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猫の日に見た「ねことじいちゃん」

猫の写真をはじめ動物の写真を撮り続けているカメラマンの岩合光昭さんが映画初監督を務めた「ねことじいちゃん」。2月22日に公開されました。

2月22日は、語呂合わせで「にゃんにゃんにゃん」の“猫の日”。
最近あまり猫が嫌いではなくなり、主演の落語家・立川志の輔師匠が大好きでならない私は、せっかくの機会だからと公開初日に観に行きました。

撮影も愛知県の佐久島で行われたという、愛知県民の私としては親近感を持つものでしたから。

さて。以下、話の筋は書きませんが「話の内容に関わることはまだ何も知りたくない!」という方は読まない方がいいかもしれません。
あまり長い記事ではありませんが、読むか読まないか迷う方のために目次をつけておきます。

たしかに猫の演技がすごかった

実は昨年末、映画の公開が発表された後、名古屋で行われた寄席にて志の輔師匠の落語を聴く機会がありました。

高座に上がった師匠は、マクラで「ねことじいちゃん」の撮影について、たしかこんな調子で話しておりました。
「私が主演ということになっていますけれどもね、主役は猫なんですよ。監督はワンカット撮る度に『タマぁ!タマすごいなぁ!す~ごいぞタマぁ~』って、タマのことばっかり褒めてる。私のことなんか一度も褒めてくれないですよ」

客席が笑いの渦に包まれる中、私も大笑いしながら、 (たしかに動物、しかも気まぐれだと聞く猫を中心に映画を撮っていくなんてすごく難しいんじゃないのか?一体どんな映像に仕上がっているんだろう?)と頭の片隅で気になってきました。 

実際に観てみると、たしかに猫、すごかったです。

猫は何匹も出てくるのですが、どの猫も人間さながらに自然な演技を見せてくれている感じを受けました。
特に主役の猫には何度も感嘆してしまいました。出番が多くて見せ所が多いというのももちろんありますが。

なんと言えば良いのかわからないけれど、とにかく「役者だなぁ」と思わせるような。そういう猫たちでした。

当然、志の輔師匠もすごいです

今まで、落語を見ていても感じていました。
「なんでここでこの表情を出せるんだろう!」「この場面でこんな惹き付けかたをするなんて……」「ここでこんなに間を取る!?話の流れの速さの緩急にぐっとくる……」
あまり具体的に語っても語りすぎてしまうのでこのくらいに留めますが、志の輔師匠の表現は、ものすごいんです。

その表現力の虜になってしまっている私は、映画でも志の輔の語りが入ったときに (うわ、落語が滲み出てる……)と興奮してしまったし、演技の節々に (あ。やっぱり凄い……) と思わざるを得ませんでした。

寝ているところから目を覚まして起きるシーンとか、 倒れるシーンとか、そういうシーンのささやかな部分に、落語家として磨きあげられてきた師匠の凄さが見えてくる気がしたんです。

結論、やっぱり監督がすごい

ここまで色々と語ってきて、映画についても演技についても無知な自分がこんなに語るのは申し訳ないとは思いつつ、最後にこれだけは言わせてください。

つまり、やっぱり。
岩合光昭監督が、すごいんです。

映画全体が、日常の風景を切り取ったような、半分ドキュメンタリー映画のような自然さを持っていました。
猫も人も、自然とそこにいるような。そして日々、映画で描かれる時間の前にも後にも、日常が少しずつ変化を重ねながら繰り返されているんだと思わせるような。

そしてもうひとつ。
映画に見入っているとき、ふと、シーンの瞬間瞬間が写真みたい!と感じたんです。

そういえば監督、カメラマンだもんなと。
映画のどのカットを切り取っても写真になるんじゃないか。いや、逆に、写真として成立する画を重ねて映像にしていると捉えるべきだろうか。
……などと、考えてしまいました。

そうそう。猫の視線からの映像も、私にとってはものすごく新鮮な映像でした。
監督の猫への愛が猛烈に伝わってきます。

これはもう、一度ご覧くださいと言うほかないですね!
(図らずも宣伝になってしまった。)

「ねことじいちゃん」
猫と人とがごく自然に共存している生活を切り出したかのような、どこか心温まる映画でありました。


現状、自分の生き様や思考を晒しているだけなので全記事無料です。生き様や思考に自ら価値はつけないという意志の表れ。 でも、もし記事に価値を感じていただけたなら、スキかサポートをいただけるとモチベーションがめちゃくちゃアップします。体か心か頭の栄養にしますヾ(*´∀`*)ノ