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愛のままにワガママに贔屓を愛す。

華やかなりし「贔屓が居た宙組」の日々シリーズの時系列で最後の方に書きたかったネタなんだけど、愛月ひかるさんの大劇場公演卒業10日前を切ったので、時系列を無視し番外編としてアップさせてもらう。


「贔屓の退団公演っていくら掛かるのか」って気になるじゃないですか?

これはもう永遠のテーマってぐらい毎回上がるし、誰しもが自分の贔屓の退団公演の時の事を考えると思う。又聞きで誰々さんはチケットを何十枚買ったよとか、毎週遠征しているとか、試算を公表されている方もいらっしゃり「そんなに掛かるんだ...」と慄いたり不安になった経験はあるだろう。

SNSは特に他人の動きが可視化されやすいよね。同じファンが毎週遠征をしている、頻繁に観劇レポをあげているのを見て「私はファンとしての情熱が足りていないのだろうか?」と焦ったり不安に思う事は誰しもあると思う。もっと早く出会えていたらなと思ったり、新人公演時代の話に付いて行けなかったとか。受験が終わったら思いっきり応援する!と頑張っていたのに受験中に退団が決まったと言う例を見掛けた事もあった。うん、凄く辛いよね。今「後にいい思い出になるよ!」って言ってあげても、きっと今は納得できないと思う。

自分がどうしたいかに尽きる。

これだけ退団公演を満喫しているように見えても「もっと出来る事はあるのかな」と思っていた。葛藤や悩みが全く無かった訳じゃない。今まで入り出待ちやお茶会でご本人の反応・ご本人が何を考えているかを知る事が出来た。それが出来ない今、気持ちが一方通行だった事も地味にストレスだった。私は贔屓が舞台に立つ時の細部のこだわりを知りたかったので、自分の想像と贔屓の意図がマッチしていないのではないか?と不安に思った事もあった。これが私の精一杯!と言いつつも、もっとチケットを買ってあげられないか?もっとサポート出来る事は無いのだろうか?といつも考えていた。

時には親しいファン仲間に弱音を吐いた事もあったけど、最終的に信念を貫いて行動出来た。ファン仲間が愚痴を聞いてくれたのも大きかったけど、とある宝塚ファンの方からこんな話を聞かせて貰った。その方が以前応援していた贔屓の話で退団して数年した後にご本人から聞かせて貰ったそうだ。

「いつも入り出待ちに来てくれる、沢山応援してくれるファンの人達はもちろん感謝している。退団公演だからと忙しい中で会いに来てくれた人もいた。例え1回でも私の為に時間を割いてくれた事が嬉しかった。退団を発表してからお手紙を下さった事、好きでしたと声を掛けてくれた事。5組ある何百人いる中で私が思っている以上に自分を知ってくれていた。一番嬉しい事は私と出会ってくれた事」

宝塚の生徒さんはみんなそう思ってると思うよ。と言って下さった。

この話を聞いた後、2階席で拍手を浴びて踊る贔屓がとても幸せそうに見えた。私だけじゃこの大きな拍手は送ってあげられないけど、1人1人の拍手が大きな愛を生んでいるしこの愛の何処かに自分が存在する。宝塚の愛を感じて幸せそうな退団者を見て、私は大きな虹を作り出す為の1粒の雨として存在出来たらば幸せな事なんだなと思う事が出来た。(その時の心境はこちらに書いています

あと、こう考えられるようになったのも、去年の今頃から心身を崩し始めた時の経験もあったのかな。前の私は「人にどう思われるか」「人にどう見られているか」と言う事が優先だった結果、世間の目を気にして色々無理をしてしまった。適齢期だからと焦って婚活をやって自尊心ボロボロになったり、数字だけ追いかけてダイエットで無茶したりね。前の私のままだったら「もっとお金を掛けている人がいる」「もっとチケットを沢山買って観劇している人がいる」「私はファンとしてまだまだ足りないんだ」と思って落ち込んでしまったと思うし、誰と比べて何と戦ってるのか分からないってな状況になりかねなかった。

最後の日まで私は!私は!と考え続けて来た。私の事しか考えないようにしていた。自分の事で人様にご迷惑を掛けない事ならば愛のままにワガママに楽しめばいいと思う。ファッションもグルメも楽しんだし出会った人達に恵まれて幸せな退団公演を過ごせた。

「今の自分が出来る精一杯」って人それぞれだもの。

仕事や家庭を持っている人達はそれを疎かにせず両立するだけで凄い。学生さんだったら数少ない観劇を全集中!してお手紙をいっぱい書くとか、B席立見席で沢山観劇するとか。1回の観劇に全力でオシャレして臨むとか、美味しいランチを食べたとか、ラグジュアリーなホテルにグリーン車で優雅な旅の思い出作りでもいいと思う(千秋楽に帝国ホテルに泊まりたかったな~)気の置けない大親友や親子の思い出作りで観劇する。思い出の作り方って沢山あると思うんだ。自分が楽しかった!と思える事が一番大事。

それにね「出会っただけでも超ラッキー!」なんですよ。

あなたは今生で舞台に立つ贔屓を見る事が出来ている。映像で後から見て素敵だなって言う出会い方もあるけど、生で見られる事が出来たならば宝くじが当たったレベルで幸せだと思っていい。お手紙を書くなどのアクションを起こせたら150点満点!だって5組いる何百人もいる中の1人と出会えたんだもの。宝塚音楽学校の倍率より高くない?

愛月ひかるさんについて少し語るね。

星組に組替えされてロミオとジュリエットの「愛ちゃんの死」で一気にファンが増えた。「愛ちゃんの死」で入った人は、まさにこれから!って時だからもっともっと見たかったと言う気持ちが大きかっただろう。私だって今退団しちゃうの??ってビックリしたぐらいだもん。だけどね、あなたが「宝塚の男役の愛月ひかる」に間に合ってくれてよかった。退団後に映像の中で生きている愛月ひかるじゃなくて、今動いている愛月ひかるを見られたなら超ラッキー。生で見る愛ちゃんって最高にかっこいいよね!!愛月ひかるに出会ってからの時間は短いかもしれないけど、愛ちゃんを知ってる人生ってちょっとだけ明るくなってない?ほんのちょっと幸せになったかもしれないし、人によっては今までの人生が大きく変わるレベルなのかもしれない。

そんな出会いって大人になればなるほどなかなかできないもんね。

「ワガママ」はポジティブな感情だけに限らない。もちろんね、悔いが残ったり失った悲しさが強かったりする人もいるよね。人によっては「男役の贔屓じゃないと好きになれない」とか「贔屓の居ない〇組を見るのが辛い」って思う人もいて、それはそれで傷ついた悲しい気持ちを無理に上げていこうとせず、前向きに応援しなきゃ!と無理に奮い立たせる事もしなくてもいいし、贔屓の卒業ロスで悲しむ事や引きずるを恥ずかしいと思わなくていい。それだけ掛け替えのない大事な存在だもん。ペットロスと同じで飼っていない人からしたら「たかが犬が死んだぐらいで」なんて心無い事を言うけど、ペットって掛け替えのない大事な家族だもん。その位贔屓を愛していて掛け替えのない存在だったらば素敵だと思う。失った悲しみと共に贔屓を愛しぬいた事を労わってあげて欲しい。時間しか解決できない事も世の中にはある。

宝塚歌劇団を応援している以上、早かれ遅かれ殆どのどの生徒さんにも必ず訪れる「卒業」の日。その日をどんな風に過ごすか?心構え次第で「幸せな思い出だったな」と思えたらいいなと思いこの記事を書いた。幸せに感じるか失った悲しみと共に時間を過ぎ去るのを待つか。どちらにせよ「愛のままにワガママに贔屓を愛す」のだ。自分がどうしたいか。人と比べてしんどくなったらSNSからログアウトして、とにかく贔屓への思いは全力で自分の感情に素直に動けばいいと思っている。