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【米国株】気候変動と企業価値

1.気候変動と経営

 今まさに世界は気候変動に直面しています。穀物、水資源、インフラ、人々の生活そのものが脅かされています。経済と企業の収益への悪影響は避けようのない状況です。

 2017年、再保険大手のスイス・リーでは異常気象による保険金支払いが予測を大きく超え25億ドル上回りました。同社CEOは気温上昇が原因あると考えています。また、イングランドの銀行総裁に至っては「気候への対策を急がなければ企業の倒産が相次ぎ、経済は崩壊する」と指摘しています。

 大企業はようやくこの状況を受け止めはじめました。脱炭素への計画を打ち出し、実行に移し出しています。しかし、気候変動のスピードを考えた場合、余りにも不十分です。

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2018年、国連が公表した報告書にて
以下の提言が明らかに

① 最悪の結果を回避するには、2030年までにCO2排出量を45%削減し、2050年までにゼロにしなくてはならない

② 各国政府の現在の計画と公約では、この目標に遠く及ばない

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気温上昇によるリスク
水問題

+1.5℃ ⇒ 2億7千万万人が水不足
+3.0℃ ⇒ 干ばつが平均10ヶ月 

海面上昇(都市部浸水)
+1.5℃ ⇒ 浸水被害10兆2,000億ドル 
+3.5℃ ⇒ 2080年までに海面が1m上昇

熱波
2100年までに
+1.5℃ ⇒ 殺人的熱波の影響(年間20日)を世界人口の48%が受ける 
+3.5℃ ⇒ 殺人的熱波の影響(年間20日)を世界人口の74%が受ける

食料不足 
+1.5℃ ⇒ トウモロコシ収穫量が世界平均6%減少
+3.5℃ ⇒ 収穫量減少で4億人以上に影響

自然破壊
+1.4℃ ⇒ サンゴ礁70~90%が死滅
+3.0℃ ⇒ 永久凍土が融解し、熱帯雨林が消失

出所:世界資源研究所 

 このような状況下で企業は頭を悩ませています。「脱炭素を加速させながら、目先の収益を確保」しなければ生き残れないからです。

しかし、答えは出ています。

・工場、事業、輸送、建物のCO2排出量を削減する
・食品、農業などの廃棄物を削減する
・再生可能エネルギーを大量購入
・資源の使用量を最小限にするため、循環型のビジネスモデルを確立する

企業は継続的にこれらを組み込んでいかなければならないのです。


2.気候変動に対する米国人のとらえかた

 世界各国を対象とした調査によると、ミレニアル世代では、「企業は財務実績だけて評価すべきではない」と考えている人が87%を占めています。また、「企業は環境問題や社会問題に取り組む責任がある」と回答したZ世代は90%を超えています。

 米国人はどの様に気候変動問題をとらえているのでしょうか。
グーグル従業員は自社経営幹部に気候変動を否定する業界、政治家をとの関係を断ち切るよう、直訴しました。
マイクロソフト従業員は「自社が気候危機を助長している」と抗議ストライキを実施。
アマゾン・ドットコム従業員は、気候変動を否定する政治家への寄付打ち切りを要求する書簡をCEOに提出しています。

 

3.気候変動に対する投資家のとらえかた

 有力な投資家(370人総資産35兆円)の取り組み「気候変動アクション100+」はCO2排出の抑制とガバナンスの向上、気候関連の財務情報開示の強化を呼び掛けています。CO2排出量削減のカギを握る排出企業100社に対してです。

とある資産運用会社は

・気候リスクの明白な証拠により、投資家は近代的資金調達に関する中心的前提を再考せざるおえない
・気候変動リスクは投資リスク

このように結論付けています。


4.雑感

 気候危機に直面し、投資家と消費者の意識は着実に企業を変化に導ています。意に背き、目先の収益にこだわり続ける企業は先々で淘汰されていくはずです。

 これからの個人投資家は「仮に目先の収益の確保をあきらめたとしても、将来の収益につながるシグナルを発信し、継続できる企業」を見抜く力が必要なのかも知れません。

 目先の収益をあきらめたとしても、投資家や消費者と信頼を築き上げた企業は業績回復の猶予を与えられ、その後、期待される企業へと大きく成長するのではないでしょうか。

 本来の株式投資とはこう言うことではないでしょうか?

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