Vtuberってこれからどうなるんだろう
今日1月18日にVtuberタレントが所属する事務所ホロライブのうち、英語で活動するタレントが所属するホロライブENのGawrGura(ガウルグラ)のYoutubeチャンネル登録者数が200万人を突破というニュースを見かけたのでちょっと振り返ってみようと思った。(素人がななめ読みで書いただけです。詳細なVtuber界隈の考察はすでに素晴らしい記事がたくさんあるのでそちらを御覧ください)
そもそも、Vtuberとは”バーチャルYouTuber”の略称で、Vtuberの元祖とも言えるキズナアイがデビューした2016年に自身を”バーチャルYoutuber”と名乗ったところから始まったとされています。
”Vtuber”という現在の通称に変化したのは、あるブロガーの方が調べていらっしゃり、その方によれば
「Vチューバー」で2017/10/9、「Vtuber」で2017/12/21の模様です。
[出典][http://greety.sakura.ne.jp/redo/2018/04/when-vtuber-occur.html
だそうです。
そんなVtuberが誕生してからはや5年。ビックデータ事業などを手掛ける株式会社ユーザーローカルの発表によれば、2020年11月現在、有象無象のものも含めると、Vtuberの数は13,000人を超えるそうです。
一般的にVtuberの人気度を測る指標としては活動の拠点となっているYoutubeのチャンネル登録者数で見るのが通例です。現在、このチャンネル登録者数が最も多いのが前述した元祖Vtuberでもあるキズナアイで288万人、次点が冒頭で述べたガウルグラで200万人となり、200万人超えのVtuberはこの2人だけとなっています。なお、キズナアイはゲーム用名義などを別に持っているのでそれらを合算するともっと多くなります。
ちなみにキズナアイのチャンネル登録者数が200万人を突破したのが、2018年7月15日、デビューから2年弱経ってからのことでした。一方でガウルグラのデビューは2020年9月。ちょうど今日で200万人突破とのことなので、実に4ヶ月弱での快挙です。
達成までの期間にこれだけ差がついた理由としては
①Vtuberという下地が整っていたこと
②ホロライブという大手事務所からデビューしたこと
③英語で活動していること
④さめちゃん(ガウルグラの愛称)が可愛いこと
が挙げられるでしょう。
①に関しては、キズナアイによるところが大きいと思います。キズナアイと同時期にデビューした草分け的Vtuberは他にもいますが、まだ定まっていなかった”Vtuber”という存在のあり方を、今の形に持ってきたという意味では、キズナアイが最もトライアンドエラーを重ねながら活動してきたように思います。このあたりは割愛しますが、メディアミックス、アイドル的活動(ライブ・楽曲配信)、ゲーム実況、分裂騒動など今のVtuberの活動につながっている多くのことはキズナアイが挑戦してきたのではないでしょうか。
②と③ですが、ガウルグラがデビューしたホロライブENは、日本のカバー株式会社が運営するVtuber事務所ホロライブプロダクションのうち、英語で活動するタレントが所属しています。Vtuberは日本発カルチャーで、キズナアイ自身も日本語で活動するタレントですが、2019年の4gamer.netの記事によれば
現在も国別のファン比率では日本が30%弱で,残り70%以上は中国やアメリカなどだ。[出典][https://www.4gamer.net/games/999/G999905/20190406007/
ファン層がこうした構造になるのはオールドメディアにもYoutuberにもなかった”切り抜き文化”によりリスナーが各母国語で発信してきたころが多いでしょう。このあたりは遡れば日本のアニメに母国語の字幕(sub)をつけて違法アップロードする文化にも通じていそうで興味深いですが割愛。
ところで現在Vtuber事務所としてはこのホロライブプロダクションと、いちから株式会社が運営するにじさんじの実質2強となっており、Youtube登録者数ランキングもこの2つの事務所に所属するタレントで多くが占められています(というか上位はほぼホロライブです)。
そんな中、昨年11月にアメリカ発のVtuber事務所(エージェンシー)「VShojo」が発足、開設メンバーとして7人のタレントがデビューし、現在トップのNyatasha Nyanners(ニャターシャ・ニャンナーズ)は先日登録者数100万人を突破して躍進をみせています。加えて、ニャンナーズは元々歌い手として活動していたといういわゆる”前世”(Vtuberデビュー前の活動)がシームレスに現在のVtuberとしての活動に引き継がれているところも興味深いポイントです。
この”前世”の扱いはいわゆるニコニコ生放送の配信者などからVtuberへと転身してきているタレントが多い中で非常にタブー要素が強いものですが、一方で2次元のタレントの”現実世界での人間性”の部分についてはVtuber初期と現在で受け止め方が大きく変わってきており、一つのコンテンツとして評価されるようになってきています。ただ、これはあくまで”中の人”がいることに対する肯定であって、別名義やニコ生の配信者として過去の活動などとは切り分けて考えられています。今後、デザイナーやイラストレーターなど現実世界での肩書からVtuberデビューし、現実世界での活動とVtuberという2面性が当たり前になってきたときに価値観がどう変わっていくのか気になるところです。
④についてですがホロライブENからガウルグラと同時にデビューしたタレントはWatson Amelia(ワトソンアメリア)、Ninomae Ina'nis(いのまえいなにす)、Takanashi Kiara(たかなしきあら)、Mori Calliope(もりかりおぺ)の4人がいます。いずれもガウルグラほどでは無いですが、遠からず100万人には到達するような状況。このホロライブENより約1ヶ月早くデビューしている日本語で活動するホロライブ5期生のタレントの登録者数が40万~60万で推移していることを考えると、Vtuberコンテンツの海外市場の拡大はますます大きくなりそうです。
さて、そんな状況のなか、なぜガウルグラだけが更に頭ひとつ飛び出たのか。それは「可愛いから」。
初配信のファーストトークで発した”a(あ)”という声が反響を呼び、ネットミーム化したことで認知度が大きく上がったという狙ったのか偶然なのかわからない要素があったことも大きいですが、国籍に関係なく”かわいい”と感じる声色やしぐさ、そうした見た目に反したゲーム実況のストイックさのギャップなど、言葉はわからないけど「なんかかわいい」というアニマル動画に通づる要素を持ち合わせていることが大きいでしょう。逆に言うと今、我々日本人は、日本語で活動するタレントの動画をなぜ海外のリスナーが言葉もわからないのに熱心に見ているんだろうという感覚を逆輸入的に感じる機会になっています。「なんか知らんがかわいいもんはかわいい」
結論、サメちゃんは可愛い。
気が乗れば備忘録的に他のことも書こうと思う。