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普段は強面で凶暴な彼女は、僕の前では嘘みたいに優しい。7話


ー池田家ー


(目覚ましのアラーム)

瑛紗:ん…

瑛紗:やかましい❗️

バサッ

ベッドから飛び起きた瑛紗は、スマホのアラームを止めた。

瑛紗:ん?

そのスマホの画面に表示されている時間を見ると、

「8:45」

瑛紗:へ?

瑛紗:遅刻だぁあああ‼️

すぐさま着替えて、洗面所で顔を洗い歯を磨いた瑛紗は玄関に向かう。

アルノ:瑛紗?

瑛紗:あ、姉貴。

アルノ:なんで制服なんか着てるの?  

瑛紗:遅刻!じゃ、いってきまーす!

バタンッ

玄関のドアを閉めて、瑛紗はダッシュしていく。


アルノ:っていうか、今日から春休みじゃない?

腕を組んで首を傾げながら、アルノはカレンダーを見る。

アルノ:ま、良いか。そのうち気づいて帰ってくるか笑





瑛紗:急げー、急げー!

ダッシュして道を進む瑛紗は、やがて学校の校門前に到着した。

瑛紗:ふ〜

瑛紗:おっ、開いてるじゃん。

朝遅刻したから、校門は閉まっていて生徒指導の教師と鉢合わせするかと思っていた瑛紗だが、門には教師はおらず開いたままだった。


〇〇:瑛紗?

瑛紗:へ?

瑛紗が振り返ると、私服の〇〇が自転車に乗っていた。

瑛紗:〇〇!?なんでそんな格好なの⁉️

〇〇:え、なんでって…

瑛紗:もう〇〇は教室にいると思っていたのに。

〇〇:もしかして、瑛紗今日学校あると思っている?

瑛紗:え??

2人が話していると、校庭から生徒たちの声が聞こえてきた。

瑛紗:だってほら、皆んないるよ?

〇〇:え、ああ…あれ部活の子たちだよ。

瑛紗:部活?

瑛紗:・・・

一瞬沈黙した後、

瑛紗:もしかして…休み?

〇〇:うん、春休み。

瑛紗:ズゴッ!

拍子抜けした瑛紗は、門に肩をぶつけてた。


瑛紗:痛ッ!

〇〇:だ、大丈夫?

瑛紗:うぅ〜ん、痛いよ…

〇〇:えぇ…

心配になった〇〇が自転車から降りて、瑛紗の肩を見る。

〇〇:痣出来たんじゃ…

瑛紗:摩ってほしいな…

〇〇:え?

瑛紗:そしたら、痛み引くかも。

瑛紗のお願いを聞いて、〇〇が瑛紗の肩を摩りだす。


〇〇:よしよし、痛いの飛んでけ〜

瑛紗:ふふ。

〇〇:瑛紗?

瑛紗:もう大丈夫だよ〜

〇〇:もしかして、最初から平気だった?

瑛紗:うん笑

〇〇:うん、じゃないよ…

〇〇:本当に心配したんだから…

瑛紗:ごめんって。


瑛紗:でも〇〇は優しいね。

〇〇:そりゃ…友だちだし、それに…

瑛紗:ん、なに?

〇〇:それに…

言うのを躊躇っている様子の〇〇の顔を、瑛紗がニコニコしながら覗き込む。


瑛紗:ふふ。

〇〇:な、何?

瑛紗:〇〇、顔が真っ赤だよ。

〇〇:き、気のせいじゃない?

瑛紗:ううん、すっごく。

瑛紗:可愛いかれち。

〇〇:え?

瑛紗:好きだよ。

〇〇:!

〇〇としては言うのに億劫になっていたのに瑛紗にサラッと言われ、更に恥ずかしさが増して悔しくなっていた。



〇〇:もう…

〇〇:僕だって、瑛紗が…

〇〇:好き。

最後は小さい声になった〇〇だが、瑛紗の耳にはしっかり聞こえていた。

瑛紗:嬉しいよ、ありがとう。

〇〇:うん。

この前〇〇が半ば事故で告白して以来、瑛紗と〇〇はめでたくカップルになっていた。





瑛紗:ところで、〇〇どこ行くの?

〇〇:え、ああ。おつかい。

〇〇:母さんから頼まれて、昼ごはんの食材買いに。

瑛紗:ふ〜ん、あっ。

瑛紗:手伝うよ、おつかい。

〇〇:え、良いの?

瑛紗:うん、折角外に出てきたことだし。

〇〇:ありがとう。

瑛紗:いえいえ。

〇〇:じゃあ、お昼家で一緒に食べようよ。

瑛紗:良いの?

〇〇:もちろん!

嬉しくなった瑛紗が〇〇の腕に抱きつく。

瑛紗:いやったあああ!


〇〇が自転車を引いて、瑛紗と並んで歩いていると、


不良1:よ〜、そこの嬢ちゃん。

不良2:んなダセぇ男ホッといて、俺らと遊ぼ〜ぜ?

不良たちに瑛紗がナンパされた。


〇〇:あの…やめた方が良いですよ?

不良3:ああ?なんでだよ?

〇〇:いや、ほら…

〇〇が顔を瑛紗の方に向け、それに従うように不良たちが瑛紗の方を向く。

不良たち:⁉️

さっきまで〇〇に甘えていた時の顔とは一変して、鬼みたいな形相の瑛紗だった。


瑛紗:おい…

不良たち:は、はい…

瑛紗:消えろ。

ガシッ

不良1が瑛紗に服を掴まれて身体を持ち上げられ、瑛紗の右拳から連続でパンチを全身に喰らい、最後に顎にアッパーを決められ宙を飛びゴミ捨て場に落下した。

ドサッ

不良2:に、逃げなき…

瑛紗に背を向けて逃げようとする不良2の行く先に先回りした瑛紗が、不良1と同じように不良2もボコボコにしてゴミ捨て場に飛ばす。

ガシャンッ


不良3:ひぃ…

尻もちついた不良3も、瑛紗に身体を持ち上げられた。

不良3:⁉️

瑛紗:さっき、お前は逃すと言ったな?

〇〇:へ?(急に、どうした?)

不良3:へ?えっと…

〇〇と同様に不良3も動揺したが、

不良3:は、そ、そうです…

不良3:た、助けて…

苦し紛れに、瑛紗に命乞いをした。


瑛紗:あれは嘘だ。

不良3:⁉️

不良3:ふぁああああああ⁉️

結局、瑛紗の気まぐれで不良3が助かることはなく、不良3も2人の仲間と動揺に瑛紗に処された。

〇〇:(なんか聞いたことあるな…これも。)


瑛紗:ふ〜、他愛もない。

〇〇:相変わらずだね…

瑛紗:ねぇ〜、瑛紗凄い?

〇〇:え、ああ…うん!

瑛紗:んふふ、〇〇に褒められた〜♪

ギュッ

〇〇の腕に再度抱きついて、顔をすりすりする瑛紗だった。



処刑人から一気に乙女に変わる瑛紗に、〇〇はいつまでも慣れることはなさそうだった…


7話 完

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