初産で無痛分娩してみたレポ
30歳の初産。
体力は同年代の人よりもはるかに無い。
運動もしない。在宅職だったので外に出ることすら滅多にしない。引きこもり人間。
そんなお産どころか日常生活も大丈夫か?と言われそうなほど運動嫌いの私が
自然にお産が始まるのを待ってから麻酔を入れていく、無痛分娩をしてみたレポ。
これって陣痛ですか?
予定日超過すること5日目の深夜3時、なんとなくお腹がいたい。
それまで約1ヶ月ほど前駆陣痛を頻繁に起こしていたので、どうせいつものだろうとウトウト。
トイレに行くと出血していたけど、これもまた最近あったので「おしるしか何かだな」とあまり気にせず。
いま思うと初産のくせに緊張感がなく、けっこう呑気に過ごしていた。
深夜4時頃になってもまだ痛みが続いているのが気になり始め、とりあえず計測を始める。
強めの前駆陣痛に比べたら大したことのない痛みなので判断に迷うものの、6〜9分間隔で訪れている感じがするので、念のため産婦人科へ連絡。
念のため来てくださいと言われる。
夫を叩き起こして産院へ向かう。
5時頃に産院に到着し、子宮口の開きをチェックをすると2センチほど開いているようで「いまお産がやっとスタートしたって感じかな?」とのこと。
無痛分娩の麻酔を入れられるのは子宮口4センチから。
ついに来たか〜と思ったのと同時にまだまだ時間がかかる事を覚悟して、一旦家へ帰される。
一時帰宅してからが本番
家へ戻る車中、だんだん痛みが強くなるのを感じる。
かと言ってまだ前駆陣痛より少し強いかどうかのラインで、先程産院から出てきたばかりなのに戻るのも変かなと帰宅続行。
しかし、家に帰ったとたんに立てなくなるくらいの痛みが来て波が過ぎるまで玄関先で座り込む事に。
なんとかお布団まで這っていき、旦那に腰をさすってもらいながら陣痛の波をやり過ごす。
更に30分も経たないうちにすぐに下半身へズン…と来るような痛みが。
ウンコしたい!!これ赤ちゃん降りてきてる!?とびびりながらトイレに行ったら立派なウンコが出てきた。
ウンコかい!とトイレで突っ込める余裕がある。
しかし、やっぱり痛みの強さが段違い。再び病院へ連絡してとんぼ返り。
麻酔をはやく入れてくれ
7時頃に再び病院へ到着。
「これでまだ2センチだったらどうしよう〜」といきなり自信をなくす私。
「私の経験上、この痛み方はしっかり開いてますよ!見ましょうね!」と助産師さんの手により再度内診をするとばっちり4センチ。
今から準備しますねー!と、出ていかれしばらく処置室の中で放置。
その間にも痛みが確実に進んでいく…。
私の前にひとりお産をしていたらしく、先生の登場が遅い。
けっこう痛いんですけど!?でも、今まさに出産目前の人が頑張っているんだ…と思うと私も頑張らねばとひたすら耐えるターン。
波が来るたびにただひたすらに深呼吸をしていた。1人で。
8時過ぎになってようやく先生の手が空き、硬膜外麻酔の針が背中へ注入される。
針を刺されてる間にも陣痛がやってきて、ひたすらフーーッ フーーッと深い呼吸を繰り返す。
しかも最初から麻酔を入れるのではなく、最初は慣らしのために麻酔ではない液体を注入される。まだ麻酔来ないのか〜!と思っている間にも次の陣痛。
すでに何分おきになっているかなんて、とっくに計測する気力は無くなってきている。
下半身へのダメージがピシピシ来ていて、波が来るたびにお腹よりもずっと腰が痛い。
あまりにも痛すぎるので早く麻酔を…と、処置室から陣痛室へ移動。
内診するともう6センチ。痛いよね 麻酔入れようね、と看護師さんの手により注入開始されるも麻酔の効果はそこから20分経ってから現れ始めるのでまだ効かない。
でも後少しまてば効いてくると信じてひたすらに耐える。
何よりも腰が痛いし追いつかない
記憶が確かなら、9時を過ぎてもなかなかハッキリと効果が出ず波が来るたびに強く締め付けられる痛みとたたかう。
順次麻酔は追加されていくものの、あまりにも腰が痛すぎる。
初産なのでこの痛みが軽減されているものなのかさっぱり分からず。でも少なくともスタートからいまの今まで微塵も楽にはなっていないので、どんなもんなのかいと様子を見に来た看護師さんへ息も絶え絶えに聞いてみると
「進みが早いので麻酔がちょっと追いついてないかも知れないね…」とのこと。
なんと私の陣痛は麻酔より先をいってしまっているのか!!と絶望。
波が来るたびに腰はメリメリメリ…メキメキメキ…と言っている。気がする。
いやこれ割れる!!!骨折られてる!!!タンクローリーにひかれてない!?!!なんか出そう!!!もうキツすぎる!!!
まだほんの数回程度の波だったのにどんどん痛みが増していて、耐えきれずナースコールを押してやってきた助産師さんに「こ、、、腰、、、」と伝えるとすぐに内診。
指を股に突っ込んだかと思うと少し待っててねと言い残し陣痛室から出ていき
『全開…』『分娩室空いてる…?』という会話がドア越しに聞こえてくる。
もしかして、私、もう産むの…!?全開って私のこと!?
と訳わからなくなっている間に、助産師さんと看護師さんが数人ぞろぞろやってきて「次の陣痛が終わったらすぐに分娩室へ移動しましょうね」と言われる。
※私自身に膝関節の障害があるため、転倒防止で複数人ついて介助されつつの移動。支えられつつも自力で歩く。
『立ち会いのご主人に連絡して!』って声が聞こえてああ、もう産むんだ…本当に…と思った。
ネタバレ:もう産まれます
介助されつつヒィヒィ言いながら分娩台の上によじ登り、大きく足を開く。
そこにすぐさま助産師さんが手を突っ込み「うん、赤ちゃんもうそこまで来てますよ」とのこと。
「き、きてる…?」痛みの間隔が短すぎて息も絶え絶えの私。
「赤ちゃんの頭が降りてきてました。頭って言うか羊膜に包まれているのでそれが触れる状態って言うのかな……(細かく色々教えてくれたけど、すぐに陣痛が来て悶えている合間に終わる)」
メキメキメキメキ腰へのダメージを逃すためにフーーーーッフーーーーッととにかく深呼吸を繰り返す。
痛いのが来るたびに巨人に下半身を鷲掴みされたり、でっかいダンプが私の上を通るイメージ映像が脳内に流れだす。
ようやく追いつきはじめた麻酔の効果で股の感覚はもうないのに、まだまだ腰がとにかく痛い。
ここから麻酔がどんどん追加されていく。
助産師さんがはさみを股に突っ込んだかと思うとパシュッと水が出てくる。もしかして、破水させてくれた…?
間隔の短い陣痛に耐えていると、やがて腰の痛みもかなり軽減されてくる。
痛みの上に柔らかいベールが掛けられたような感覚になったような。痛いは痛いけど、今までのに比べたら相当マシ。
最後の最後に麻酔が効いてきたんだ!!!と気持ちが一気に軽くなる。
麻酔サイコ〜!!!!無痛分娩様々だ〜!!!!といきなり気持ちがのぼり調子に。
陣痛の波に合わせて、いきむ練習をはじめる。いきむってなに?どうやるの?状態だったけど、誰かが柔らかめのボールを腰にいれてくれて「これを腰で押しつぶすつもりで!ヘソを見つめて!助産師さんに向かって股を押し出す!」と指示してくれる。
3度目くらいになってコツを掴み「もう産まれるから先生を呼びますからねー!ご主人はもう到着しててすぐ外で待機してもらってますから!!先生が来たら入ってきてくれますから!」と声を掛けてくれる。
フーーッフーーッとその間もいきみを逃しながら待っているとついに先生が登場。
もう頭がそこにあるよ!髪の毛!フサフサ!と言われる。
次いきむ時はなが〜く息を吐こうね!なんて声を掛けられてる時に旦那が登場。
後ろで「ご主人は奥さんがいきむときに背中を支えてあげてください」とかなんとか言われてるなぁと思っていたら陣痛の波が。
どりゃーーーーー!と強く長くいきんだら
「もう力抜いて!なにもしなくていいよ!息吸って〜吐いて〜」
ドゥルン…とした感覚。
おっぎゃあああ!あああああ!
と言う力強い声。目の前に掲げられた赤ちゃんを見て「で、出たぁ…」と言うしかない私。
立ち会い分娩なので、旦那が手を握ってくれて『頑張れ!』とかそう言う時間があるのかと思ったけど、全然そんなことなかった。
旦那が入室してから30秒くらいで産まれたから旦那のほうを1ミリも見てなかったし会話もしていない。
もう本当に産まれるギリギリだったのか…間に合ってよかったね。
終わって胎盤を出したり股を縫ったり(2〜3センチほど切ったらしい)処置されてる時になってやっと旦那をチラリと目視できた。
入ってすぐで赤ちゃん出てきたかと思ったらまたすぐ後ろに追いやられてた。所在なさげでかわいそうに。
お誕生日おめでとう
息子、2023年9月26日の10時5分に爆誕。
3380gの重みはあたたかでした。
陣痛の波を確かに感じて病院へ駆け込んだ時からおよそ5時間での出産。
進みが悪かったりすると帝王切開の可能性があるとすら言われていたので、色々覚悟は決まっていたけれど、実際には平均よりも早めで順調に進んだ安産。
うむやすだ!
その後、術後2時間は分娩室で安静にしていなければならず、カンガルーケアや旦那と赤ちゃんと3人で写真撮影、胎盤を見せてもらって私がひとりきゃっきゃしながらはしゃぐ時間を過ごす。
マタニティハイ、と言うものなのかやたらとテンションが上がってしまいベラベラおしゃべりが止まらない私。
ずっと気付かなかったけど分娩台の真上にモニターが付いていて、体を拭かれたり体重測定されている息子が映像で見れて楽しかった。
人生のスタートだ。なんて尊いんだ。
総括:無痛分娩はいいぞ
お産の進みが早くて、恩恵をあまり受けられない時間が長かったなぁとは思うけれどもやっぱり無痛分娩はいいぞ。
私が妊娠中にのんきに過ごしていられたのも、元々の楽観的な性格もあると思いますが無痛分娩があるって思っていたからなんですよね。
痛みが強い時も麻酔の力を信じていたから心に余裕があって、比較的冷静だったりリラックスする事に努められたと思うんです。
もちろん麻酔を使うことなどリスクはありますが、何かしらのリスクを抱えていると言う点においては普通分娩も帝王切開にも言えることなので…。
自分が納得して挑めるお産ができると言うのはそれだけでかなり満足度が高いです。
もちろん費用だったり、麻酔がすぐかできるかなどの医療体制だったり色々と考慮するべきものはあると思いますが
私はもし悩んでいる人が居るならば「いいよ!無痛分娩!」と背中を押してあげたい。
命を産み出すってそれだけですごい事だから。
尚、産後の経過についてですが、私は残念ながら腰へのダメージが半端でなく病院にいる間はずっと点滴の台を借りて杖代わりにして歩いていました。
元々の障害もあるのであまり参考にはならないかも知れないですが、産後1ヶ月近く経ってもまだまともに歩けるようにはなっていないです。
でも無痛でこれなので、もし普通分娩だったら起き上がれもしてなかったんじゃないかな…帝王切開だったら尚更…と考えています。
育児はてんやわんや大変で毎日があっという間に過ぎていきますが、また落ち着いたら書いて行けたらいいな。
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