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「全てが松風輝である」事実に脳がバグを起こした話~宙組副組長就任1周年記念Ver.~

(~宙組副組長就任1周年記念Ver.~なんてカッコつけたけど、その昔書いた記事を加筆修正しただけです(笑))

私は携帯のメモに何でもかんでも残す癖がある。

今のiPhoneには4年分くらいのメモが残されており「脳がバグるとはこう言う事か」と書かれていた。まるで殺人事件のダイイングメッセージみたいな箇条書き。その箇条書きの正体は、私が初めて松風輝さんのお茶飲み会に参加させて頂いた時の事だった。余りにも断片的過ぎるそれの記憶を呼び起こすまでに時間を要した。

まっぷーこと、宙組の松風輝さん。

お芝居では、髭のおじさまだったり、偉い人だったり、怪しい執事だったり、チャーミングなギャンブル親父に腰をぎっくりいわすおじさんだったり、誰かにお仕えしてたりする人でお馴染み。ショーではキレッキレのダンスや優しく響き渡る歌声まで披露する。宙組副組長に就任された。とにかく宙組には必要不可欠な男役さんだ。

個人的に、宙組に於ける松風輝さんは「海外旅行から帰って来て一番に食べる和食」だと思っている。日本に帰って来たなぁと言う実感と馴染みのある味わい。まっぷーを見ると宙組なんだなぁって思う。あの声やしぐさを見るのは、お味噌を飲んでホッとするような感覚に似ている。

そんなまっぷー、ご縁がありお茶飲み会へ参加した。

初めて「松風輝さん」を見た瞬間、えっ、ちょっとちょっと!と、声にならない声が漏れた。今目の前にいるのは、目元がなんともチャーミングなすらっとした爽やかな笑顔のお姉さんだったのだ。

このお姉さんイコール=将軍だったりおじさまだったり髭生えてたりする人!?えっ、このお方があの様々なおじさま役の中の人!?嘘だろおい!嘘で~すって言ってひょっこり髭の生えたおじさん出てこないのかなって思ってしまった(笑)

目の前にいる爽やかな笑顔のお姉さんは、関西人から聞いても余り訛りのない関西弁であった。宝塚のご出身なのにバリバリの関西弁ではないが、時折関西弁のニュアンスが聞こえた。歌声がハスキーで透き通っていた事、時折「ニヤッ」と笑うと口角が上がりいたずらっ子のようになる事。おじさま役が多いイメージから、もっと落ち着いた穏やかな方なのかなと思ったが結構な負けず嫌いだと思った。話の端々に「凄くストイックなんだろうなぁ」と思わせる発言があった。優しそうなイメージからは意外だった。

松風輝さんと言う人はとってもとってもチャーミングなお姉さんだった。

この日、私はZARAで買ったピンク色のジャケットを羽織っていた。そしてあの綺麗なお姉さんもたまたまピンク色のジャケットを羽織っていて、お見送りで真っ先に「ジャケットの色、お揃いですね!」と声を掛けてくれたのだ。そしてずっと思っていた「宙組におけるまっぷーの存在は海外から戻って来た時に食べる日本食のよう。あぁ日本に帰って来たなって安心感のように、まっぷーを見るとあぁ宙組だなぁって思います」みたいな事を伝えると「ええっ!」と丸い目を見開いて大笑いされたのも覚えている。何を言ってんねん私。

初めてのお茶飲み会の帰り、興奮冷めやらぬ中で電車の中で目を閉じると「王妃の館」のムノンが現れた。ムノンを押し出してレオン将軍とトトメスが現れる。そして、最後にさっき見た綺麗なお姉さんが登場。

ムノンもあの綺麗なお姉さんで、かっこいい将軍もあのお姉さん、トトメスの中の人もさっき見たあのお姉さんも、全部「松風輝さん」なのだ。その事実に、ただただ混乱していた。

あぁこれが「脳味噌がバグる」と言う現象か。

メモに残されたこの断片的な言葉の数々を読み返し、私の人生初の「バグった」と言える出来事は、松風輝さんのお茶会に初めて参加した日の事だと言える。ホントに混乱してたんだろうな、良い意味で。

あれ以来、ご縁が続いてまっぷーのお茶飲み会にほぼ毎回お邪魔させてもらっていた。コロナ禍でお茶会関係が一切無くなるまで毎回だ。

松風輝さんは役柄から伺えるようにほっこりと温かい空気感を持つ女性だ。気の荒い親方を演じても「根は良い人なんだろうな」と思わせるかのようなまさにあんな感じだ。お茶飲み会の客層の幅が広いのも他とはちょっと違った。まっぷーにときめく人、まっぷーを娘のように見守る人、家族や親せきのように接する人。お客さんの年齢層が幅広いのも相まってとてもアットホームな空間だった。みんながそれぞれの「あかりちゃん」を見守っている。

個人的に毎回感じたのは、特に役作りの話になると途端に鋭い顔つきになる。何かのスイッチが入ったかのよう。私がそう見えるだけかもしれないがきっと人一倍真面目でストイックなんだろう。「役作りに夢中になりすぎて、元号が令和になっていた事すら気付かなかった」そんな話を、あくまで笑い話にしていたがそれだけ役作りに没頭しているのだろう。だからあの個性的な役達が生まれ、宙組の松風輝と言えばと言われる役柄に繋がるのだろう。

朗らかに、時として笑い話を交えながら話してくれるが、松風輝さんの壁はご自身により人一倍高く深く険しく設定されていると思わせる。「まっぷーだから」と言う期待を応える事に彼女はいつも真摯に向かい合っている。お茶飲み会を経て見る舞台は、中の人があの綺麗なお姉さんである事のギャップと相まってより一層に愛しく感じるのである。

今はお茶飲み会はおろか、直接あれこれ聞く機会がない。

だけど、きっとまっぷーはあの時のようにストイックに芸に向き合っている。そうに違いない。あの日々の事を、芸事の話になるとスイッチが入るあの瞬間を思い出しながら舞台上へ思いを馳せている。どんな高い壁も乗り越えてこの役として生きているんだろうな。

副組長になって変わった事はありますか?見えているものは違いますか?何年後になってもいいからサパのテウダの話が聞きたいな。再演のネバセイはどうでしたか?KAORIalive先生のナンバーって大変ですか?

沢山沢山聞きたい事があるんだよね。

まだまだ先が見えない世の中だけど、またいつかチャーミングな瞳のお姉さんに会える日を願って!そしてこの「この目の前のキレイなお姉さん=おじさま役」のギャップに驚く体験も誰かにもしてもらいたいと思っている。