仲良くさせてもらっている先輩を家に招待したら、甘すぎて召されかけた。
(インターホンの音)
〇〇:は〜い。
自宅の玄関に向かいドアを開けた。
史帆:やっほ〜、〇〇くん。
〇〇:先輩、早いですね。
史帆:ちょっと予定より早く用事が終わったからさ。
〇〇:どうぞ、あがってください。
サークルの先輩である史帆さんの持っていた荷物を預かり、リビングに案内した。
史帆:ん〜、〇〇くんの家綺麗だね。
〇〇:え、ああ…ありがとうございます。
史帆:は〜、私も家そろそろ掃除しなきゃだな〜
〇〇:でも掃除って意外と面倒ですよね。
史帆:そうなんだよね。だから、〇〇くん偉いなって思う。
〇〇:そんな大袈裟な。
史帆:ふふ。
謙遜したものの、お世辞でもそう言われると内心照れてしまう。
〇〇:あ、これですね。たこパの具材は。
史帆さんが持ってきたトートバッグを持ち上げて聞いた。
史帆:そうそう!
史帆:色んなの持ってきたからさ、自由に作れて楽しいと思ってさ。
〇〇:良いですね。
そう、今日自分の家に来てもらったのは、史帆さんからたこ焼きパーティーをしようと誘われたからだ。
1週間前…
ー日向大学ー
史帆:今度さ、〇〇くん家に行っても良いかな?
〇〇:え?
史帆:たこパ2人だけでしたくて。
〇〇:ああ、良いと思います!
〇〇:この前のイベントで、景品でたこ焼き器ゲットしたばかりですし。
史帆:そう、それ思い出してさ。
冬のサークルのイベントでミニゲームをした時、史帆さんとペアで組んで優勝して手に入れたのがたこ焼き器だった。
〇〇:やりましょう、是非。
史帆:じゃ、決まりね。
〇〇:はい。
大学内でそう約束してきた。
史帆さんにたこ焼き器のコンセントを繋いでもらって鉄板を温めてもらっている間に、キッチンでたこ焼きの生地を作っていた。
〇〇:ふ〜、さてと。
史帆:手伝うよ〜
〇〇:ああ、大丈夫ですよ。
〇〇:あとは、たこと長ネギを切るだけなので。
史帆:じゃあ、2人で分担してやろうよ。
〇〇:そうしますか。
史帆:うん。
ふと横で、まな板の上に乗せた長ネギを包丁でみじん切りにしている史帆さんを見ると、少し胸がドキドキした。
〇〇:(やっぱり、史帆さんって綺麗…)
〇〇:(って、いけない!そんなボーっとしている場合じゃないんだ。)
早くたこを切り終えて、たこパの準備を済ませないと…
史帆:上手だね、たこさん切るの。
突然声をかけられ、ビクッとした。
〇〇:ああ、前に父に教えてもらって。
史帆:へ〜、そうなんだ。
史帆:〇〇くんなら、良い旦那さんに慣れそうだね。
〇〇:いや、そんなことないですよ…まだまだ。
史帆:良いな〜、未来の〇〇くんの奥さん。
史帆:としも、〇〇くんの奥さんになりたいな〜
〇〇:へ!?
冗談のつもりで言ったのかもしれないが、そんなこと言われて気持ちが落ち着くわけがない…
〇〇:(史帆さんの、旦那さんに…僕が?)
7:00
史帆:よーし、たこパスタート❗️
〇〇:いぇーい❗️
史帆:何から入れる?
〇〇:えっと…じゃあ。
たこ焼き器に注がれた生地に最初は、定番のたことネギを入れた。
〇〇:まずは王道から。
史帆:じゃー、としはチーズ。
〇〇:おお、いきなり。
史帆:でも美味しそうでしょ?
〇〇:ですね。
それぞれが好きなのを入れて、たこ焼きを作り始めた。
〇〇:うん、美味い!
史帆:見てみて〜〇〇くん。
チーズを入れたたこ焼きを頬張り、チーズを口から爪楊枝に刺さったたこ焼きまで伸ばしていた。
〇〇:長ッ!笑
史帆:凄いでしょ〜
はしゃぐ史帆さんが可愛くて、仕方なかった。
史帆:〇〇くん。
〇〇:ん?
史帆:これあげる。
〇〇:何入れました?
史帆:タコさんウインナーだよ!
〇〇:良いですね。
史帆:あ〜んして。
〇〇:え、い、いや…大丈夫で。
史帆:むぅ〜、拒否権なし!
〇〇:え、あっ…
そのまま、史帆さんにタコさんウインナーが入ったたこ焼きを食べさせてもらう。
史帆:どう?美味しい?
食べながら聞かれ、軽く頷いた。
史帆:ふふ、可愛い〇〇くん。
〇〇:(あなたの方がよっぽど可愛いです…)
サークルの連中がここにいたら処刑されかねないくらいの甘々な対応を、史帆さんから受けていた。
史帆:そういえば、お酒まだだったね。
〇〇:あ、そうでしたね。
〇〇:取ってきますよ。
冷蔵庫から缶ビールを2個持ってきて、2人で缶の蓋を開けた。
プシュー
史帆:くー、良い音。
それから遅めの乾杯をした。
お酒とたこ焼きで話が弾み、気づくと夜10時になっていた。
史帆:は〜、お腹いっぱい。
〇〇:食べ過ぎちゃいましたね。
史帆:どうしよう、太っちゃうかも。
〇〇:運動しなきゃですね。
史帆:は〜、大変だ。
史帆:でも楽しかった♪
〇〇:僕もです!
史帆:ふふ。
すると、史帆さんの顔が僕の肩に寄りかかってきた。
史帆:ふぁ〜…
〇〇:眠い、ですね。
史帆:うん〜…
史帆:膝枕して?
〇〇:ん?
史帆:ん?
〇〇:誤魔化さないでくださいよ。
史帆:んふふ。
何も言わず、目を瞑りながらニコニコしてお願いしてきた。
〇〇:もう、仕方ないですね〜
史帆:いぇい、ありがと♪
そのまま、史帆さんが膝の上でスヤスヤと寝始めた。
〇〇:(なんですか、このスペイベは⁉️)
阿保みたいなことを考えていると、
史帆:〇〇くん〜、しゅき。
寝言で告白された。
〇〇:(今すぐ婚姻届出します!)
fin.