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部活に遅刻して食らった罰がご褒美タイムになって、そして…


夏休み

蝉の鳴き声がうるさく、けど朝は風が吹くと爽やかな気持ちになれる。

今日は部活があったので、自転車を漕いで学校を目指していた。



途中で交差点の所で信号が赤になり停止していると、

〇〇:!

後ろから背中を叩かれた。

期待を胸に振り返るが…

雄介:うっす、おはよう!

〇〇:あっ…

そこにいたのは同級生の雄介で、申し訳ないが声に気持ちが漏れてしまった。



雄介:なんだよ、元気なさそうだな?

〇〇:そうか?

雄介:あっ、分かった!振り返ったら後輩の冨里さんかと思ったら、俺だったからガッカリしたんだろ?笑

〇〇:はぁ?

雄介:はいはい、図星ですね〜

肩を組まれ、ダル絡みをされた。


〇〇:やめろって、違うからな??

雄介:ほらほら〜、んなムキにならないの〇〇く〜ん。

〇〇:ちょっ、おま…近い。

雄介:ん?

〇〇:顔近い!

雄介:で、前から思っていたんだけど冨里さんのどこが好きなの?

〇〇:だから、別にそんなんじゃ…

雄介:ね、ね?

長年付き合ってきた仲だから、こいつの性分はよく知っているつもりだ。

多分、このままだとこのダル絡みは終わらせてくれない…


〇〇:ああっ!わーったよ!言うよ、言えば良いんだろ!?

雄介:お〜

漸く雄介は俺を解放し、拍手し始めた。

〇〇:拍手すんなバカ。

ぼごっ

雄介:いてっ!


〜数十分後〜


雄介:へ〜、良いじゃん良いじゃん。

雄介:確かに冨里さんって、いっつも元気だし、声も可愛いし、気遣い屋さんだし、それにあのちょっとゆるふわな感じ、なんかマシュマロみたいだよね〜〜

〇〇:おいおい、最後の方お前の個人的な解釈入っているからな??

〇〇:って、ん?

腕時計にふと目をやった瞬間・・・

雄介:ん?





〇〇・雄介:やべぇ!!!遅刻だああああああ!!




当然部活に遅刻した俺は顧問に説教された。

雄介は俺とは違う部活だったが、向こうも同じ状況だろう。

そして、顧問から言い渡されたのは…



〇〇:はぁ!?プール掃除を一人でやる!!?

顧問:そうだ、今日遅刻した罰としてな。

〇〇:1人でプール掃除とか地獄過ぎませんか?

顧問:仕方ないだろ?遅れるお前が悪い。

〇〇:ええ…

顧問:あっ、水分はちゃんと取れよ?猛暑日だからな。


そして部活が終わり他の部員が帰っていくなか、本当に一人でプール清掃をする羽目に…


〇〇:くっそ〜…遅刻でなんでこんな目に…

ホースで水をプールの床に撒いて、そこをブラシで磨いていく。

雄介:お〜い。

声をかけられて顔を上げると、プールのフェンス越しに雄介が立っていた。

〇〇:雄介、お前。

雄介:何してんの?

〇〇:何って、部活遅刻した罰としてプール掃除させられてるの!

雄介:へ〜、ドンマイだな。

〇〇:ってかお前何もなかったのか?

雄介:へ?別に何も?こっちは顧問も遅刻してたから咎め無しだったわ笑

〇〇:はぁ!!?

〇〇:ズルだろ…

雄介:じゃ、俺帰るわ。がんば〜〜

そう言って、雄介はそのまま帰っていった。


〇〇:くっそ、あの野郎…

〇〇:元はといえばアイツがダル絡みしなきゃ…

怒りを込めてブラシを床に擦りつけた。




〜数十分後〜


〇〇:だぁー、無理!

〇〇:休憩!

ブラシを投げ捨てて、水筒に入ったお茶を飲もうとした。

〇〇:あっ…

雫が一滴口に入っただけだった。

〇〇:はぁ…自販機で買うか。

面倒臭い気持ちがあったがそれを上回るくらい暑さがエグかったので、プールから出て校舎の中にある自販機を目指すことにした。



校舎の中に入ると、

?:あっ。

〇〇:あっ。

1つ学年が下の、後輩の奈央ちゃんがいた。



奈央:お疲れ様です、〇〇先輩。

〇〇:お、お疲れ様、奈央ちゃん。

奈央:今日も部活だったんですね?

〇〇:ん、ま、まぁ…

奈央:顔、赤いですね。大丈夫ですか?

〇〇:ああ、さっきまで一人でプール清掃していたから喉乾いちゃって笑

奈央:じゃ、一緒に食堂前の自販機行きます?

〇〇:う、うん。

そんなこんなで、二人で自販機の所に向かった。

平静を装っていたが、内心では爆喜びしていた。



奈央:先輩、何飲みます?

〇〇:ん〜、カルピスにしようかな〜

奈央:了解です。

〇〇:え?


チャリンッ

ピッ

ゴトンッ


奈央:はい、どうぞ。

〇〇:え、俺に?

奈央:もちろんですよ。

そのままカルピスを手渡された。

〇〇:ありがとう。

奈央:いえいえ。

〇〇:じゃ、奈央ちゃんは何にする?

奈央:え、そうですね〜。私もカルピスに…


チャリンッ

ピッ

ゴトンッ


奈央:え?

〇〇:はい、どうぞ。

奈央:ふふ、なんかおかしいですね。

〇〇:え?

奈央:お互い自分で買わずに相手に買ってもらって…笑

〇〇:た、確かに…

奈央:ま、良いか。ありがとうございます。

カルピスを奈央ちゃんに渡して、近くのベンチに二人で座ってカルピスを飲んだ。


〇〇:ぷは〜、生き返るー!

奈央:ふ〜、おいしい〜。

〇〇:あ〜、ここにずっといたいわ〜

奈央:ん?さっき言ってたプール清掃のことですか?

〇〇:うん、戻って早く終わらせないと。出ないと顧問にまた色々言われそうだし。

奈央:じゃ、私も手伝いますよ。

〇〇:いや、悪いよ。そこまでしてもらうなんて。

奈央:良いですって、いつも勉強見てもらっていたりするん
ですし。

サッ

〇〇:え?

奈央:早く終わらせに行きましょ?

急に手を掴まれ、そのまま引っ張られた。

心臓がドキドキしていた…





プールに戻ってくると、蒸し暑さが復活していた。

〇〇:かぁ〜、暑っ!


シャーッ


〇〇:⁉️

突然、ホースの水が飛んできた。

奈央:こうすれば涼しくなりますよ♪

〇〇:なっ…

〇〇:やったなぁ!笑

仕返しに、別のホースから水を発射した。

奈央:きゃー、やめてくださいよ〜笑

〇〇:先にやったのそっちだろ⁉️

プールの上で水を掛け合って、叫び合った。



先生:おいうるさいぞー、お前ら!

プールの側を通りかかった先生に見つかり注意された。

〇〇:すいませーん。

先生:あんまふざけるんじゃないぞ?

先生:プールの上でふざけて頭打ったりしたら大変だからな?

奈央:は〜い。

と軽く注意されて、そのまま先生はいなくなった。


〇〇:はー、けど涼しくなったな。

奈央:ですね、水遊びしたおかげで笑

〇〇:しーっ。それは言わない約束で。

奈央:あっ。笑

〇〇:じゃ、掃除の続きするか。

奈央:ふふ、ですね。


そしてプール清掃を再開した。

と言いながらも…



奈央:待てー!

シャーッ

〇〇:ば、バカやめろ!笑

奈央:あははっ、先輩顔凄いですよ〜笑


勿論ふざけながら…


そして…


〇〇:っし、終わったあ!

漸くプール清掃が終わった。

奈央:は〜、楽しかったですね〜

〇〇:奈央ちゃんのおかげだよ。

〇〇:ありがとう、手伝ってくれて。

奈央:いえいえ。

奈央:あ、でも濡らされたのは許しませんからねー

〇〇:な、それはお互いさまでしょ?

奈央:いいや、先輩の方が濡れてません。

〇〇:なんだよ、それ。

奈央:奈央、おこです。

頬を膨らませて拗ねた顔が、まぁ…なんと可愛いことか。


〇〇:ははは、ごめんって。

奈央:む…

奈央:じゃー、一つお願い聞いてくれますか?

〇〇:良いよ、何?

なんとなくアイス奢って欲しいとか、

そんなことだろうと思って聞いた。




奈央:奈央と、付き合ってください。

〇〇:⁉️


目を真っ直ぐ見つめられた。

奈央:本気、ですよ?

〇〇:奈央、ちゃん…

蝉の鳴き声が急に静かになった気がした。



奈央:〇〇先輩…

奈央:!

〇〇:俺で良ければ。

無意識に抱きついていた。

肩の上で、小さく頷かれた。


離れると、満面の笑みが見えた。

奈央:嬉しい。

奈央:大好きです、〇〇先輩!

〇〇:お、俺も…

奈央:顔、赤いですね。

〇〇:あっ…

奈央:ごめんなさい、喋るの遮って笑

〇〇:う、うん笑

〇〇:俺も、大好きだよ。

〇〇:ずっと前から奈央ちゃんのことが…

彼女の手を握った。

奈央:ふふ。



太陽よりも眩しい笑顔がまた現れた。


fin.

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