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姉に溺愛されているお嬢様を助けただけなのに… 最終話


ーライブ会場ー


美空:か〜、いよいよ始まるよライブ!

〇〇:そうだな。

〇〇は美空との約束で、美空の推しのアイドルが出ているライブに来ていた。


美空:緊張してきた〜 

〇〇:そうなの?てっきり何回も来ているから緊張していないのかと。

美空:そんなことないよ!てか、何回来ても緊張するよ。

美空:だって、目の前に空ちゃんが踊って歌ってキラキラしているのが見れるんだよ?

美空:もう、想像しただけでドキドキしちゃう‼️

〇〇:はは、そっか。

〇〇:(ドキドキ、するか…)

外方を向いて〇〇は1人微笑を浮かべた。



〜翌日〜


バン!

彩父:全く、我ながらなんと情けないことか‼️

彩母:あなた落ち着いて。

彩父:かー、落ち着けるものか。

彩父:私の大事な、大事な娘を覚醒剤を売り捌いている奴なんかに渡そうとしていたとは…

彩母:でも、それも美波たちのお陰で防げたわ。

そんな風に話し合っていた2人は、2日前に行われた記者会見のテレビ放送を見ていた。


ー記者会見ー


記者:それで、今回麻薬取引をしていた製薬会社の御曹司の逮捕に至るまでの経緯を話して頂けませんか?小川美波さん。

美波:は、はい。

美波:その男と私の妹の縁談の話があった時に、向こうに怪しい噂があって身辺調査をすることにしたんです。

美波:そしたら、たまたまその調査に協力してくれた子がその男が売人と覚醒剤の取引をしているのを見つけて…

美波:だから、今回のは彼のおかげでもあるんです。

記者:な、なるほど…その、小川さんに協力してくれた彼は今はどちらに?

美波:今は…、大切な人との時間を過ごしています。




〜一昨日〜


彩:わ〜、風気持ち良いですね!

〇〇:だね!

彩:ひゅーーッ!

〇〇:ふふっ。

海沿いの道をサイクリングしていた〇〇と彩に、
潮風が当たる。

その風に当たって彩の髪が靡くと、〇〇の心臓の鼓動が激しくなった。


彩:あっ!

〇〇:ん?どうした?

彩:ここで、お昼にしません?

〇〇:良いよ。

2人はメニューが書かれた看板が立っていた店の前で自転車を止め、中に入っていく。


彩:うわぁ〜、美味しそうですね♪

〇〇:ね、このマグロとかいくらとか。

彩:それに、このエビも!

〇〇・彩:いただきまーす!

彩:んー、おいひぃ〜

〇〇:ん、うまっ!

海鮮丼を食べ、美味しさを堪能して2人は笑みを見せ合っていた。



彩:じゃ、また行きますか。

〇〇:大丈夫?

彩:えぇ、もう食べた後の休憩バッチリですから。

〇〇:そっか、なら良かった。

店を出て、2人は再び自転車を漕ぎ始めた。



〇〇:綺麗だね、海。

彩:そうですね。

自転車を止めて、浜辺に設置されたベンチに〇〇と彩で腰をかけて海を眺めていた。

都会の喧騒を離れた2人に、静かな時間が流れていた。


彩:す〜

〇〇:す〜

ザァ〜 ザァ〜

彩:ふふ、良い音。

〇〇:ね。


2人して目を閉じて波の音に耳を澄ませていると、手を重ねていた。

海は太陽に照らされ、波で揺れる海面が宝石のように光っていた。


彩:ここに来られて、本当良かったです。

〇〇:そうだね、色々大変だったけど。

彩:ふふ、でもその大変だったこと楽しかったです。

〇〇:大人だね〜、彩ちゃんは。

彩:ちょっとカッコつけただけです笑

そう言うと、彩は頭を〇〇の肩に乗せて来た。

彩:ふふっ。


その後、夕焼けで空も海も紅に染まるまで2人はその浜辺にいた。




〜現在〜


美波:お父さま、是非会ってほしい方が。

小川家の屋敷に招待された〇〇を、美波が案内して応接室に連れて来た。

彩:〇〇さん!

〇〇:やぁ。

彩父:おお、来たか!

〇〇:は、はじめまして…松田〇〇、です。

彩の両親に向かって、〇〇は深くお辞儀をした。



彩母:まぁ、とっても凛々しい顔立ちしていらっしゃって〜

〇〇:あはは、どうも…

彩父:君か、君があの男の悪事を暴いたんだな?

〇〇:は、はい。

彩父:いや〜、本当にありがとう!娘を悪党から守ってくれて、そして我が家を守ってくれて。

〇〇:いや、別にそこまで…偶然ですし…

彩父:なんてお礼をしたら良いのやら。

〇〇:お礼なんて、そんな…

彩父:いやいや、遠慮せんで良い!なんでも言ってくれ、君の願いなら。

〇〇:えぇ…

美波:ほら、言っちゃいなよ!

彩母:そうよ、遠慮なさらないで。

〇〇:でも…


彩:大丈夫ですよ。

視線が一気に〇〇に集まっていた。


〇〇:じ、じゃあ…

彩父:うむ。

〇〇:一つ、聞いてもらえますか?

彩父:なんなりと!

深呼吸して〇〇は彩の父に正面を向け、口をひらいた。



〇〇:俺が、小川彩さんと付き合うのを認めてもらえませんか?

彩:❗️

美波:おぉ…

彩母:まぁ…

彩父:なるほど…

沈黙が一瞬入った。

彩父:それが君の願いか。


彩の父親が椅子から立ち上がり、室内に緊張が走った。


彩父:彩。

彩:・・・


ぽんっ


彩:?

彩父:良い人を見つけたな。

彩:!

〇〇:!

娘の肩に手を乗せると、微笑みかけた。

彩:お父さま!




父に抱きつくと、溢れる喜びを表さんと笑みが溢れていた。

そんな彩を見て、美波が母とハイタッチをした。

〇〇:え、あ・・・

美波:良かったね!〇〇くん。

キョトンとした〇〇の肩を美波が叩いて、

彩母:もう、まさに少女漫画のような展開よ!

彩の母が〇〇の手を握った。



彩父:待て、二人とも。

美波・彩母:?

〇〇:?

彩父:確かにワシは今彼を、松田〇〇くんを讃えた。

美波:うんうん。

彩父:娘を救い、私たちを救ってくれた君を。

彩母:うんうん。

彩:しかーーーーし、



まだ娘をやるわけにはいかん!

一同:!?


静寂が一瞬場を支配した。が直ぐに…


彩父:!!?

美波:ちょっと、どういうことですかお父様!?

美波が父の耳を引っ張り、

彩母:そうよ、こんな尊い展開に水を差すようなこと言って!?

彩の母が旦那の首を絞め始めた。

彩父:あ、ちょっ・・痛い痛い‼️

彩:お姉さま、お母さま落ち着いて‼️

〇〇:えぇ・・・

彩が間に入って仲裁しようとするも、暴走は止まらなかった。



美波:こうなったら、極刑ですよお父さま❗️

彩母:そうね、打首獄門くらいしないと。

彩父:こ、怖いよぉ…(汗)

彩:ダメよ、二人とも‼️

〇〇:あのぉ‼️‼️

4人:!


屋敷内に〇〇の叫びが響き渡り、ようやく静まり返った。


〇〇:二人は離れてもらって良いですか?

美波・彩母:は、はい…

〇〇:お父さま、大丈夫ですか?

彩父:はぁ…はぁ…助かった。

解放された彩の父が咳払いをし、〇〇の方を向く。


〇〇:確かに、お父さまが反対なさるのも無理ありません。身分が違いますから、俺と娘さんとでは。

〇〇:ですが、それでも俺は彩ちゃんを…

彩父:いや、そういう問題ではない。

〇〇:ではどういう問題で?

彩父:さっきも言っただろう?まだやるわけにはいかないと。

〇〇:?

彩父:もう一度言うぞ、




まだ・・・な。



その瞬間、美波と彩の母は顔を見合ってざわつき、彩は〇〇の顔を見た。



彩父:まずは婚約する前に、お互いじっくり付き合わんとな。


ガクッ!?

彩の父のその言葉を聞いた瞬間、父以外の者全員の膝が崩れて倒れた。


彩父:な、何みんな???どうしたの?その反応は。

直後、再び美波と彩の母が父に近づいて睨み始めた。


美波:お父さま!

ギィ!!

彩父:ぎゃああああ!!耳がぁ!!?(汗)

彩母:全くこの大馬鹿もの!!

彩父:何?何が大馬鹿なの!?

彩母:最初から、結婚の話してるんじゃありませんよ!

彩父:そうなの??

彩父:てっきり〇〇君が彩のこと好きで、だからワシに婚約を認めろと言っていたんじゃ…

美波:違います!



彩:ふふ。

〇〇:止めに行かなくて良いの?

彩:ええ、多分大丈夫ですから。笑

〇〇:そっか。笑

3人が騒いでいるのを、2人は見守っていた。


それから、数時間後…


彩:もう、帰られるんですか?

〇〇:うん、明日大学だし。

彩:なんか、寂しいです。

〇〇:えぇ、なんで?笑

彩:だって、折角〇〇さんとちゃんと付き合えるようになったのに…

〇〇:はは、大丈夫だよ!これから沢山会えるじゃん。

彩:そうですけど、なんか…

〇〇:…

ヒュ〜


彩:わっ!

〇〇:あっ。

風にびっくりして倒れそうになった彩を、〇〇が受け止めた。

〇〇:だ、大丈夫?

彩:はい…

〇〇:…

〇〇:あのさ、彩ちゃん?

彩:何ですか?

〇〇:その…一晩だけ、泊めて…もらえませんか?

彩:ふふ、勿論。

彩が〇〇の手を引く。

〇〇:ありがとう。

〇〇:!


その瞬間、彩と唇が重なった。


彩:一晩と言わず、何晩でも。

〇〇:ふふ、ありがと。



2人は微笑み合い、

彩は〇〇を門から屋敷内に連れて行き、

その2人の上には星々が輝いていて、

流れ星が通った。



fin.



あとがき


ここまで「姉に溺愛されているお嬢様を助けただけなのに…」シリーズを読んでくださってありがとうございました!


本シリーズは元々1話で完結する予定でしたが、
ありがたいことに「続きを見たい」とのリクエストを頂き、色々考えて私自身ももう少し話を書きたいと思い、その結果シリーズものになりました。


このシリーズが終わると宣言した時に、「終わってほしくない」との声も頂けて、非常に嬉しかったです。


ですので、というだけでなく正直自分自身も同じような願望を持ち始めたので、








このシリーズのシーズン2を書いていこうと思います。

現段階ではまだ構成も何も作れていませんが、
これから何がなんでも作っていきます。

年内にはシーズン2の1話目を投稿できるのを目指して、進めて行こうと思います。

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