課外授業でペアになったクラスの才女のことを知ったら、お互いに両想いになっていた。
人生って何が起きるか分からない。
と、たかが17年しか生きてない自分が言うのもなんだけど、本当にそう思った出来事があった。
〜数ヶ月前〜
教室に入ると、クラスの皆んなが異様に騒いでいるのが目に入ってきた。
淳:よ、〇〇。
〇〇:おぉ、淳。
早速、親友の淳にこの状況のワケを聞いてみた。
〇〇:なぁ?何みんなざわついているんだ??
淳:なんでって、今度の課外授業でのペアをHRで決めるからってさ。
〇〇:へ?そうなの??
淳:そうだよ。
そういえば、来週に課外授業があった。
行き先は櫻山の麓で、そこに生息する珍しい🐱を発見すること。
事前に組んだペアで動物に関して調べて、それをもとにその動物を見つける。
要は学者みたいなことをやれと。
〇〇:じゃあ、淳と俺で組…
淳:悪いな、俺既に他の子と組んでいるんだ。
〇〇:へ?そうなのか?
淳:ああ、美羽ちゃんとな。
〇〇:嘘だろ⁉️
クラス一の美女で可愛い美羽ちゃんが、淳の誘いをOKしただと⁉️
まぁ、誘いって言ってもたかが課外授業での関係だし…
〇〇:ふ、ふ〜ん…そうなんですか。
淳:分かりやすいくらい羨んでいるじゃん笑
〇〇:ちげぇーし❗️別に羨んでなんかないからな⁉️
そして、HRになり担任が教室に入ってきた。
担任:よーし、今から来週の課外授業のペアを決めてもらう。各自好きな人と組むように。
淳:じゃ、〇〇。俺は美羽ちゃんと組んでくるから。
〇〇:な、この裏切り者ー!
仕方ないので、誰か適当に探すしかなかった。
けど周りを見渡すと、大体はペアが決まっている感じだった。
〇〇:ま、そりゃそうか…今日ペア決めること忘れてたの俺くらいだろうしな。
とはいえ、このクラスの人数は偶数だから誰か1人は余るはず…
そう思って探していると、
?:あの…
声をかけられた。
振り返ると、このクラスで成績が1番高いと知られている小田倉麗奈さんが立っていた。
〇〇:小田倉さん。
麗奈:もしかして、余って…ます?
〇〇:その、もしかしてだね。
麗奈:良かったら、組みません?
〇〇:あ…うん、組もう。
そういう訳で才女と課外授業のペアを組むとことになった。
お互いハブられた者同士で。
麗奈:高牧さん宜しくお願いします。
〇〇:ああ、宜しくね小田倉さん。
お互いあまり話したことないが故に、苗字を呼び合って別れた。
小田倉さんに対する印象はと言うと、あまり人と喋らないで1人でいることが多い。
そして、見た目が大人っぽい。
どうなるのかやらと思いながら、俺は自分の席に戻った。
一日の授業が全て終わると、
淳:じゃ、〇〇。俺は失礼するよ。
〇〇:わーってるよ、美羽ちゃんと話し合うんだろ?
淳:そうそう、来週の課外授業のことをな。
〇〇:(っていう建前で、本当はぺちゃくちゃお喋りしたいだけだろうが。)
そう言って淳は美羽ちゃんのもとに走っていた。
〇〇:(うわ〜、なんか楽しそうだな…)
と羨ましいそうに2人を眺めていた。
麗奈:高牧さん?
〇〇:ん、ああ、小田倉さん。
声をかけられ、俺は小田倉さんの方を向いた。
麗奈:あの、課外授業のことなんですけど…
〇〇:ああ、そうだね!探す動物のこと、図書室で調べたりしないとだね。
と、とりあえず話題を振ってみた。
麗奈:それが、図書室じゃ多分有効な情報は無いと思います。
〇〇:そうなの?
麗奈:何しろ珍しいと言うだけのことはある動物なので。
ま、言われてみればそうだなと思った。
〇〇:そしたら、どうしようっか…
麗奈:それなんですけど、私に任せてください。
凄く自信満々に言う小田倉さんは初めて見たかもしれない。
〇〇:え?なんか秘策でもあるの?
麗奈:はい、でそれでなんですけど…今日、高牧さんが時間あれば私の家に来てくれませんか?
〇〇:へぇ⁉️
思わず大声を出してしまった。
何しろ、女の子に家に招かれるなんて初めてだかりだ。
麗奈:あ、今日がダメなら…
〇〇:いや…その、ダメじゃないけど…
麗奈:じゃあ、その課外授業のことを一緒に家で話しましょう。
〇〇:お、おう…
あれ?意外と積極的…いや、別に変な意味なんか無いし、良いか。
小田倉さんはただ、課外授業のことで俺と話がしたいって言っているだけなんだし。
そして、約束した時間に小田倉さんの家の前に着いた。
インターホンを鳴らす。
麗奈:来てくれたんですね!
〇〇:う、うん。課外授業の件で、ね。
麗奈:とりあえず入ってください。
俺とは正反対に、小田倉さんが嬉しそうに家に招く理由が分からなかった。
小田倉さんの部屋に招かれると、整理されていた。
〇〇:部屋、綺麗だね…
麗奈:そ、そうですか?
〇〇:あ、うん…
ヤバい、気持ち悪がられたかな?今ので…
麗奈:それより、今回見つける動物なんですけど…
と、小田倉さんが櫻山に生息する珍獣について話し出した。
麗奈:実は、この子は夜行性なので普段は昼に見ることが出来ないんですよ。
〇〇:え?そうなの?
じゃー、今回の課外授業、俺たちに無理ゲーさせているの⁉️
〇〇:じゃあ、課外授業で見つけるなんて無理じゃ…
麗奈:普段は無理ですね、でもこの時期になると冬眠する為に昼にえさを求めて外に出てくるんですよ。
〇〇:そうなんだ、知らなかった…
麗奈:最近学者さんがインタビューで話していたくらいですから、知らないと思います。
〇〇:へ〜、そういうの聞くんだ。
麗奈:面白いですよ、この前は〜〜〜〜
と、小田倉さんのトークのスピードが増してきたのが伝わった。
麗奈:〜〜〜という感じなんです。
〇〇:凄いこと、しているんだね。その人。
麗奈:はい、そうなんです。
小田倉さんが熱意を込めて話しているのが伝わってきた。
というか、なんか楽しくなってきた。
小田倉さん、話すの上手なんだなと思った。
だって、普通学者の話なんて、こんな学生が聞いても退屈にしかならない筈。
だけど小田倉さんの話は分かりやすくて、話を聞くとその学者さんの研究を自分でもしてみたくなるくらいだった。
〇〇:小田倉さん、凄いね。
麗奈:え、そうですか?
〇〇:うん、だって小田倉さんの話聞いていたら、勉強頑張ってみるのも良いかもって思えてきた。
麗奈:う、嬉しいです!そんな風に褒めて貰えて。
その時の、本当に照れてる小田倉さんがめちゃくちゃ可愛かった。
麗奈:高牧さんとペアで良かったです。
〇〇:そ、そう?
麗奈:はい。
〇〇:そっか、良かった。
麗奈:高牧さんって、優しいんですね。
〇〇:へ、いや…そうかな…
どうした急に⁉️
と俺は思ってしまった。
麗奈:私、人と仲良くなるのが苦手だったんです。それで、喋るのが上手くなりたくって最近お笑いを見るようになったんです。
〇〇:え?小田倉さんもお笑い観るの⁉️
麗奈:はい、もう最近は喋るのが上手くなりたいより、単純にお笑いが面白いなって思って観てますけど笑
〇〇:お、俺もお笑い好きだよ?
麗奈:本当ですか?私は〜〜〜
と、いつの間にか2人でお笑いの話をしだしていた。
〇〇:あはは、いやあのネタ面白いよね❗️
麗奈:そうなんですよ、ふっ、ふはははは‼️
〇〇:ちょっ、めっちゃツボっているじゃん笑
麗奈:いやだって、うぶっ、あははは‼️
〇〇:ちょっ、あはははは‼️
小田倉さんに誘い笑いされた。
なんか思ってたのと違くて、けど凄く良かった。
小田倉さん、めちゃめちゃ面白い人だし、それに、その…
〇〇:(か、可愛い‼️)
夕方になって、俺は小田倉さんの家を出た。
麗奈:じゃあ、また明日学校で!
〇〇:うん、また明日ね。
〇〇:あ、今日本当に楽しかったよ。
麗奈:わ、私もです。
〇〇:またね。
麗奈:はい。
〇〇:あ、あとどうせなら下の名前で呼ばない?お互いに…その。
麗奈:そうですね。折角ですし!
それから、小田倉さんと仲良くなって学校で話す機会が増えた。
〇〇:なるほど!そうしたら、これ解けるのか。
麗奈:そうです。
〇〇:意外と簡単に出来るんだね。
麗奈:見方を変えたら、こんな感じに解けるんですよ。
〇〇:もう麗奈ちゃんが明日から数学の先生で良いよ。
麗奈:いやいや、そんなことないですって。
〇〇:満更でも無いって顔してない?
麗奈:え?漫才?
〇〇:いや言ってない笑
麗奈:冗談ですよ笑
〇〇:ジョーダン?
麗奈:それはバスケの選手。
〇〇:お、ツッコミが早い。
麗奈:誰だと思っているんですか、わたしを!
麗奈:斉〇さんですよ!
〇〇:いや、貴女は小田倉さんです。ってかそれは、トレン〇ィエン〇ェル❗️
麗奈:あはは、ノッてくれましたね。
教室にいる時は、勉強の話かと思ったらいつの間にかお笑いの話になっていたりしていた。
淳:なんか〇〇、小田倉さんと楽しそうじゃん。
〇〇:へへ〜ん、そうだろ?そっちは?
淳:いや、まぁ…別に。
〇〇:別にってなんだよ?
美羽:あ、淳く〜ん。
淳:あ、呼ばれた。じゃね〜
〇〇:なんだ、上手くやれているんじゃんか。
と、どうやらお互いペア組んだ子と仲良くなれているみたいだった。
麗奈:でですね、この前お父さんがコップ落としちゃったら、お母さんが「な〜に⁉️」って叫んで。
〇〇:あれ?まさか…
麗奈:そう。「やっちまったなー❗️」って言ったんです。
〇〇:クー〇ポ〇じゃん笑
麗奈:そうなんですよ、お母さんが真剣にその時は怒ってたんですけど、私がそう言ったらお母さん、なんか呆れて笑ってて。
〇〇:良かったね、炎上しなくて。
麗奈:私はエンジョイしてました。
〇〇:あはは、うまいね麗奈ちゃん!笑
?:へ〜、あんたみたいな人に友だち出来るんだ。
急に俺たちに声をかけられ、振り返ると女子の集まりがいた。
〇〇:へ、誰?
麗奈:⁉️
その時、麗奈ちゃんが凄く怯えた表情をしていた。
?:その女の昔馴染み?みたいな感じよ。
〇〇:麗奈ちゃんと、知り合い?
?:そっ、その友だちとの予定をブッチする最低な女の。
〇〇:え?(何、何の話?)
?:自分で話したら、麗奈?
麗奈:そ、それは…
?:何焦らしてんだよ?さっさと話せっての!
怒号が飛んできた。
けど俺は麗奈ちゃんを庇うようにして言い返した。
〇〇:ちょっ、よく分かんないけどそんな寄ってたかって大勢で1人を責めるのは良くないと思うな。
?:何?庇う気?その女を。
〇〇:ああ、友だちだからな。
?:バカな男ね、その女なんか相手にしなきゃ良いのに。
?:私らとの約束守んなかった、その女の。
〇〇:てか、約束ってなんだよ?
?:知りたい?
〇〇:ああ、知りたい。
ボゴッ
〇〇:⁉️
いきなり腹を蹴飛ばされた俺は、地面に転がされた。
〇〇:ぶほぉ⁉️
麗奈:やめて‼️
?:うっせーな、麗奈。アンタのせいでしょうが。
?:アンタがあの日、アタシらに金渡さないからいけないんでしょ?
麗奈:だって、あれは…お母さんにプレゼント買う為に…
?:言い訳すんなよ‼️
麗奈:キャっ⁉️
バシッ
?:⁉️
〇〇:やめろよ?
女子の集まりの1人が麗奈ちゃんに向かって殴ろうと繰り出したパンチを片手で受け止めた。
?:な、離せ‼️
〇〇:麗奈ちゃんを殴らないならね。
?:離さないと、アンタを痴漢って警察に叫んでやるから!
〇〇:やれば?
?:は?
〇〇:その代わりに、君たちが麗奈ちゃんに恐喝したことも俺が伝える、警察に。
?:⁉️
〇〇:おら、どーした?さっさと警察呼べよ?
?:…ちっ。
女子が舌打ちをして手を下ろし、小田倉さんを脅していた女子たちが去っていった。
〇〇:ふ〜、陰湿な奴らだな。全く。
小田倉さんを恐らく虐めていたであろう女子たちを罵倒していると、
麗奈:ご、ごめんなさい…〇〇さん。
小田倉さんが泣いていたので、慌ててしまった。
〇〇:え、あぁ…だ、大丈夫だよ‼️
麗奈:私が臆病だから…うぅ…
泣きながら鼻水をすすっていた。
麗奈:向こうが悪いのは…
麗奈:分かっていたけど…
麗奈:怖くて仕方なかったんです…
麗奈:うぅ…うぅ…
すっ
麗奈:え?
何も言わず、俺は麗奈ちゃんを抱きしめた。
〇〇:臆病なんかじゃ、ないよ。
〇〇:ずっと1人で耐えていたんだね。
〇〇:凄いよ、麗奈ちゃんは…
麗奈:うぅ…〇〇さん。
もっと麗奈ちゃんが泣いちゃった。
その責任を感じて、俺は服がびしょびしょになっても良いと思いながら、麗奈ちゃんを抱きしめていた。
時々麗奈ちゃんの頭を撫でながら…
麗奈:でもごめんなさい、〇〇さんがこれから巻き込まれちゃ…
〇〇:巻き込んで良いよ。
麗奈:え?
〇〇:巻き込んで良いって、麗奈ちゃんの為なら。
〇〇:アイツらがなんかまた言ってきたら、俺がけちょんけちょんにしてやるし。
麗奈:〇〇さん…
〇〇:あ、ぶったりはしないから、ね?
麗奈:ぐすん…分かってますよ。笑
涙を見せながら、麗奈ちゃんが笑ってくれた。
麗奈:ありがとう、〇〇さん。
〇〇:うん。
そして、課外授業の日がやって来た。
勿論、俺と麗奈ちゃんはその珍しい動物を見つけることに成功した。
〇〇:いたあああ‼️(小声で)
麗奈:居ましたね‼️
〇〇:やっぱり凄いよ、麗奈ちゃんは。
麗奈:いえいえ。でも良かったです、これでお願いが叶います。
〇〇:お願い?
麗奈:そうです。昔からの言い伝えで、この動物を見つけた人は一つ願いが叶えられるとされていたんです。
〇〇:なるほど…で、どんなお願いするの?
麗奈:それは…
麗奈ちゃんが顔を赤くしていた。
麗奈:秘密です!笑
〇〇:え〜、教えてよ笑
麗奈:じゃあ、〇〇さんだったら何お願いします?
〇〇:え?俺?俺か…
となんか誤魔化していたけど、本当は直ぐに決まっていた。
〇〇:じゃ、じゃあ〜さ。あの、聞いてくれる?
麗奈:はい、もちろん!
〇〇:笑わないでね?
麗奈:はい!
そっと、麗奈ちゃんの耳元で囁いた。
〇〇:麗奈ちゃんとこれからもずっと一緒にいられますようにって。
麗奈:えっ…
〇〇:俺、麗奈ちゃんのこと、好きだ。
麗奈:〇〇さん、ズルいです…
〇〇:えっ?
麗奈:私が先に言いたかったです。
〇〇:麗奈、ちゃん?
麗奈:私も、〇〇さんが好きです。
fin.