雪だるま(3)
「待てー!」
女の子の声がします。どうやら兎を追っているようです。
「ゆきん子だ。」
「いやいや、兎を追いかけてきたのだから(アリス)かも。」
「(雪国のアリス)かい?」
二人はそんな話をして、ちょっと笑いました。
「雪だるまさんたち、兎を見た?」
「ああ、見たよ。足跡辿っていきな。きっと見つかるよ。」
「そうね。あっ、そうだ!」
そう言って、女の子が取り出したのは
「はい、これどーぞ。毎日冷凍ミカンじゃ飽きるでしょ。
それに、世間的には今、お正月なわけだし。」
二人は内心小躍りしましたが、平静を装って
「これはどうも、ありがとう。」
と大人ぶって言いました。
「じゃ、私、もう行くね!」
ゆきん子が見えなくなると、
二人はいそいそと(雪見大福)を開けました。
すると、どこからか、犬の吠える声が聞こえました。
つづく