【人生の分岐点】あの8月に戻りたい
結婚は一生しないと思っていた。
他人と一緒に生活できる自信がなかったし、好きなように生きたかった。
養父母に育ててもらったのは感謝している。
でも、ひどい日常だった。ふすまに血が飛び散るような。
だから逆に、幸せな結婚生活へのあこがれも強かったのかもしれない。
小坂明子さんの「あなた」という曲があった。宮本浩次さんもカバーしているようだが、あの詩の世界は悲しいけれど夢があり大好きだ。
もしも私が家を建てたなら
小さな家を建てたでしょう
大きな窓と小さなドアーと
部屋には古い暖炉があるのよ
真赤なバラと白いパンジー
小犬のよこにはあなた あなた
あなたがいてほしい
それが私の夢だったのよ
いとしいあなたは 今どこに
『あなた』/作詞・作曲:小坂明子
そんな私が結婚しようと思ったきっかけは、同い年の友人。
彼女から結婚が決まったと聞いたとき、私のなかで猛烈な焦りが沸き上がった。
私と違って、とても素直で優しい彼女は、やっぱり素敵な人から選ばれた。
私は何を焦っていたのだろう。
彼女より1日でも早く結婚しなきゃ、と行動を起こした。
職場で身近にいた人に、結婚してくださいとお願いした。
その人は、すごくびっくりしていた。
だって、その人は離婚してまだ1年も経っていなかったし。
1度失敗した人なら大丈夫だよね、と思った。
とにかく早く式を挙げてくれるところを探した。招待者は親のみ。
教会で式を挙げた。キリスト教信者ではないけど。
友人の結婚式の2週間ほど前だった。
8月の下旬に初めて相手の顔を見、10月に結婚の日取りを決め、式は翌年2月だった。
まあ、こんな結婚がうまくいくはずはない。
楽しいことも、なかったわけではないけれど。
戻れるなら、アスファルトにヒールが刺さるほど暑かった、あの8月に戻りたい。
ありがとうございます。優しさに触れられて嬉しいです。頑張って生きていきます。