Ravel

Maurice Ravel は、「管弦楽の魔術師」とも「スイスの時計職人」とも呼ばれるフランスの作曲家。
豊かな色彩感覚のオーケストレーションと、緻密で完璧主義的な作曲で、ピアノ曲にも小品を中心に多くの名曲を残した。ピアノ曲を後からオーケストラ版にしたものもある。
印象派と呼ばれるが、形式のかっちりした枠組みの中で様々な音色や拡大したリズムなど、新しいものを多く取り入れている。

そんなラヴェルの曲で私が好きなものをあげていきます。

・Menuet antique 古風なメヌエット
密集した和音のが特徴的なメヌエット。メヌエットの形式はそのままに使用している。聞いているとオルゴールの音が頭に響いてくる。後にオーケストラ用に編曲。

・Pavane pour une infante défunte 亡き王女のためのパヴァーヌ
タイトルの最後の2つの単語で韻を踏んでいる。架空の王女に対するノスタルジアを表現していて、ゆったりとした幅広い伴奏に美しいメロディーが響く。後にオーケストラ用に編曲。

・Jeux d'eau 水の戯れ
本来のフランス語の意味は「噴水」。改めて楽譜を見ると大小の様々な噴水が想起される。水を題材にした曲はたくさんあるが、この曲が最も有名なものの1つ。あるあるだが、アルゲリッチのハイスピードバージョンを聞くと、他の演奏では物足りなくなる。

・Sonatine ソナチネ
三楽章構成でどれも繊細で愛らしい曲になっている。第二楽章はCMなどでも使用されている。構成やとっつきやすさ、曲の難易度などから、ラヴェルのピアノ曲を初めて演奏するにはちょうどいい。アルゲリッチのハイスピードバージョンを聞くと、他の演奏では物足りなくなる。

・Miroirs 鏡
Oiseaux tristes 悲しい鳥たち もの悲しくさえずる鳥の声。最後の力を振り絞って一瞬飛べるのだが、最後は力尽きて落ちてしまう、ように感じる。
Alborada del gracioso 道化師の朝の歌 スペイン風の舞曲になっており、軽快に弾き始めると途中の連打音で撃沈する。中間部の朝もやの中の歌が素晴らしい。後にオーケストラ用に編曲。

・Menuet sur le nom d'HAYDN ハイドンの名によるメヌエット
作曲家「ハイドン」の没後100年を記念して依頼された曲。メロディーがHAYDNを文字っている。ごく短い曲だが、ハイドンに倣ったのか他のメヌエット形式よりもさらに古典的な曲。

・A la manière de Borodine ボロディン風に
ごくごく短い、愛らしいワルツの曲。どのあたりが「ボロディン風」なのかよくわからない。ボロディンの曲を聞いて確かめたいといつも思うだけになってしまう。

・Le Tombeau de Couperin クープランの墓
本来のフランス語のでは、バロックの作曲家でもあった「クープランの形式による追悼曲」のような意味がある。6曲から構成される組曲で、そのうちのいくつかはオーケストラ用に編曲されている。チェンバロが似合いそうな「プレリュード」、力強い「リゴードン」、またまた登場の「メヌエット」、そして聞いている分には爽快な「トッカータ」の4曲が特に好き。

・Tzigane ツィガーヌ
ロマ音楽のチャールダッシュを模したメロディーや伴奏のヴァイオリンとピアノのための小品。ヴァイオリンが華やかな超絶技巧を奏でる。

・Concerto pour piano et orchestre ピアノ協奏曲
最晩年に作曲した曲。鞭の音から始まる印象的な第一楽章、深い慈愛の第二楽章、ゴジラの映画音楽の元ネタと言われる第三楽章と、どれも隙がない。一番好きな協奏曲。アルゲリッチとシャルルデュトワの(元)夫婦の共演も有名。

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