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野乃姫(7)
「本当によろしいのですか?」
姫様にお仕えする女房の私は言った。
「ええ。」
私は姫様の長い黒髪をばさりと切った。
姫様は、布を被って木綿の着物に着替えた。
支度が出来た所へ、風丸がやって来た。
「長いことお世話になりました。」
姫様は私に頭を下げた。
「お幸せになって下さい。観音様のご加護がありますように・・・・。」
二つの影は、足早に屋敷を出て行った。
やがて、家の者が気づいて追っ手を掛けた。
数日間、姫様の捜索が続けられたが、とうとう見つからなかった。
その後、野乃姫様がどうなったのかは誰も知らない。
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(きっと幸せに暮らしている。)と私は思う。
そして、赤ん坊だった野乃姫様を抱き上げた感触を時折懐かしく思い出す。
(おしまい)