【合格体験記】子育てしながら初挑戦で合格!システムアーキテクト試験勉強法
すこし前ですが、2023年春試験のシステムアーキテクト試験に合格しました。
こうみると午前Ⅱ試験はギリギリでしたね(笑)
他はまあまあな点数取れてよかったです。
この記事はシステムアーキテクトを受けようと思ってからどのように過ごしてきたかの記録です。いま受験を考えている方、また勉強中の方のお役に立てれば幸いです。
はじめに:ゼロからの挑戦
あらためましてzukaです。まずはぼくの基本的な情報の紹介です。
3人の子育て中のパパです。保育園の送り迎えはぼくの役目です
ヨメさんのほうが遅く帰ってくるので週に1~2回くらい寝かしつけまでワンオペな日があります
システムエンジニア13年目。当時は生産管理SaaSを展開しているベンチャーに勤務していました
IPAの資格はITパスポートはおろか基本情報も応用情報も一切受験したことがなく、いきなり高度情報処理のシステムアーキテクトを受けました
学習期間は2022年9月の終わりごろにスタートして翌年2023年4月の試験を受けたのでだいたい半年間ほどです
ある日、ふと思ったんです。ほんとになんのきっかけもなく。「これまでのエンジニアキャリアの中で、システム設計について体系的に学んだりアウトプットした経験が無かったよなあ」と。
で調べていたらかの有名なIPAの試験の中に「システムアーキテクト」という試験があると知りまして、よしどうせ勉強するなら資格試験を通じてやっちゃおう、ってことで受験を決意しました。
また正直な話、会社のSlackの「良いこと報告チャンネル」で「システムアーキテクト試験に合格しました!」と報告して、お祝いスタンプをたくさんもらいたいという気持ちもモチベーションを支えてくれました。こういう小さな動機が原動力になることもありますよね。ええ。
(※というか主電源だったりする)
ぼくもいろいろな方が書かれた合格体験記を読みました。
「勉強時間は30時間ほどで合格しました」とか「論文は1本も書かずに本番を迎えたけど大丈夫でした」とか、え、そんな猛者ばっかりが受けてるの?って思いました(笑)
箇条書きしましたが保育園の送り迎えあり・ワンオペありな毎日でしたし、これまでIPAの試験ってこれまで1度も受けたことなくて午前Ⅰ試験すら初体験という状態からのスタートです。
午前Ⅰも最初はナニコレ?って感じだったし、午後Ⅱの論述なんて最初の1本は書き上げるのに5時間もかかって、しかもヒドい文章でした(※本番の制限時間は120分です)。
でも受かりました!!
この記事では、ぼくが実際に行った勉強法やスケジュールの立て方、試験対策のポイントなどを、これから受験を目指す方々に向けてご紹介します。
社会人って・・・忙しいですよね!!忙しい中でも挑戦を成功させるヒントを見つけていただければ幸いです。
勉強スタート:どのように準備を始めたか
まずぼくが購入した書籍の紹介です。
※2023年試験向けの書籍なので最新版をお求めください
情報処理教科書 高度試験午前Ⅰ・Ⅱ(https://www.amazon.co.jp/dp/4798177563)
午前Ⅰ・Ⅱ対策です。どういうノリなのかすらわかってなかったですが、解説が結構しっかり書いてあったので読みやすかったです。
ALL IN ONE オールインワン パーフェクトマスター システムアーキテクト(https://www.amazon.co.jp/dp/4300101833)
午後問題対策に買ったものです。午後Ⅰの問題の取り組み方の解説があり、竹ヤリで挑んでいったぼくに武器を与えてくれました。
システムアーキテクト 合格論文の書き方・事例集(https://www.amazon.co.jp/dp/4865751343)
論文対策の鉄板教材ですね。具体的な論文が載っているのでどんな書きぶりで文章を作っていけばいいのか掴めました。
そして、ぼくの場合はまず午前Ⅰを突破しないことには始まらないので、午前Ⅰ対策として応用情報技術者試験のアプリを入れて周回してました。
ぼくが使っていたのは↓です。正直どれでもいいと思います。
リンク置いときますね。
AppStore
GooglePlay
午前Ⅱ対策としてはシステムアーキテクト過去問対策.comを使用しました。このサイトは過去問が載っているもので、書籍の「情報処理教科書 高度試験午前Ⅰ・Ⅱ」とカブるところも出てきますが、書籍は過去に無かった問題でも予想問題があるので、それはそれで有用だったかなと思います。
勉強の進め方:限られた時間をどう使ったか
前述の通り3人の子どもがいて、保育園の送り迎えはぼくがやってましたし、ヨメさんが遅い日もちょいちょいあったので寝かしつけまでワンオペということもある中での勉強です。
(※晩御飯のおかずは作っておいてくれているのでそれは大変ありがたい)
そう、仕事が終わったらまだまだ第2ラウンドが始まったにすぎません。
絵本読んでアピール、おなかすいたアピール、ケンカの仲裁・・・いや仕事してるほうがよっぽどラクじゃね!?って思うこともあります。ありますよね!?
寝かしつけが終わったらたいていHPは赤ゲージです。Slack見て問合せに答えたりもしますしね。ってわけでそれから長い文章を読んで論述の練習とか全くもってムリでした。
よって夜の時間は午前対策としてアプリと書籍で問題をこなせるだけこなすという感じでした。アプリはスキマ時間にもやってましたが、メインは夜でした。
一方で、唯一助かったのがぼくが朝型だったということです。朝起きるのはあんまり苦じゃなかったのでいつもより1時間早く起きるようにして、朝の時間は午後対策に充てていました。
とはいえ勉強期間の大半は冬。勉強をし始めるには下準備が重要です。じゃないとフトンから出ることすらできません。
まずは寝る前の準備。とにかく勉強開始のハードルを下げなきゃいけないので、机の上には必要なものを並べてから寝ます。
そしてまず2分間やってから飲み物を用意すること。飲み物を用意してから始めてはいけません。ちょっとだけやってから用意します。
このちょっとだけやるが結構キモで、誰しもやり始めたらやるんです。やり始めるまでにエネルギーが必要なんです。
飲み物を用意してから始めていたころは実際にペンを握るまでに軽く15分は消し飛ばしていましたが、1段落読むだけ最初に持ってくるようにしたあとは開始がとてもスムーズになりました。
あと、これは完全に自己満な話ですが、この「早朝に勉強している自分」というのがなかなかに自分の中でヒットし、その自己陶酔がモチベーション維持に貢献したように思います。モチベーションを自家発電できるって、自己満もなかなかに侮れないなと今でも思います。
あと↓コレは絶対に無くてはならないものです。勉強時間の記録!
毎日の勉強時間を壁に貼って記録をつけていました。こうして見えるところに可視化するのは習慣化にとても役立ちました。1日空くと「ああイカンイカン」と次の日にはまた始められます。
こうみると最初数日調子良くて、そこからチラホラになって、最後に追い込んだのがバレますねww
記録の付け方が大雑把なので正確な時間ではないですが、ざっくり150~200時間ほど勉強していたようです。
午前Ⅰ・Ⅱの勉強法と攻略ポイント
ぼくの場合はゼロからのスタートなので、そもそもどのような分野の問題が出題されるかから知りません。なので、ひとまずは書籍の「情報処理教科書 高度試験午前Ⅰ・Ⅱ」を一通りやってみて、全体の出題範囲を確認するところから始めました。
午前Ⅰ:とにかくアプリ周回
午前Ⅰは応用情報技術者試験の午前問題 80問の中から30問がピックアップされて出題されます。なので範囲は応用情報技術者試験と同じです。
午前Ⅰ対策としてはとにかくアプリを周回していました。5年分の春・秋を使っていたので10回分ですね。
用語からして聞いたことすらないものもたくさんあったので、根拠なく正解したものは正解とはせずに進めていました。
1つ1つは難しくないものの、とにかく範囲が広いので量をこなすイメージで進めました。
利用していたアプリでは同じ問題を2回正解すると出てこなくなる形だったので、一通り終えたらデータをクリアしてもう一周しました。なので計4回正解するまでやった感じですね。
午前Ⅱ:過去問.comと関連資料の閲覧
午前Ⅱも基本的には過去問で慣れていくということには変わりないのですが、過去問から出題されない新規な問題数もそこそこ多いようです。
開発手法だったりデザインパターンだったりセキュリティだったり、、、いろいろな分野が出てきますが、新たな言葉を見たらざっとググってその分野の全体を把握するという点を心がけました。
※たとえばGoFデザインパターンの問題なら選択肢のほかにどんなものがあるかパッと調べる、など
効率の良い勉強方法ではなかったのかもしれませんが、周辺知識と一緒に覚えることができましたし、単純に勉強になったのでこれはこれで良かったなと思ってます。
午前Ⅰ・Ⅱに共通して言えること
とにかく問題演習をひたすらこなすのが基本になるのですが、その問題を正解したら終わりではなく次にまた同様な問題に出くわしたときに解答までの道筋を導き出せる十分な知識があるか?ということを自問自答しながら進めるという点に帰着するかなと思います。
もちろん1問にこだわって追いかけすぎるのも良くないですが「解けた気になっちゃう」というのだけはやらないように気を付けてやってました。
午後Ⅰ・Ⅱの勉強法と攻略ポイント
特に午後Ⅱなんですけど、正直言って最大の関門は手書きであることだったような気がしています(笑)
とにかく書くのが遅い、しかも字が汚い、手が疲れる、そして漢字が頭に出てこない・・・!
午後Ⅰでも解答を思いついても「書く時間」はそこそこバカになりません。これには賛否両論あると思いますが、ぼくとしては基本的に手書きで練習することをオススメします。
特にぼくは字を書く習慣がまるでなかったので、、、ホントに「書く」ということに苦労しました。。。
午後Ⅰ:記述問題
午後ⅠはA4で6枚とか7枚とかある文章・資料を読んで設問に答えていくものです。自由記述ではなく「40字以内で答えなさい」みたいに字数制限があり、なんとなくその字数で答え方が想像できたりもします。
合格体験記書かれてる方の中には「国語の問題」って表現なさってる方もいましたね。その通りっちゃその通り。極端に言えばシステム開発の知識がなくても、文章読解力だけで理屈の上では解けます・・・けど、そこそこの資料ボリュームなので言うほど簡単ではないです。
ぼくの課題はとにかく読むのが遅かったことでした。
90分で3題の中から2題を選んで解くので、45分で1つを終わらせる必要があります。最初のうちは資料を読んだら時間が半分くらい消滅していて絶望してました。。。
解答を考える時間や書く時間を考えると、10 ~ 15分で資料全体を把握するのが目標です。
入試の英語の長文読解とかだと、まず問題を読んでその箇所が出てくるまで本文を読み進めて、、、ってやる小ワザもありましたが、資料の順番と設問の順番はバラバラであることも多かったのでこの作戦は使えませんでした。
書籍の「オールインワン パーフェクトマスター システムアーキテクト」には、どのような記述があったら設問と関連しやすいかとか、線を引きながら読むコツなどが書かれていて、いったんそのやり方にならう形で進めました。
最終的には、ぼくの場合は線は引かずにそのまま読むほうが合っているとわかったのでやらなくなりました。過去問で読み方をいろいろと試すうちに資料を読むことへの慣れが上回ったのかもしれませんね。
ぼくは過去10年分くらいの過去問をやってみました。
たぶん受験対策としてはこんなにやらなくてもいいのだと思うんですが、この午後Ⅰに出てくるいろんな種類のシステム開発の話が結構おもしろくて「なるほど稟議システムではこういう要件がでてくるのかー」とか「予約管理システムではこういう苦労ポイントがでてくるのかー」とか自分が設計したことがないシステムの勉強にもなり、エンジニアとしての引き出しが増えたような気がします。
午後Ⅱ:論文対策
なんとなくアプリでの午後Ⅰ対策が習慣化してきた2ヶ月目くらいから対策を始めました。
とにかく論文を書こうにもどんなフォーマットで書いていけばいいのかわからなかったため、その点は書籍の「オールインワン パーフェクトマスター システムアーキテクト」と「システムアーキテクト 合格論文の書き方・事例集」で文章のノリを理解するところから始めました。
出題内容に合わせた論文を書くには持ちネタの質によって大きく左右されます。
たとえば大小さまざまなシステム設計の経験があれば「この問題ならあのシステム開発のときの話をネタにしよう」ってパッと思いつきますし、問題に合わせてホントは存在しない機能でもあたかも当時設計したかのように書けるわけです。
システム設計経験が少ない方は、ぜひ経験者に要件定義や仕様設計においてどのようなことを考え、どのような問題が発生して、それをどう解決したのか聞いて追体験することをオススメします。聞くときは一般的な話ではなく、その方が経験した具体的な開発案件を1つ例にとって聞くのが良いと思います。実例はなによりリアルですし、リアルな話は記憶に残りやすく、問題に合わせた調整もしやすいです。
ぼくの場合は当時、生産管理のSaaSを提供していたベンチャーにいたので、その生産管理プロダクト開発と、セールス部門が使うCRM(顧客管理)システム構築の2つをメインのネタとして問題演習していました。
何本か書いていると、どのネタが問題に柔軟に合わせやすいかわかってきます。
ぼくは生産管理プロダクト開発が設計から開発、運用まで全部やっていたので話題が豊富で合わせやすかったです。それでも合わない問題のときに次点としてCRM構築をネタに書くというパターンに落ち着きました。
※結局本番もプロダクト開発を題材に書きました。
また、問題文を読んで何を書いてほしそうなのかを読み取るのも重要です。この辺は書籍にも解説があります。
例えばぼくが選択した2023年午後Ⅱの2番に↓こんな文章があります
ああ、実装してからリリースするまでのリードタイムを短くして仮説検証サイクルをスピードアップした、的なことを書いてほしいのだな、とわかりますね。
実際に「開発ブランチにマージしたら検証環境へのデプロイ、本番ブランチにマージしたら本番環境へのデプロイを自動化し、テストとリリースをすばやく行える環境を整えたことで、早いものでは課題発見後の翌日には本番環境へリリースしてユーザーが使える状態にできるようになった。」みたいなことを書いた記憶があります。
そしてなにより、2000~3000字ほどの文章を手書きで書くという点!!!これマジでしんどかった!!!!
本番はマス目のある作文用紙みたいなのに書くんですが、手書きなので書くのに時間はかかりますし、途中でちょっと消そうもんならマス目がズレて見栄えが悪いですし、ちょっと間にもう1つ話題を追加するなんてできませんし、、、
そして漢字が頭に出てこない!!!
普段からブログを書いたり、手書きでメモをとるなどの習慣がある方は苦にならないかもしれませんが、ぼくは手書きで長文を書くというところから慣れる必要がありました。
手書きに慣れていない方は、ホントにトレーニングのつもりで手書きで取り組むことをオススメします。ぼくは手書きのツラさから逃げずにやってよかったとマジで思ってます。
最初のほうにも書きましたが、ぼくは最初の1本を書き上げるのに5時間もかかって、しかもヒドい文章でした。もちろん5時間も連続した時間が取れたわけじゃないので何日にも渡って書いてます(笑)
もし受験経験者のお知り合いがいれば添削を依頼するのが良いと思います。ココナラとかでも添削サービスを提供している方がいらっしゃいますね。他者の目を入れるのは大変重要だと思います。
ぼくは周りにいなかったので自分で問題文と書いた論文を見比べて、出題意図をくみ取っているか、文章に不自然なところはないか、そして誤字脱字はないかをチェックしていきました。
最初はそれはもうヒドいもんですけど、3本くらい書くとだいたい文章が整い始め、5本くらいで2時間ちょっとで書ききれるようになりました。
本番も書き終わったら残り15分くらいって感じだったのであまり時間の余裕はありません。最初に全体の話の構成を決めたら、文字数をリアルタイムで調整しながら書き進めつつ、ちょいちょい読み返して書き直しの傷が浅いうちに誤字脱字をつぶすという作業の繰り返しです。
この論文を書いていくという作業は、なんというか過去のプロジェクトの反省になりました。
当時の経験をもとに書くんですが、多少は盛ります(笑)
「今思えば、こういう設計できてたら理想だったな」って思いながら書くのですが、これが良い感じの振り返りになったように思います。
スーパーアーキテクトな自分がプロジェクトを成功に導く様子を書くの、結構好きでした。事実とはちょっと(かなり?)違うとしても「設計者としてさいきょうのじぶん」のストーリーを描くことを楽しみながら書いていってほしいです。
試験当日に気を付けたこと
当日は遅れずに、受験票を忘れずに、ということさえ守っていればあとはやるだけですね。
会場にはテキスト類は持っていきませんでした。お昼休憩のときに見直そうと思って午後Ⅱの論述のノートだけですね。
ぼくが受験した会場は大学の講義室でした。
大学の講義室といえば、長机でイスは跳ね上げ折り畳み式のアレだろうな・・・と思ってて、まさにその通りでした。
固いイスで一日中試験受けてたら絶対お尻痛くなって、最後の120分の論述のころにはお尻痛いので頭がいっぱいになる!!
って思ったのでクッションを持っていきました。
場合によってはカンニングを疑われるかもですけど、真っ黒のやつだったので何も言われなかったですね。
これは大変功を奏して、最後までお尻が痛くならずに済みました。どうぞご参考までに。
おわりに
いかがでしょうか。
合格までの最短距離を進みたい方にとっては適さない記事だったかもしれません。
でも年に1回しか試験ないですし、IPAの試験は全く受けたことがなかったですし、あんまり効率に寄せる勇気はありませんでしたね(笑)
それに、せっかくやるんだからしっかりやりたかったんです。
たしかに午前系は割と暗記しちゃった部分もあって今解いたら全然解けないと思いますが、午後Ⅰは経験したことのないシステムの話に触れる機会にもなりましたし、午後Ⅱはこれまでの経験の棚卸しにはとても良い機会となりました。
総じて、受けてよかったです、システムアーキテクト。
もちろん合格に向けて効率よく勉強することは大変重要です。
それにプラスして、この記事を読んでくださった方々がシステムアーキテクトの勉強を設計者としてのご自身を振り返る機会として捉えてくれたら、とても嬉しいことだと思っています。