中古えんぴつ(8)
いつものように、店で鉛筆を借りて、塗り絵を塗ろうとすると
あるのは黒色鉛筆だけだった。
六さんが言った。
「お蔭様で、たくさんの人が鉛筆を利用してくれました。色の鉛筆は使い切って今あるのは黒だけです。黒だけでは塗り絵もできません。ですからお持ち帰りで、お客様の好きな言葉を書いてきてください。この鉛筆を使い切ったら店も畳むことにします。今までお世話になりました。」
★ ★ ★
翌日、わたしは、これを六さんに手渡した。
「六さん、日常の奇跡に気づかせてくれてありがとう。」
(おしまい)
★ あとがき ★
田中元子さん。道行く人に無料で珈琲をふるまうのが「趣味」と言う。
「フリーコーヒー」。上記の動画をご覧ください。
「中古えんぴつ」(1)~(8) 創作のもと。
★田中元子さんの「フリーコーヒー」。
★きれいで小さな紙屑たち → そうだ。これで鉛筆作ろう。
★鉛筆の話は前にも書いたから、今回は違う話にしたい。
最後までお読みいただきありがとうございました。