトもないデッキを回しても運ゲーとドローゲーに終始するだけであまり原作再現として面白いものではありませんでした。悲しいかな。

NRフェス開催

3月23日から4月4日までMDとしては2回目のイベントであるNRフェスが開催されました。
NRフェスの名の通り、使えるカードはNとRのみ。多くのデッキはNRが多くとも主軸となるカードやエースモンスターは高レアが担っていることが多く、ランクマッチとはかなり変わったテーマを要求されるフェスとなりました。
特に相手ターンに妨害を打てる手札誘発は軒並みSR以上でありました。これがかなり大きく響くフェスと言えるでしょう。
また、前回かなり暴れた自爆デッキのカードは規制されるなどコナミとしても純粋にイベントを楽しんでもらえるように対策していました。
 
NRフェス環境デッキ
メタルフォーゼやマジェスペクターなどもいましたが、多かったのは安定してランク8エクシーズで対象耐性持ちを立てることが出来る無限軌道ガジェ(機械GS)と多くのサポートカードによる安定性と強力な効果で破壊と打点強化を行う儀式テーマのメガリスでした。
無限起動ガジェは、無限起動ロックアンカーでL4機械族であるガジェットを特殊召喚し、次のターンのリソースを得ながらロックアンカーとガジェのレベルを8にしてドラッグラビオンを出し、そこからエクシーズモンスターを呼ぶなどしていました。呼ばれていたのは大体がハートアースでしたね。EXにつなげていくデッキでした。ラビオンが対象耐性を持っており、それでマジェの罠などに強く出れたのも大きかったですね。
それに対してメガリスは儀式テーマ故にメインデッキで戦うテーマで、儀式サポートカード、マンジュ・魔神儀などによるサーチと展開、そしてなぜかR扱いなメガリス・フールによるデッキからの儀式召喚とかいうインチキ効果で相手ターンにベトールで複数枚破壊して、自分ターンにファレグでパンプして上から殴るという明らか他のデッキとは一線を画す強さでした。加えてこいつらも最上級儀式がレベル8故にドラッグラビオンとハートアース出せました。儀式で戦わんかい!!

手札誘発や無限泡影などがないせいで基本的に先攻展開は止められない環境であり、先攻圧倒的有利が発生していました。
またPデッキはスケールをそろえる必要がある以上どうしても初動枚数が多くなりがちで、スケールと初動を狙い撃ちして潰されると動けないという状況も多かったです。
その結果、環境としては先攻を獲れればほとんどのデッキを蹂躙できるメガリスが環境トップとして圧倒的に強かったと言えるでしょう。

問題点
このフェスの問題点は、手札誘発がないゆえに先攻展開絶対有利という点です。この問題は現代のフェスでも発生している問題です。
罠は低レアでも強いものはありますが、罠という性質上後攻1ターン目は無力です。強い魔法は高レアが多い上に、強力な罠を伏せたところでメガリスがベトールで3枚くらい平気で破壊してくるため、後攻は本当に苦しい戦いになります。
後攻に強いデッキとしてはヌメロン、壊獣カグヤ、サイドラなどがいますが、主軸が高レアで構築は不可能でした。
そのため初手が1枚増える以外に後攻のうま味が少なく、先攻取れず相手がメガリスなら即サレンダーが横行しました。
加えて、フールという明らかに他のテーマならSR上等なカードがなぜR扱いなのかという突っ込みも散見されました。
 
総評
NRのみというかなり独自の規制が行われたものの、メガリスの台頭があまりにも異常すぎた結果ほぼ1強環境と呼ぶ人もいるほどで、運営の事前規制不足というのが否めませんでした。
ただ、メガリスを除けば低レアのみで独自の構築で変わったコンボや動きを見せるデッキも多く、他のイベントではもう見ることもないであろう構築と対面する楽しさもあり、一定の評価を受けています。
しかし商業的に見た場合、SRURが存在しない以上このイベントで運営的にはユーザーに新たなパックを向いてもらうチャンスにはなり得ません。
そのためなのかわかりませんが、その後記事作成時点でNRフェスは再度行われることはありませんでした。

サ開~4月中旬のランクマ環境デッキ

まず大前提として、初期の遊戯王MDでは現在と違い、リミットレギュレーションの改訂が毎月行われておりませんでした
元々MD自体OCGともTCGとも違う独自のリミットレギュレーションを採用しておりましたが、環境的に見て新規カードが実装されたのも4月に入ってから、リミットレギュレーションが初めて改訂されたのは5月になってからでした。(正式にはサイファーストラクで僅かに増えましたが、環境的な変化はありませんでした)
そのため、新規カードが実装される4月中旬までを一つの区切りとして環境デッキを見ていきます。
まずは環境で主力だったデッキから見ていきます。

展開系デッキ

宣告ドライトロン:豊富なサーチカードから始まる連続特殊召喚により墓地と手札リソースをそろえつつアルティメットデクレアラー(通称:アルデク)を場に出し、最後にイーバを墓地に送ることで天使族モンスターを2体手札に加える儀式デッキです。このデッキの強みは何といっても墓地リソースを準備しつつの4妨害という高い妨害性能でしょう。ただ、前妨害しか置けず一滴や壊獣が刺さるのが辛いです。加えて、うらら・G・わらし・無限・ニビル・ドロバ・クロウと主要な誘発がほぼすべて刺さります。

電脳堺:現代のEMEmなんて呼ばれたりもするシンクロ・エクシーズの展開系デッキです。切り札は調整版ショックルーラーの異名を持つランク9エクシーズモンスターのVFD、相手の発動自体を封じる強力なモンスターです。朱雀による後ろの妨害も持つものの、手札事故の多さが弱点のデッキです。

(暗黒)未界域:ターン1のない手札発動効果で展開する海外先行テーマです。TCG圏ではその圧倒的な強さで環境で暴れまわりました(海外はG禁止のため、展開系が強い)。暗黒界とまぜることで、未界域の墓地送り効果からアドを獲りさらに展開する博打ありの超展開系デッキです。アポロウーサやバグースカを簡単に揃えられるため、展開しきったら強いものの、前妨害のみでG受けもあまりよくありませんでした。

アダマシア:岩石族を軸とした展開系デッキです。デッキトップ5枚をめくり条件に則した岩石族を特殊召喚できる能力を持ち、それを活かして展開していきます。デッキトップに左右される性質上展開はアドリブ部分が多く初動妨害にも弱いと弱点が多いですが、デッキが回った場合の妨害数は6をも超えるほどで、その展開力で人気を博しました。岩石故にブロックドラゴンを強く使えるのも1つでしょう。

中速・コントロールデッキ

鉄獣戦線:フィールドと墓地と除外をグルグルさせながら妨害を置くリンク召喚デッキです。共通効果のおかげで中速の割にはアクセスなどが出しやすく、ライフカットも早いのが特徴です。鉄獣はその性質上、環境でも下記の3種類に分かれました。

  • 純鉄:一部シナジーのあるカードのみ採用し、軸は鉄獣が担う型です。強みは無駄なものがない分手札誘発・無限などを採用しやすく、後攻でも妨害をしやすい点です。ただ1枚初動はフラクトールとそれをサーチできる炎舞テンキ位で、少し安定性を欠きます。

  • 十二鉄:十二獣による圧倒的安定性を取り込んだ型です。十二獣エクシーズが鉄獣のコストになり、初動の安定性も十二獣がサポートします。ドランシアの存在によりG受けもいいのが特徴です。最低保証は圧倒的に高いですが、良い手札でも展開の伸びは限界があるという感じです。

  • L鉄:鳥獣族であるLLを採用し、展開力を爆発的に高めた型です。LL自体展開力のあるテーマで、先攻制圧で封殺する展開系デッキ色を強めたものです。ただLL自体が1枚初動ではないため安定性も十二型より下がり、G受けもかなり悪くなります。最低保証こそ弱いですが、逆に初手が良ければほぼ封殺と十二型とは真反対と言えます。

プランキッズ:1枚初動を持つリンク・融合デッキです。1枚から動き出せるため手札誘発等の妨害札を採用しやすく、後攻を取らされても妨害で展開を止められるデッキです。その性質上、プランキッズモンスター全てが1枚初動となるため、一滴などを強く使えます。

サンダードラゴン:墓地、除外効果を活用し展開していく本来は融合軸デッキです。超雷龍によるサーチ不可を強く使うことができるのが特徴ですが、一部カオス要素も取り込むことで横展開を伸ばすこともできます。ウーサと超雷龍をそろえるとかなり強力です。ただ、良くも悪くも強みが超雷龍に凝縮されており、超雷頼りな部分が否めません。

幻影騎士団:レベル3モンスターを軸としたリンク・エクシーズテーマです。幻影罠が除外することで墓地蘇生効果を持ち、それによって展開を伸ばしたり幻影罠をサーチしたりする墓地活用テーマの代表です。霧剣による後ろ妨害もおけるのが特徴ですが、このころは妨害にまだ弱かったです。後程環境でも暴れますが、まだおとなしい時期です。

閃刀姫:10期に登場し、長らく環境にしがみついていたコントロールデッキの代表格です。豊富な手札誘発と条件付きながら強い効果を持つ魔法カードで先攻後攻どちらでも強いデッキです。ただし、妨害しつつ有利に進めるという性質上、相手デッキへの理解やマストカウンターのタイミングなどデュエルにおけるプレイングがかなり難しく、使いこなせるデュエリストが少なく母数はあまり増えませんでした。

壊獣カグヤ:高い除去性能を持つ壊獣と、バウンス効果を持つカグヤを活用した後攻メインのデッキです。レベル8をそろえて、ドラッグラビオンからヌメドラによるワンショットキルを狙います。カグヤで相手フィールドに出した壊獣を再利用できるというのが強みですが、そのカグヤをサーチするカードが少なく若干初手に左右されやすいデッキです。

罠ビ・メタビ・その他系デッキ

エルドリッチ:効果処理時効果と除外してセットする効果を持つエルド罠を主軸に戦う罠ビ・メタビデッキです。フィールドでモンスター効果を多用しない性質上、スキルドレインやサモンリミッターなどの強力なメタ罠を複数枚採用しやすく、都合が悪くなればエルドの墓地効果でそれらを自分で墓地に送るというなんとも性格の悪いデッキです。罠デッキながら、羽根などにも強いのが特徴です。

オルターガイスト:エルドと同じく罠ビながらこちらはエルドほど一部強力なメタ罠は採用しづらいです。代わりにテーマ罠の質が良く、モンスター効果も有能で魔法使い故に魔法使い族の里による魔法ロックとエルドとは違ったいやらしさで攻めました。ただ、エルドリッチが安く組めるため当時はエルドに人気を取られがちでした。

(命削り)真竜:9期テーマで後ろ妨害メインのテーマです。前妨害が多くない性質上エルドと同じくスキドレやサモリミを強く使うことが出来、邪魔になれば永続カードをリリースしてアドバンス召喚とエルドと同じくメタビしてくる嫌われ者なデッキでした。特に展開を捨てて命削りの宝札でドロー加速する型が人気でした。ただ、バック除去に致命的に弱く、羽根やライストを打ったらサレされたということも多いです。

サイバードラゴン(表サイバー):サイバードラゴンとその他豊富なサポートカードで後攻ワンキルを狙う型です。壊獣による露払い、パワーボンドによる打点強化、ランページによる連続攻撃で一気にライフを削ってきます。ただ、メインに採用するテーマカードが多いためワンキルできない手札事故も多く、1枚初動でもないため少し不安定でした。ただ、相手モンスターの有無にかかわらず連続攻撃でワンキルを狙えるのが強みです。

ヌメロン:1枚初動からワンキルを狙える革命的後攻テーマです。複数枚初動でかつメインが膨らみやすい表サイバーと違い、エースモンスターをEXに完全依存しているため、ヌメロンネットワークとそれをサーチできるカードが1枚初動でメインも必須は初動札とヌメロンダイレクトのみという圧倒的自由枠で先攻の展開を誘発等でとめつつ後攻ワンキルを狙える後攻テーマ最強クラスです。手札誘発による妨害、壊獣・ラヴァゴーレムの前妨害除去、羽根・ライスト・ツイツイによるバック除去とそれらを複数枚採用できるほどの自由枠です。ただ相手モンスターを殴る性質上、先攻が致命的に弱く、後攻も相手フィールドが空だとワンキルが出来ないという弱点があります。

環境トップ考察

当時環境はサービス開始直後の黎明期故に各々好きなデッキでランクマを戦ってはいました。また復帰勢など現代遊戯王に慣れていない層も多く、割と青眼などでも勝てる可能性は持ってたりしました。
その中でも環境上位に君臨したのはドライトロンエルドリッチ、それを追従する形で電脳鉄獣という4強でした。

ドライトロンによる先攻4妨害は強力で仮にアルデクを潰しても手札のバーミリオンによる2妨害は残っているなど強力でした。また、後攻でもナーサテイヤによるコントロール奪取、カオスマックスの強耐性と戦闘倍ダメージ、アセンブリー後のアーゼウス等サブギミックが強かったです。
前述の通り弱点は多いものの、当時はサービス開始直後で多くのユーザーが手札誘発を生成するポイントが足りなかったり後回しにしがちだったのも追い風でした。
加えて、同じく環境上位にいたエルドリッチに対して強く出られたというのも利点でしょう。ドライトロンは墓地からも発動できる性質上ツイツイなどのコストに利用してもほぼ損がなく、メタビメインのエルドリッチの罠を撃ち抜けるからです。また、エルドなど罠ビは手札誘発の採用枚数が少ないため展開デッキとしては安全に先攻展開を通しやすく、罠ビと展開系の相性的なものもありました。

そんなエルドリッチが人気を博した理由の1つはやはり『安く組める』という点が大きいでしょう。エルドはEXを多用しないためEXの作成コストを抑えることが出来る上、強力な罠はSRが多くURポイントを温存できました。加えて罠ビは罠1枚1枚が強力故に手札誘発が採用される枚数は他のデッキより少なく、UR上等なうららや増Gの生成を後回しにできました。
環境的な相性から見てもドライトロンには不利でしたが、電脳はVFDを優先する性質上先攻を取ってもバック除去がおざなりになりやすく後攻からでも間に合うことがあり、鉄獣は中速ゆえに不利にはならないとエルドリッチとメタ罠が強く出られる対面も多く比較的活躍しやすいものでした。
プレイングも他のデッキよりわかりやすく、復帰が現代遊戯王を感じる上ではおすすめのデッキと言えます。

電脳堺はVFDという強い味方がいたものの、どうしても事故の多さがネックになりました。MDはシングル戦のみゆえに構築も先攻後攻で分けることが出来ず、誘発を増やしすぎても事故の元、安定性を求めるとドライトロン対面がきついと辛い点が多かったですね。
ただ、多くのデッキはVFDでほぼ詰みになることも多く、展開が通れば勝てるという場面も多かったです。エルド対面はバック除去にカードを割きづらい関係上相性的なある種運なので仕方がない面もあります。

鉄獣は除外したリソースをリボルトで回収できるという点でロングゲームに強く出ることが出来、耐えて耐えて勝利を得たというデュエルもありました。なんだかんだシュライグによる対象を取らない除外は強力で、エースモンスターを除外することで確実に有利に進めることが出来ました。
加えてトップメタであったドライトロンの先攻展開には中速故の豊富な手札誘発で妨害できたため、当時ドライトロンを使っていた私としては本当に辛かったです。

環境総評と所感

群雄割拠感こそありましたが、高確率で勝てるデッキとして上記4強は人気を博しましたが、最終的な当時の環境最上位としてはドライトロンではないかと思います。先攻ならアルデク、後攻ならナーサテイヤで相手モンスターを奪って連続リンク召喚と勝ち筋が豊富なある意味「ドライトロンwith儀式GS」といった感じでしょう。
簡単にサーチされて出てくるアルデクはまさにトラウマもので、リミットレギュレーションの改訂が長らく行われなかったために、多くのユーザーがドライトロンに対して強烈なヘイトを向けるようになりました。
連日「アルデク禁止しろ」「ドライトロンはクソゲー」「もうみたくない」とドライトロンアレルギー患者が大量発生しました。
正直ドライトロンの過剰展開はデュエルを大味にしすぎるため、せっかくの復帰勢がやめてしまう原因にもなりました。運営もドライトロンの悪行は知っていたはずなのに、どうしてもイベントを優先してしまいリミットレギュレーション改訂を後回しにしてしまいました。
加えて新規カードやテーマの実装も遅く、数か月もの間ドライトロンはランクマで暴れ続けることとなりました。
今思うとせっかくのスタートなのに勿体なかったと感じます。

余談ですが、儀式召喚というシステム自体が長い間環境からは遠い存在とされ、勝てるテーマとして見られるようになったのはやはり影霊衣(ネクロス)の登場からではないでしょうか。デッキからのサーチ、EXや墓地からの儀式素材の活用、墓地からの儀式召喚などテーマで色々することが出来ました。
確かに当時のEX環境にネクロス儀式は刺さりましたが、ネクロスには限界があります。それがどこまで行ってもネクロス以上にはなれないということです。というのも、儀式魔法で出せる儀式モンスターは限定されているという致命的な縛りがあるからです。
儀式モンスターで強力なカードは既に存在していましたが、それを使いこなせるテーマが弱い・不安定だと結局環境は狙えません。
加えて儀式テーマはメインに儀式モンスター、儀式魔法、そして儀式素材をいれる都合上メインデッキが膨らみやすく自由枠が他のテーマより少なくなりがちで、当時と違い手札誘発が劇的に増加した現代の誘発環境下では相性が良いとはいえません。

しかし、それを全て覆したのが最強の儀式魔法と呼ばれる流星輝巧群(メテオニス・ドライトロン)ではないでしょうか。
墓地からも儀式召喚を行うことが出来、しかもテーマにとらわれることなくあらゆる儀式モンスターが出せる、まさに革命的な1枚と言えます。
実際私が使っていた宣告ドライトロンは、ドライトロン・宣告者・サイバーエンジェル・青眼と普通なら考えられないような混ざり方のデッキです。それが成り立つのもドライトロンの共通効果とメテオニスの圧倒的性能です。
しかし、このカードの存在は今後の儀式モンスターの調整や制限が厳しくなることと表裏一体です。実際、ドラグマのアルバゾアはドラグマでしか出せないという制限がつけられています。
強いカードならつけられて当然ですが、ドライトロン使いからみたら少し寂しかったりです…


おわりに

長年遊戯王のカードゲームはオフライン要素が強かったり挙句には発売されなかったり、発売されてももっさりの海外産微妙ゲーだったりと、デジタル勢には長く辛い時間でした。
かといってOCGを紙でやる場合はカードの購入費用など、しっかり組めば数万は飛びかねないと初心者が始めるには敷居の高いものです。
しかし、MDのサービス開始によって、多くのユーザーが遊戯王を気軽に楽しめるようになりました。今まで遊戯王を触ってなかった層も、久しぶりに復帰する勢も多くのユーザーを取り込みいい走り出しをきめました。
ところが遊戯王のランクマッチという点で見ると、リミットレギュレーション改訂の頻度の少なさのために環境が完全に停滞し、せっかく集まったユーザーがドライトロンに嫌気をさし辞めていくという負のスパイラルを起こしました。
ですが私も放送等でルームマッチをやってますが、気軽に遊戯王を楽しむという意味では素晴らしいツールと言えるでしょう。
ガチなデッキに囚われず、各々が組みたいデッキで戦う、それこそがカードゲームの神髄ともいえます。そういう点では遊戯王MDはまさにカジュアル勢にとっては救いでした。
遊戯王を知ってもらう、今まで知ってはいたけど紙でやるほどではないという層を取り込めたという点では大成功と言えるのではないでしょうか。



雑記

個人的には、今回は1回目ということで幅広く焦点を当てすぎて冗長気味な感じがします。ソロモードとかランクマの環境には影響ほぼありませんからね…
次回からは、もう少し環境的なところに絞って取り上げるべきかなとか思ってます。

それではよいMDライフを!!

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