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12話「ラッキークローバー」
ー菊池クリーニング屋ー
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瑞穂:やあ。
さくら:土生さん…
瑞穂:齋藤さん、帰ってきてくれた?
さくら:ええ。心配してくれてたんですか?
瑞穂:まぁね、ここに齋藤さんいないと二人とも暗い感じがしてたからね。それに、齋藤さんもオルフェノクと戦う仲間だからね。
瑞穂が飛鳥のことを嫌っているんじゃないかと思っていたさくらは、瑞穂からの言葉を聞いて安心していた。
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さくら:ありがとう、土生さん。あ、クリー二ングですよね?
瑞穂:うん、頼めるかな?
さくら:はい!
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さくらにクリーニングに出す服を渡した瑞穂が、菊池クリーニングから出ると、
飛鳥のバイクが瑞穂の目の前で止まった。
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飛鳥:土生、さん…
瑞穂:へ〜、さくらちゃんや啓太郎くんに働かせて、自分はのんきに外出しているのね。
飛鳥:別に、そんなの人の勝手でしょ?それに、これから手伝うんだし。
瑞穂:あなたも変わっているわよね、オルフェノクを庇うなんて。
飛鳥:…聞いたよ、友香さんから。
瑞穂:?
飛鳥:友香さんも土生さんも、大切な人をオルフェノクに奪われたって。だから…
瑞穂:だから、あなたがオルフェノクを憎む気持ちも分かるって言いたいの?笑わせないで、あなたに私の何がわかるって言うのよ!?
飛鳥:だから!教えてほしいの…あなたとさくのこととか…
瑞穂:それには触れるな、って言ったよね?
飛鳥:え?
瑞穂:二度と、そのことは聞くな!!
飛鳥:!?
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ー15年前ー
瑞穂:お願い、まだお母さんと桃香がいるのぉ!
隊員:危険だ、行っちゃダメだ!
まだ幼かった瑞穂は、危険を顧みず救急隊員の静止を振り切って母とさくらにそっくりの妹の桃香を助けだそうとした。
(爆発音)
そして、瑞穂の母と妹が取り残された部屋から炎が上がる。
瑞穂:!?お母さぁあああん!桃香ぁああああ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
飛鳥:なんで、そこまでして隠すのよ?さくと土生さんのことを。
飛鳥に背を向けていた瑞穂が振り返る。
瑞穂:それ、あなたが言えたこと?
飛鳥:え?
瑞穂:じゃあ、話てみてよ。あなたが今までどうしていたか?さくらちゃんと出会う前、あなたは何をしていたのよ?
飛鳥:それは…
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瑞穂:あなただって、隠し事しているじゃない。ま、私の邪魔はしないで。
そう言うと、瑞穂はサイドバッシャーのエンジンをかけ、サイドバッシャーを走らせて去っていく。
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飛鳥:(あの人、なんなの…)
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ーBAR CLOVERー
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客:そうだ、最近変な噂を聞くんだよ。
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美波:へ〜、どんな噂ですか?
バーテンダーの梅澤美波は、中年のサラリーマン風の男性の話を聞いていた。
客:それがよ、死んだはずの人間が蘇って人を襲うって言うんだ。その蘇った奴は普段は人間の姿をしているが、人を襲うときに灰色の化け物に姿を変えるって言うんだよ。
美波:へぇ〜、面白い話ですね。
客:怖がらないのかい?
美波:ええ、私そういう怖い話好きなので笑。
客:そうか笑。あ、お会計頼むよ。
美波:お代は結構ですよ、お話面白かったですし。
客:えぇ?良いのかい?でもぉ、そりゃあ悪いよ、お姉さん。
美波:その代わり…
美波は拭いていたグラスをテーブルに置くと、不気味な笑みを見せた。
そして、美波は右手の人差し指と中指を客に向けると、
客:ん?
美波:貴方の命、貰いますね。
美波の人差し指と中指が触手のように伸びて、客の口と耳に侵入していく。
客:うわぁあああ⁉️
美波の2本の指が客の心臓に突き刺さると、心臓が青い炎をあげて燃え消滅した。
客:あがぁ…
美波:ふふふ…
美波が触手のように伸ばした指を客の口と耳から抜き去ると、客の顔が灰化し始めた。
客:あぁ…ぁ…ああああ!!!
やがて客の肉体の灰化は全身に広がり、砂の城が崩れるような音を立てて、客は衣服を残して肉体が消滅してしまった。
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美波:良い悲鳴ね…
カウンターの前に灰の煙があがるその様子を、美波はグラスに注いだシャンパンを口にしながら見ていた。
カランッ
BAR CLOVERの入り口の戸が開き、階段を降りる足音が聞こえてきた。
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蓮加:あっ、またここで人襲ったの?
ラッキークローバーのメンバーの一人の岩本蓮加が、床に落ちていた灰を見て美波に聞いた。
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美波:だって〜私たちのことを知っている人でね、面白かったから。でもどうせなら、もっと若い子を襲いたかったなぁ〜蓮加みたいな子を笑
蓮加:ちょっと脅さないでよ〜美波姐さん笑
美波:ふふ、冗談よ。蓮加は、私たちラッキークローバーの仲間なんだから。
蓮加:でも、3人しかいないんじゃクローバーじゃないよね。Jは、やられちゃったし…
美波:北崎くんも、相変わらず中々ここに来ないわね。
カランッ
BAR CLOVERの入り口の戸が開き、今度はスマートブレインの社長の村上が現れた。
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村上:突然の訪問ですいません。
美波:良いのよ、いつでも歓迎するわ。
蓮加:社長さんは相変わらず大変な感じだね。
村上:ええ、しかしここに来れば安らげますね。相変わらず、素敵なバーだ。
美波:ありがとう。でも、それだけを言いに来たわけじゃないでしょ?
村上:その通りです。ラッキークローバーのお二人にお願いがありまして。ファイズとカイザのベルトを取り返してほしいのです。
話を聞いた美波と蓮加は、
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美波:じゃあ、私はファイズのベルトを。
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蓮加:カイザのベルトは私が取り返すね。
と村上の要望を快諾した。
村上:まぁ、お二人なら言うほどではないと思いますが、用心してください。
美波:心配ありがとう。でも、久々に楽しめそう。ねぇ、蓮加?
蓮加:そうだね〜村上さん、楽しみに待っててよ。
村上:頼もしい限りです。それと、もう一つ…裏切り者の始末を。
村上は、美波にその裏切り者のリストが入ったタブレットを渡した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ー菊池クリーニング屋ー
啓太郎:あれ?美月さん!
飛鳥とさくらが配達に行ったあと店番をしていた啓太郎の前に、店の入り口から入ってきた美月が現れ啓太郎に挨拶した。
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美月:啓太郎さん。この前は、ありがとうございました。服、すごく綺麗になっていたし、それに良い匂いもしてました。
啓太郎:ああ、良かったです。実は…
それから啓太郎は美月に、クリーニングで使っている洗剤や柔軟剤、服のアイロンがけの仕方などを長々と説明していた。
美月:へ〜そこまでこだわっているんですね。
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啓太郎:ええ、ただクリーニングするだけじゃダメだと思って。お客さんの肌に優しいようにとか…色々考えて。それが、本当の意味でお客さんを幸せにするって思ってます。
美月:なるほど。ここに来る人が笑顔な理由、分かる気がします。
啓太郎:え、そ…そうですか?笑
美月:はい。啓太郎さんって丁寧で優しいですもん。私も安心してクリーニング頼めますし、それに…
啓太郎:それに…?
美月:あ、いやぁ…なんでもないです笑。じゃあ、これお願いします。
啓太郎:はい。ちゃんと綺麗にしておきますね。
美月:じゃあ、また…
菊池クリーニングから出た美月は、自宅である高層マンションへの道のりを歩んでいた。
美月:(何考えてんだろう…私。)
美月:(さっき、啓太郎さんと話していて…)
美月:(すごく、ドキドキ…してた…)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
飛鳥:ふ〜、さて次の人は…
飛鳥が次のクリーニング済みの服の配達先を確認していると、
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さくら:あの子…
さくらの視線の先に、道路を挟んで向こうの歩道を歩くあやめの姿があった。
飛鳥:?あの女の子、知り合いなの?
さくら:ええ、前に凄い怪我して倒れていたのを啓太郎と一緒に助けたことがあって…
そうこう話していると、向こうのあやめもこっちに居たさくらに気づいたらしく、お辞儀をしていた。
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あやめ:この前は、ありがとうございました。名前、言ってませんでしたね。筒井あやめです。
さくら:ああ、私は遠藤さくら。でも、大丈夫そうで良かったよ。あやめちゃん、って呼んで良いかな?
あやめ:ええ。そちらは遠藤さんのお姉さん、ですか?
飛鳥:あ、いやぁぁ…私は齋藤飛鳥。ちょっとした知り合いっていうか…
さくら:なんでそんな他人みたいな言い方なんですか?
飛鳥:なんか不満あるの?
さくら:もっと言い方があるじゃないですか!一緒に住んでいて仲良しですとか!
飛鳥:んなわざわざ言わないでしょ?普通は…
さくら:もう良いです。明日から熱々の料理しか出さないですから!
飛鳥:んだと???嫌がらせか??
あやめ:ははは…仲いいんですね。
飛鳥・さくら:どこが!?
サァァ… ドサッ
崩れる音がした方向に飛鳥たちが目をやると、OLが一人衣服を残して灰化し倒れていた。
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美波:あら、女子3人で楽しそうにお喋りなんて良いわね。
すぐに3人は、目の前に現れた女性がOLを襲ったのだと認識した。
飛鳥:あなた、オルフェノクね…
美波:ご名答よ。ファイズの装着者さん。そして、私はラッキークローバーのメンバー。
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飛鳥:ラッキー…クローバー??
あやめ:(!ラッキークローバーって、あの青い人が言ってた…)
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飛鳥たちの目の前で、美波はロブスターオルフェノクへと変身した。
飛鳥:さく、あやめちゃんを連れて。
さくら:はい。
さくらがあやめの手を引いて避難するうちに、飛鳥はファイズドライバーを装着し、ファイズフォンに変身コードを入力した。
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「5 5 5 Standing by」
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飛鳥:変身!
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「Complete」
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美波:ふふ、久々に楽しませてもらうわ。
美波は右手に召喚したサーベルで、ファイズに変身した飛鳥に攻撃を仕掛ける。振り回され続けるサーベルを飛鳥が身体を横に交互に振って避けた続けた。
が、高速で繰り出されるサーベルの攻撃の一つがファイズのボディに当たり飛鳥は後退させられた。
飛鳥:(う…は、速い…)
あやめ:(あの人が…ファイズ!?)
さくらと一緒に走っていたあやめが後ろを振り返った。
さくら:早く逃げよう。
あやめ:…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ドガァーーンッ❗️
サイドバッシャーを運転していた瑞穂を、何者かが放った光弾が当たる。
瑞穂:うわぁ!?
光弾が衝突した勢いで、瑞穂はサイドバッシャーから転がり落ちていく。
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蓮加:あなたの持っているカイザのベルト、頂くわよ。
瑞穂:何!?
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倒れていた瑞穂の目線の先で、木陰から現れた蓮加はセンチピードオルフェノクへと変身した。
蓮加:ついでに、仇も取らせてもらうね。
蓮加が目の前でオルフェノクに変身したのを見た瑞穂は、すかさずカイザドライバーを装着し、カイザフォンに変身コードを入力した。
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「9 1 3 Standing by」
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瑞穂:変身!
「Complete」
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瑞穂:はぁぁ。
蓮加:ふん。
瑞穂はダッシュしストレートで先制攻撃を仕掛けようとしたが、蓮加は左手で瑞穂の右拳を軽々と受け止め振り払う。
そして、正面に隙が生じた瑞穂に蓮加が連続でジャブを叩き込み、怯んだ瑞穂に蓮加は左脚でキックを浴びせ、瑞穂を地面に転がさせた。
瑞穂:何…!?
蓮加:準備運動、くらいにはなるかな?
倒れた瑞穂に蓮加が追撃のキックを入れようとしたが、瑞穂が横に身体を転がせて避ける。
瑞穂:貴様、仇とは何のことだ!?
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蓮加:あら、よく覚えているはずよ?あなたたちが何度も倒したワニみたいな顔をしたオルフェノクのことを。
蓮加の口からでたオルフェノクの特徴を聞いた瞬間、クロコダイルオルフェノクのことが瑞穂の脳裏に蘇った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ー3ヶ月前ー
瑞穂:由依!?
瑞穂たちが乗っていたキャンピングカーから降りて、外の空気を吸いに行った由依を、待ち伏せしていたラッキークローバーのメンバー・Jことクロコダイルオルフェノクが襲い、オルフェノクの足元で由依がうつ伏せに倒れていた。
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葵:貴様、まだ生きていたのか!
仲間を襲われた怒りからか、葵は西田が変身して命を落としたカイザのベルトを躊躇することなく装着した。
友香:ちょっと、葵!?
「9 1 3 Standing by」
葵:変身!
「Complete」
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西田の次にカイザに変身し由依の仇を取ろうとした葵は、クロコダイルオルフェノクとの戦闘に挑み、カイザのキックの必殺技「ゴルドスマッシュ」でオルフェノクを再び撃破することに成功した。
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葵:やった…
が、カイザの変身が解けた直後、葵も西田と同じようにベルトの副作用に身体が侵されていた。
瑞穂:葵!?
ドサッ
葵:ダメか…私も…
膝をつき四つん這いになった葵に瑞穂と友香が駆けつけるも、二人が葵に肩を貸そうとした瞬間に葵の体が灰化し始め、やがて全身が崩れてしまい葵は衣服を残して肉体は全て灰の山と化してしまった。
友香:葵…そんな…
顔を俯け悲しみに暮れる友香の横で、瑞穂が葵が倒したクロコダイルオルフェノクの灰の山に目をやろうとした時、瑞穂は異変に気づいた。
瑞穂:由依は?
オルフェノクに襲われて倒れていたはずの由依の姿が、いつの間にか消えていたのだった。
瑞穂・友香:由依ぃぃーーーーー!!!!
二人が叫んで由依の名を呼ぶも、反応は無かった…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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蓮加:どう?思い出したかしら?
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瑞穂:奴の仲間ということは…お前、ラッキークローバーのメンバーか!
蓮加:せいか〜い。
12話 完