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風色日向さんから得たもの「いつでも帰って来られる、わたしのあおぞら」

MY BLUE HEAVEN -わたしのあおぞら- を観劇して、なんだろう、この感じ?いつかもこんな感覚を劇場で味わった記憶がある。

主演の風色日向さんがとても暖かい。

作品自体は、タイトルやポスターから感じる、ほのぼのとしたイメージとは違った。

戦後の横浜がテーマの作品、時代背景的になかなかハードな描写もあった。胸を抉られる場面や、主人公やキャラクター達の心情に重ね合わせ、客席から一緒に葛藤するシーンもあった。

なかなかシビアな部分も多かったのに、それを上回る多幸感があった。

風色さんの歌声や立ち振る舞いは、温かくて包まれるような空気感があった。ここに居ていいんだなって思える安心感。この感じは何だろうか?そんな事を何日間か考えていた末に思い出した。

改めて読み返したら「ちょwww落ち着いてwww」と笑うけど(笑)今は笑える余裕がある事。この辛くもがき苦しんだ時期が懐かしくもある。なんなら人生の大きな出会いを果たしたから結果オーライだ。(後の伴侶となる人に出会う)(さりげなく惚気るのがマイブーム)

バウの真ん中に立つ風色日向さんに、当時の月組トップスター・珠城りょうさんに感じたような温かみや包容力を感じ取れた。

ここに居てもいい。

初主演作品が一度は中止になり、組の活動自体が止まった長い数ヶ月。どんな思いで過ごしていたか想像が付かない。不安も恐怖も絶望も感じられただだろう。その末の組の再始動、日を改めての公演実施が叶った。

それらを経たからこそ、この作品にリアリティをもたらしたのかもしれない。厳しい現実はある。目を背ける事は出来ないけれども、それでも残ったもの達は手を取り合い生きていく。

「ここに居て欲しい」は、むしろこちらが言いたい言葉のはずなのに。それにも関わらず、あちらから舞台上の振る舞いやオーラから「ここに居ていいよ」と言われているような気がしてならなかった。

この一年で、宝塚歌劇団の組織に失望し、嫌いになれば楽なのにと思う事さえあった。でも、嫌いになれなかったのは、確かに宝塚歌劇団に作品に舞台の上に立つスターに救われた経験があるからだ。

正直、今はまだ、愛や夢と言うキーワードを聞くと騒つく。素直に受け入れ難い部分もある。楽しんでいいのかと言う葛藤もある。

まずは、劇団で働く人達こそが、心身を病まずに健やかな環境で働いていて欲しい。私達に夢や希望を与える人達が病んでいるのは辛い。ファンの優しさに慢心する事なく改革を進めて貰えるよう強く願う。

私にとっての宝塚歌劇団とは何か?は、まだ答えは見つかってはいない。

その上で、やっぱりここが我が家でもある。と、言う一つのアンサーが出た。

いつでも帰って来られる、わたしのあおぞら。

そんな風に思わせるようなスターに、風色日向と言う人はなったのだと胸が熱くなった。

風色日向と言うスターは、いつしか、バウホールを飛び越して、大劇場の多くの人達を暖かく包み込むような人になるだろう。その明るさ、清涼感。男役らしい大らかで朗らかなスターに、多くの人が温かい気持ちになるだろうか。

いつか、大劇場で。その時を観られたら、どんなに嬉しいかと希望で胸が温かくなる。