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ハードコア的観点から見るデスメタルの聴き所

 こんにちは、KRUELTYギターのMCDです。今回twitterでタイトルのようなものの需要を問うてみたところ、ありがたいことにたくさんの反響があったのでとりあえず書いてみることとします。(見出しに貼る写真がなかったので手前味噌ですいません)
クラスト⇔デスメタルの親和性ももちろんあるんですけど今回はあくまでもハードコア(それもNYHCおよびその後継音楽)とのつながりという面で見ていきます。

 まず最初に、「己の好きに聴かせろや!」「そんなにいちいち考えて聴いてどうすんだよ」みたいな人や既に自分の中で考えが固まっていて他の意見に興味がない人は見るだけ無駄ですので止めておきましょう。デスメタルの新たな聴き方や視点を一緒に探っていく仲間を探すためにこれを書いています。何ならこれを見て新たなバンドが生まれたりしたらもう最高です。

基本的な感覚としては、

「踊れるか踊れないか」

これだけです。

ハードコアのライブに来る人は、音はもちろんそのピットが好きで来ているのは分かっていますし自分もその1人です。
なので今回は自宅で瞑想しながら聴けるような深い深いデスメタルは置いておいて、ひたすら踊れるかどうかの観点で解説します。 

 この手の音楽はおれの中にはまず2つの大別があって、

「Deathmetallic Hardcore(デスメタルっぽいハードコア)」

「Hardcoreish Deathmetal(ハードコアっぽいデスメタル)」

 この2つになるわけです。後者は無理矢理名前を付けていますが。前者のバンドはハードコアキッズならみんな知ってる有名どころだとAT ONE STROKEやDYINGRACEなどですね。ジャンルとしては他に極悪ハードコアとかよく呼ばれますね。デスメタルのようなリフもあるけど基本はハードコアベース(キャッチーかどうかってのも1つの指標かなとは思います。)で成り立っています。そして例の通り国内が強いジャンルです。海外だとCrawlspace(ベルギーのほう。Disembodiedの前身と間違えないよう注意。)とかかな?                            

 そして今回主に話したいのは後者のほうです!あくまでも当人たちは混ざり気のない純デスメタルとして活動しているのにも関わらず、「いやコレモッシュパートだな」と勝手に盛り上がれるバンドたちのこと(別名 極悪ハードコア的デスメタル)ですね。向こうのお客さんは恐らくおしくらモッシュしているであろうバンドを勝手にウインドミルする前提で語るわけです。なんと気持ち悪い趣味なんでしょう。
まず先ほどの前者のバンドたちが好きだとしても、デスメタルは我々のような気持ち悪いオタクが愛する音楽なので所謂ハードコアキッズにとっては長ったらしい曲ばかりでアルバム単位ではもはや最後まで聴ききることすら難しいかもしれません。これはアメリカでも一緒なようです。ハードコアキッズが好きになるデスメタルは曲が短いパターンがほとんどなそう。
が、できる限り聴きやすいものを挙げていきますのでぜひチェックしてみてください。
そしてこちらのほうは国内にはこういったバンドは少ない(例 Anatomia )です。基本的には海外のデスメタル、特に現行のUSやフィンランドなんかのオールドスクールデスメタルを漁るのがおすすめです。


例えばこれです。「BOLT THROWER - ICON


…どうでしょう?知らない方はまず全編聴いていただきたいですが39秒がもういきなり極悪ハードコア的モッシュパートですよね?なんならまったく同じような展開がウチの曲にもあるやもしれませんw

曲全体を通して聴いてみると、ギターは16分の刻み(デケデケデケデケ)とミドルテンポのパートで構成されていますね。このミドルのパートがどういった具合でぶち込まれているかで一気にハードコアに近づいていくわけです。
0 1 3 4フレットあたりのミュートを駆使したフレーズ(ギターやってない人すみません)に "あるべきところにスネアがある" フレーズが来ればまあ立派なモッシュパートになるわけです。デスメタルってのは独特で、変な位置(拍的な意味で)にスネアがある曲が多いんですね。こういうバンドはたとえギターのフレーズが良くても腕を回したくなるような気持ちはなかなか湧いてきません。
普段ハードコアでは当たり前のビートですけど、拍を数えたときに 1 2 3 4 5 6 7 8 の 3 と 7にスネアがあるパターンなんですよね(それに加えちょいちょいスネア入ってるのはそれはそれで最高)。
このスネア配置が顕著なのが数あるデスメタルのサブジャンルの中でもOSDM(オールドスクールデスメタル)とDoom Deathなわけですね!
なので私はこの2つのジャンルをハードコアフリークのみなさんにオススメします。

 ↓試しにデモを作ってみました。上記をイメージして同じリフのままドラムだけ変えてあります。

まずこれ

まあ普通によくあるデスメタルだと思います。

 そして次がこれ

 どうでしょうか?
まあリフがあまりにもデスメタルなので多少無理がありますが、結構H8000感といいますか一気にハードコア色が出ている(はず)かと。

 このように同じギターのフレーズでもちょっとドラムが変わるだけでハードコア的にモッシーな曲になるのは間違いないと思います。

 ちなみに先ほどの曲はイギリスのNo.1 OSDM バンド BOLT THROWER のこれまた名盤 The IVth Crusade収録の曲になります。僕からすると、極悪ハードコア的ピットの意識をせずにこんな曲が作れることが不思議でなりません(笑)
こんな感じで、所謂ビートダウンハードコア(US)を好きな方もドツボにハマるであろうパートや展開がたくさん登場するのが面白いところです。


...極悪ハードコアとかなんたらデスメタルとか言いすぎて頭がおかしくなってきました。



気を取り直して。



さて、ここから先はデスメタルの中でもフロアキラーな曲がもっとも多いであろう(私調べ)、ドゥームデスメタルというジャンルに絞って話していきます。もちろん、上記OSDMや近年のデスメタル(Dehumanized, Internal Bleedingなど)ももちろんハードコア的にイケてる曲はたくさんあるんですが、最近の各種SNSでの流れを見ていると「遅いデスメタル(=ドゥームデス)」のほうが皆さん好きなようですのでコチラに絞っていく次第です。スラミングやテクデスはノレないので残念ながらベンチ外です。
おれも大好きなSecond to None(大阪)など遅くてヘヴィーなハードコア/デスメタルはとてもカッコいいのであります。


とりあえず1曲聴いてみてください。 


Divine Eve - Sword Called Fate


いかがでしょうか?テキサスの90年代前半から活動するドゥームデス(今度来日します)なんですが、おっそいデスメタルを展開しながらも随所にハードコア的解釈のできる(というかむしろそれにしかならない)モッシュパートがあって最高ですね!このDivine Eve含めてここから先に登場する話やバンドはだいたい以下の共通項があると思ってください。

①チューニングが低い(高くとも2音下げ以下)→弦楽器をやっていない方は分からないと思いますので、とりあえずギターの音が低いと思ってください。

②音がポンコツ(特にドラム)→基本的にドゥームデスは音が悪いと思ってください。そこが極悪ハードコアとの共通項と成り得ますので、とっつきが良くなるんじゃないかなと思います。音が良いドゥームデスもいくつかパッと思い浮かびますがあんまりハードコア好きにウケているイメージがないです。

③曲が遅い →ズーーーーンで伸びるようなパートが多いです。無音パートは嫌いだけど遅いのは好きだよって方はダウンテンポデスコアよりドゥームデスが向いているわけですね。

 上記の特徴を抑えたバンドを拾っていけばまあだいたい好きになるわけです(適当)

 あとはこれらの要素にちょっと宗教的?といいますかなんか荘厳なシンセとか入ってくるパターンもあります。もともとメタル全般聴いていた人ならこの辺も全然とっつきやすいと思います。

 オススメはスウェーデンのRunemagick。昔の音源はCentury Mediaから出していますから結構すごいバンドのはずです。AT THE GATESと同僚うらやましいですね。
そして肝心の曲ですが、1:58あたりのパート聴きました!?お前それIRATEのGoneかと(笑)その次の謎のウィスパーボイスも含めて最高です。もはや1:58までのなんだか荘厳なパートはこのための序章だったんだなと思えてきますね。ハードコアで言うならばモッシュパートまで長々引っ張る類の導入パートのことです




…ふう。。。




色々と熱弁しましたがこういった音楽を扱っているレーベルは世界的にも限られています。

なぜなら大きな需要がないからです!(断言)


 皆さんが掘っていきやすいように以下にその手の音楽(あくまでも最近のバンドです)を扱うレーベルを書き記していきますのでぜひチェックしてみてください。
昔のバンドに関しては結構自主が多かったり全然知らんレーベルから出していたりするのでバンドごとに見つけるしかないと思います。

20 Buck Spin

Blood Harvest Records

Dark Descent Records

Extremely Rotten Production

Maggot Stomp

Profound Lore Records

Rotted Life Records

 このあたりですね。このレーベルの中からなんかそれっぽいジャケのバンド選んでサブスクで聴けばだいたいハズレはありません。

 下記にとりあえず適当にいくつかバンドを載せますのでばーーっと聴いてみてください。そうするとおそらく一つの答えが出てくると思います。

DUSK USウィスコンシン産のベテランです。

diSEMBOWELMEMT オーストラリアの伝説ドゥームデスです。ちょいちょいアトモスフェリックな浮遊感あるパートが出てきます。

Spectral Voice USコロラド産の新鋭です。レーベルのDark Descentと合わせてマストチェックです。

Mortiferum USオリンピア産。去年一番話題になったかも。

Funebrarum NJDM筆頭株。20年選手のベテランでクソアブナイモッシュパートほりこんできます。

COFFINS 日本最強我らがCOFFINS。なんとあのRelapseから出しています。スタジオアルバムのドラムの音色の(演奏のことではありません)ポンコツさは群を抜いています。

Cianide  Chicago Death Doom. おっそい具合ではかなり上位というかトップクラスですね。たまに出るツーバスがメリハリあっていいです。スネアの音が無駄にデカすぎてテンションが上がります。


 いかがでしょうか?

一通り聴いてもらって分かったと思いますが、 

まあ "ぶち上がるところだいたい一緒" なんですよね。


 ハードコアでもそうですがまあだいたい一緒です。荒れるパートは大抵「テンポチェンジ」なんです。

 比較対象にしたビートダウンハードコアとの差としては、やっぱりビートダウン(テンポが落ちる)よりビートアップ(テンポが上がる)で攻めてくるパターンが多いことです。




それは何故か。




...元がめたくそに遅いからです。

 エッジメタルとかでもビートアップは多いですがあれは元が速いです。BPM165がギターブレイクになって単音リフ(ツツテレツテレテレみたいな)にて195くらいになる。我らが愛するドゥームデスはBPM115とかがやっとこさ135になりましたみたいな超もっさりビートアップですw
でもこのもっさり感こそが体が自然にビートに乗れる要因なわけです。

 僕としてはみんなでこの「もっさりテンポチェンジによるぶちあげ」を探求していきたいのです!
皆さんもいいバンドあったらぜひ教えてください。逆に聞きたいことあったら聞いてください。
少しでもハードコアの世界にデスメタルの文化が浸透していきますように!

みんなでデスメタルの中に垣間見える「極悪ハードコア」を探して、SNSや現場で共有しまくりましょう!

あるかないか分からない次回へのモチベに繋がりますので下の方にあるこのライク的な機能(スキ?)のボタン押してもらえると喜びます。


最後におれが感動した最新鋭のTXDM(テキサスデスメタル)、Frozen Soulを載せておきます。もうこれデスメタルって言っていいの?のやつです。ライブ動画もハードコア的なモッシャーだらけで最高です。あとボーカルのマイクスタンドがなんか鎖になってて狂ってます。 
↓ボーカルかっけーなー

画像1

あ、多分今回の記事で出てくるバンドのフィジカルは大体 toosmell records(東京) か、Timebomb Records(大阪) あとはディスクユニオンあたりで手に入ると思いますので現物欲しい派の人はぜひ探してみてください。

-fin-

~おまけ~

 ここから先はバンドやってる人向けに僕としての気付きを載せていこうかと思いますので興味ない人はやめたほうがいいです(笑)あ、これからバンドやる人にはいいかもしれないです。

 デスメタルバンドがハードコアのピットを揺らすにはどうしたらいいのか。

 うちがデスメタルなのかハードコアなのか良くわからないボーダーラインを行き来しているわけですが、やっぱりテンポチェンジやギターブレイク以外のところで気を遣っているところといえばドラムです。

 デスメタルのドラムっつーのはどうもスネアが単調だったりして素直に縦ノリできなかったりします。あとはハイハットが多すぎてなーんかノレないってのもあったりします。


以下試しに作ってみました。
チューニング2音半下げ(Bスタンダード)

例1 スネアが単調

 まあ普通ですね?

これをこうすると、

跳ねるリズムでハードコアっぽくなります。Next Step Upから我々はスネアの入れ方を学んだわけですね。

例2 ハイハットが多い

これさっき出たBOLT THROWERに近いところあります。まあノレなくはないんですけどなんとなく8分のハイハットはメタルっぽい。ミドルテンポで踊らせるには4分プラス適当にクラッシュ鳴らすのがよいかなと。こんな感じに↓

だいぶよくなったと思います。

 基本的にデスメタルバンドとしてピット狙うには金物減らしてスネア入れるのが一番かなーと最近思っているわけであります。

 すげえどうでもいい話になりましたが以上です。

 皆様NIHILITYのツアー遊びに来てください!これからもおれが色々なアクションを起こしていけるか、はたまた破産するか色々関わってきますw

では!

あ、新曲も載せときます。アルバムにも入れます!


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