夢で元カノと再会したら、現実でも再会した話
会社のビルを出て駅まで歩くこの時間、
今日もひたすら溜め息が漏れていた。
〇〇:はぁ…
〇〇:あのクソ上司…
会社からそこまで離れていない距離だから、こんな愚痴が聞かれるかもしれない。
けどそんなこと考えている余裕なんてなかった。
〇〇:昨日言ってたことと違うだろうが…
〇〇:しかも、向こうのミスなのに八つ当たりしてきてよ…
〇〇:あぁ!
この道で、こうして独り言を言っておくのには
理由がある。
(電車の通過する音)
〇〇:はぁ…
駅のホームに立ち、快速の電車が通過していく際に発生する風が顔に当たる。
〇〇:!
〇〇:…
暇つぶしにスマホを起動してSNSを開く。
「華金なんで、爆買いしました〜」
「担任ウザイんで、来週から学校休むわ」
「〜〜ってグループのこの子、可愛い」
〇〇:くだらね…
そう言いながら、SNSサーフィンしてる自分が1番くだらないのはよく分かっているつもりだが…
アナウンス:乃〇〇駅〜ご乗車ありがとうございます。
漸く電車が来て乗ると、偶々席が一つ空いていた。
座りに行こうとした瞬間、
ドスッ
別の乗り口から乗ってきた会社員に肩をぶつけられ、
?:チッ
舌打ちされて席を取られた。
〇〇:(ぶつかってきたくせに、何舌打ちしてんだよ⁉️クソジジイがッ❗️)
腹の中で罵りながら、結局吊り革に掴まって目を瞑り立つことになってしまった。
〇〇:っしゃああ!やっと帰れたぁああ‼️
バサッ
ストレスが溜まり過ぎて爆発しそうだったから、
家の近くのコンビニで爆買いしたご馳走たちが
入ったレジ袋を食卓に乱暴に置いた。
カップ麺、海老マヨ、フライドチキン、
ポテ〇〇ップス、コーラ。
身体に悪そうなものばかりが詰められていた。
〇〇:さて、風呂に…
疲れた身体を癒そうと風呂場に向かおうとした瞬間、足を滑らせた。
ドンッ
カタッ
〇〇:痛ッてぇええなぁああ‼️
タンスに頭をぶつけたせいで、今日の上司と電車の席を奪った男への苛立ちが再発して怒鳴った。
〇〇:!
けど視線の先に、棚から落ちた写真立てに飾られた写真が見えた瞬間、
時が急に遅く感じた。
〇〇:…
手を伸ばして、写真立てを拾った。
写っていたのは、ピースしている俺と蓮加だった。
〇〇:蓮加…
写真に写っている、屈託のない笑みをしている蓮加を見た瞬間、涙が止まらなくなった。
それを引き金に、色んな蓮加との思い出が頭に次々と蘇ってきた。
蓮加:〇〇ー、これやろうよ〜
〇〇:良いぜ。
ゲーセンに行って、ゾンビのシューティングゲームを2人でしていた。
昔からお互い、FPSのゲームが好きだった。
蓮加:いけいけ、〇〇ー!
ゲームの最終ステージまで行き、蓮加の操作していたキャラが残機が無くなって復活出来なくなったので、残るは俺の操作していたキャラのみだった。
〇〇:っ、おらおらおらぁ!
体力が僅かしか残っていなかったが、ボスの攻撃をタイミングよく銃で打って防いでなんとか戦っていた。
そして…
〇〇・蓮加:っしゃぁあああ❗️❗️
ラスボスを倒し切り、ゲームクリアした。
蓮加:ナイス過ぎる〇〇!
〇〇:いや、マジで良かった…クリア出来て。
〇〇:もう、蓮加が先にやられちゃうから〜
蓮加:うっさい、こっちは雑魚敵処理で頑張り過ぎたの!
蓮加:そうじゃなかったら、〇〇なんかより余裕だったし。
〇〇:さぁ〜、どうかなー?
コツンッ
〇〇:痛ッ
蓮加に小さい拳骨を喰らわされた。
蓮加:ふんっ
〇〇:わーったよ、蓮加さまさまでした。
蓮加:許さん、もう一回…
(お腹の鳴る音)
蓮加:!?
〇〇:ぶふっ
蓮加:な、笑うな!
〇〇:わりぃー笑。昼飯食べるか。
蓮加:う、うん…
ゲーセンを出て、近くのフードコートでご飯を食べ、それからまた別のゲーセンに2人で乗り込みなんて日もあれば…
蓮加:見てー、〇〇。
〇〇:ん、何々?
〇〇:!
蓮加:どう?似合うかなって思って着たんだけど…
〇〇:に、似合ってるよ!
〇〇:めちゃくちゃ…
蓮加:えへへ、嬉しい!
蓮加:これ、すっごく可愛いと思ったんだ〜
〇〇:う、うん…
蓮加:ぶふっ。
〇〇:な、なんで笑った?
蓮加:いや…鏡見てみなよ?
〇〇:へ?
〇〇:んぐっ⁉️
蓮加:お風呂入り過ぎて、のぼせたみたいな顔してるし笑笑
蓮加の新しいコーデを見て、可愛いさのあまりドキッとして顔真っ赤になり、馬鹿笑いされたり…
(鐘を鳴らす音)
蓮加:鳴ったー
蓮加:綺麗に鳴ったよ!
〇〇:よし、お願いするか。
蓮加:うん。
〇〇:(蓮加とこれからもずっと一緒にいられますように…)
蓮加:なんてお願いしたの?
〇〇:教えなーい。
蓮加:なんでよ?
〇〇:蓮加から先に言ってくれたら教えるわ。
蓮加:言わなーい。
〇〇:じゃ俺も言わなーい。
コツンッ
蓮加:言え、そこは。
カップルで鐘を鳴らして両手を握って願いを込めて祈るとそのカップルは結ばれるという場所に行って、祈ったり…
一緒に過ごした日々はどれも楽しくて、愛おしくて、幸せだった。
蓮加とは2年前に別れた。
地元の会社に就職することが決まった俺に対し、蓮加はアイドルになるという夢を叶える為に上京することにしたから。
蓮加:ごめんね、ずっと黙ってて。
〇〇:なんで謝るんだよ?
蓮加:え?
〇〇:蓮加がそうしたいなら、俺は応援するに決まってんじゃん!
〇〇:頑張れよ。
蓮加:うぅ…ありがと。
蓮加:いつか必ず有名になって、武道館とか出るようになるから!
蓮加:そしたら、〇〇招待するね。
〇〇:ふふ、ありがと。
蓮加:それまで、ちゃんと元気でいてよ?
〇〇:おう、勿論だ。
蓮加:カップ麺ばっかとかになっちゃダメだからね?
〇〇:な、心配しすぎだろ?笑
蓮加:だって、前はそうだったじゃん。
〇〇:今は違うから笑
〇〇:ちゃんと自炊しているし。
駅のホームで新幹線の窓から見える席に座った
蓮加に手を振り、向こうも手を振って、
それから見送った。
寂しい気持ちは勿論あった。
でも、それよりこれからの蓮加の活躍に期待している気持ちが強かった。
次に蓮加と会った時に少しは大人になれた自分を見せられるようにと、それから社会人として生きてきた筈だった。
会社に入ったばかりの頃から今の上司のもとで働いていたが、当時は社会人一年目だから仕方ないという気持ちと、時々SNSで蓮加が所属しているグループの投稿を見たりして蓮加が歌っていたり踊っていたりする姿を見れていたから、乗りきれていたかもしれない。
〇〇:(ま、上司は気に食わないけど…いつか蓮加がアイドルとして有名になったら、武道館で蓮加のパフォーマンス見られるし。)
元々歌うのが好きだった蓮加が、アイドルとして頑張っている姿が見れるだけで支えになっていた。
けどいつからか会社が忙しくなり、それと同時にSNSで蓮加の活躍を見ることが出来なくなっていった…
〇〇:俺、何やってんだろう…
正社員になって嫌いな上司のもとで働かされ、ただ会社行って、帰って飯食って寝るだけ。
やりたいこともせず、いやそもそもやりたいことが何なのか考えられずに、ただ人に言われるがままの生活をする自分。
それに対し、蓮加は真剣に人生のこと考えて自分の夢を叶えるために上京して、トップアイドルを目指している。
〇〇:偉いよな、蓮加は…
SNSを開く気にはなれなかった。
今の自分が蓮加の所属するグループの投稿を見たら、自分の惨めさを感じてしまうと思ったから…
でも…
〇〇:自炊、するか…
別れ際の何気ない蓮加との約束を思い出してからコンビニの袋に入ったジャンクフードたちを見た瞬間、罪悪感に包まれた。
夜9時半。
ギリギリスーパーが開いている時間だ。
人参、ジャガイモ、葱。
それだけ買ってきて家に帰り、買ってきた野菜を切り始めた。
〇〇:いただき…ます
1人の食卓で、小さい声で言った。
白米
人参とジャガイモと葱の入った味噌汁
〇〇:これくらい、許してくれ…
手作りではないが、コンビニで買ったフライドチキン
3品を1人、黙々と食べ始めた。
白米を口にして味噌汁を飲むたびに。
涙が出てきた。
意味なんかないんだろうけど、でもこうしていたかった。
食べ終わり、食器を片付けてシャワーを浴びに行った。
〇〇:寝よ…
華金とは程遠い、質素な夜。
〇〇:…
〇〇:蓮加に、会いたい…
独り言を呟いて、眠りに就いた。
蓮加:〇〇ー!
気がつくと、どこかの楽屋前に立っていた。
〇〇:蓮加。
蓮加:来てくれてありがとう!
夢か…
夢の中か、これ…
〇〇:う、うん。
けど何故か、記憶にない筈の光景が浮かんだ。
ステージの上で、可愛らしい衣装を纏った蓮加が
歌って踊っている姿とかが。
〇〇:良かったよ、蓮加のパフォーマンス。
蓮加:嬉しい!
蓮加:〇〇にそう言ってもらえるよう、蓮加ずっと頑張ってきたんだ。
〇〇:うん。
蓮加:ねぇ〇〇、聞いてくれる?
〇〇:何?
蓮加:蓮加がもしグループ卒業したらさ…
その瞬間、視界がぼやけていき蓮加の声が聞こえなくなっていった。
〇〇:っはぁ!?
〇〇:・・・
目が覚めると、部屋の窓から朝日が差し込んでいた。
もう少しくらい蓮加と話させてくれ、と夢から覚めたことにモヤモヤしながら二度寝してもどうせ見れないだろうという諦めから、起きることにした。
〇〇:はぁ〜…
また溜め息をついて起きあがろうとした時、左脚に誰かの体に触れる感覚がした。
〇〇:え?
恐る恐る左に顔を向けると…
信じられない光景があった。
〇〇:!?
そこには、まるで当たり前のように…
部屋着を着た蓮加がベッドの隣で眠っていたのだ。
〇〇:ゆ、夢か?これも…
そう思って頬をつねった。
けど、しっかり痛みを感じた。
〇〇:嘘だろ…
神様のいたずら。
そんな言葉で形容したいくらい、今起きていることが信じられなかった。
蓮加:ん…
寝返りを打ってきた蓮加の顔が、俺の腕にぶつかった。
〇〇:あっ。
蓮加:ん、〇〇…
蓮加:おはよ〜
〇〇:おはよ〜って…蓮加、お前なんでここに…?
蓮加:ん、あぁ…ごめんね。勝手に隣で寝てて。
蓮加も起き上がって、二人でベッドの上で向き合っていた。
〇〇:い、いや…それは良いけど。
〇〇:いつこっちに帰ってきてたの?
蓮加:昨日。
〇〇:昨日!?
蓮加:うん、夜中の11時ごろ。それでさ、終電なくなっちゃって実家に帰れなくなったから〇〇の家に来たの。
蓮加:合鍵持ってたし。
〇〇:そ、そうか。
蓮加:ごめん、何も連絡入れずに勝手に家に上がっちゃって…
ぎゅっ
蓮加:!?
〇〇:ご、ごめん…急に…
蓮加:〇…〇?
〇〇:俺、今のままじゃ蓮加に会えないなってずっと後ろめたかった…けど、それでも蓮加にまた会いたいって思った。
〇〇:だから、今ここに蓮加がいるのが嬉しくて。
たまらず蓮加に抱きつき、涙がどんどん流れ出した。
蓮加:〇〇…
そっと、優しく、蓮加が俺の頭を撫でているのを感じた。
蓮加:ねぇ〇〇?少し、話聞いてくれる?
〇〇:あ、うん…
〇〇:ごめん、急に泣き出して…
頬についた涙を拭いて謝った。
蓮加:良いってば。
蓮加:嬉しいよ、〇〇がそんな風に思ってくれて。
食卓に移動して、向かい合わせになって椅子に座った。
蓮加の話によると、どうやら半年前から所属しているグループのプロデューサーと意見の食い違いで言い争うようになっていて、しまいにはグループのメンバーたちとも喧嘩になって孤立するようになったらしい。
グループに自分の居場所が無いと感じて、グループを脱退しこっちに帰ってきたということだった。
蓮加:みんな今のダンスで良いっていうけど、私はもっと激しいのとか踊りたかったの。それに甘々系じゃない、少しダークな感じの歌とかも歌いたかった。でも、グループの色にあってないってみんなに言われて…
蓮加:でも本当は、私が甘々系の歌を歌うのが苦手なだけだし、それに踊りをしたいのも、歌が上手くないのを誤魔化したいからだけなんだと思うの。
蓮加:はぁ…自分勝手だよね。
蓮加:ダメだな…こんなんじゃ。
〇〇:蓮加…
蓮加:ごめんね〇〇、あの時武道館に出て〇〇をライブに招待するとか約束したのに…
相当落ち込んでいたのか、と初めて知った。
〇〇:ううん、全然。
〇〇:蓮加は頑張ったよ、凄く!
蓮加:え?
〇〇:だってそうだろ?一生懸命ステージで歌って踊ってさ、観てたよ配信。
蓮加:や、やっぱりあれ〇〇だったの?
〇〇:え?
蓮加:いつもブログにコメント一番最初にくれる人。
〇〇:え、あ、あぁ…
急に恥ずかしくなって、顔を逸らした。
蓮加:えへへ、嬉しいな。そうだと良いなってずっと思ってたから。
〇〇:なんか俺、きついタイプのヲタクみたいになってなかった?そのコメント。
蓮加:うん!
〇〇:んぐっ!?やっぱり…
蓮加:でも、〇〇だって仕事大変かもしれないのにずっと蓮加のこと応援してくれてたんだなって思ったら、やっぱり嬉しいよ。
〇〇:蓮加、俺…
それから、蓮加に今の会社のことを話した。
蓮加:ひっど、その上司!!
蓮加:最低だよ、〇〇に責任丸投げなんてさ!!
〇〇:うん…でも、一番許せないのは自分だったんだ。
蓮加:え?
〇〇:俺、結局人に言われて生きてきたからこうなったんだなって、やっと気づいた。
〇〇:嫌な上司って言ってるけど、その上司のいる会社に入ったのは俺の選択だし。適当に決めて入った俺の…
〇〇:けど転職できるか不安で、でも努力しようとしなくて…それでいつまでも嫌な上司のもとで働いて…
〇〇:本当は蓮加みたいに、ちゃんと自分で考えて人生生きなきゃいけないんだなってやっと気づいたけど…
蓮加:そうか、そうだったんだ…
〇〇:なんか、情けないよな俺。
蓮加:ううん、ちょっと安心した。
〇〇:え?
意外な返答に、拍子抜けになった。
蓮加:蓮加はね、〇〇が会社で仕事頑張って順調なのに、なんでこんなに自分ってダメなんだろうって思ってたから。
蓮加:だからね、〇〇がこう悩んでいるんだって知れてちょっと安心しちゃった。
〇〇:蓮加…
蓮加:ごめんね、〇〇がすごく深刻に悩んでいることなのにこんなこと言っちゃって。
〇〇:ううん、俺もだよ。
蓮加:え?
〇〇:蓮加が順調にアイドルとしてやっているんだろうなって思っていたら、蓮加も本当は悩んでたんだって知れたし。
蓮加:おんなじ、だね笑
〇〇:だな笑
それから、久しぶりに朝ご飯を二人で食べた。
ここ最近までずっと一人だったから、こうして蓮加と一緒に慣れるのが久しぶりで嬉しかった。
蓮加:〇〇、蓮加ね思ったの。
〇〇:何?
蓮加:これから、一緒に実況者やらない?
〇〇:え?
蓮加:ゲーム実況。ほら、昔から〇〇と蓮加ゲーム好きだしさ。
確かに面白いかもと思った。
実際昔はよくゲーム実況も見ていたし、いつかしてみたいとは何度も思っていた。
〇〇:ゲーム実況、か…
蓮加:って、無理だよね笑…そんなこ…
〇〇:やろうよ!
蓮加:え?
〇〇:一緒にやろうよ、ゲーム実況。
蓮加:ほ、本当に良いの?
〇〇:うん。上手くいくかは分かんないけど…
〇〇:でもやらないで後悔するくらいなら、やるよ!
蓮加:〇〇…
蓮加:ふふ。
〇〇:なんで笑った?
蓮加:いやだって…
蓮加:久しぶりに、〇〇が目キラキラさせていたから。
〇〇:!
蓮加:頑張ろ、一緒に。
それから蓮加のバイト先が決まってから、初めは週1で動画をまとめて撮ってから、なるべく毎日実況動画を投稿するというスタンスでゲーム実況の活動を蓮加とスタートさせた。
活動を始めてから1ヶ月後、蓮加もバイトの方が慣れてきて平日に一人で動画を撮ったり、より編集の技術をあげたりしてくれたおかげで、チャンネルの登録者数も順調に伸びていった。
けど蓮加に負担が増えすぎるのを心配して、俺は会社を退職した。
貯蓄は幸い沢山あったので、生活には困らず実況活動をすることができた。
そして、3ヶ月後。
ついに登録者数が10万人になった。
10万人になった日、蓮加とお祝いに焼肉を食べに行った。
〇〇・蓮加:かんぱーい!!
ジョッキを片手に、二人で祝いのビールを堪能した。
〇〇:いやぁあ〜、やったな蓮加!
蓮加:本当、こんな早くに10万人いくなんて思わなかったよ。
〇〇:俺、蓮加のおかげで今すっごく楽しいよ。
蓮加:え?
〇〇:蓮加があの時、一緒に実況しようって誘ってくれたから。
〇〇:夢を追うって、こういうことなんだろうな…
蓮加:酔ってる?笑
〇〇:違うって、真面目に言ってるよ。
蓮加:ふふ、そっか。
〇〇:信じてないな、さては?
蓮加:さぁ〜、どうかな〜?笑
蓮加がジョッキに入ったビールを一口飲んだ。
蓮加:ぷは〜でも、〇〇が前よりカッコ良くなったな〜って思うな。
〇〇:ふ〜ん。
蓮加:ちょっと、もう少し喜んでくれても良くない??
〇〇:飲んでるから信じられないかな〜
蓮加:そっか、じゃあ今度動画で色々言っちゃおうかな〜
〇〇:ん?
蓮加:〇〇が昔ブログで書いていた内容とか…
〇〇:ぶほぉ!!!
〇〇:本気でそれやめろって!!!
蓮加:ぶふっ、焦りすぎでしょ?笑
それから、半年が経ち…
登録者は100万人を超えていた。
収入面では心配はなくなり、今では俺も蓮加もバイトせずに実況だけで生活できるようになっていた。
それからある日、蓮加を誘ってホテルのレストランに連れて行った。
蓮加:綺麗だね、ここの景色。
〇〇:でしょ?いつか蓮加と来たかったんだ。
蓮加:ふふ、ありがと。
それから、運ばれてきたコース料理を味わいながらレストランの雰囲気と、広い窓から見える夜景を堪能した。
蓮加:なんかお姫様になった気分…
うっとりした表情の蓮加に、自分も見惚れていた。
〇〇:蓮加?
蓮加:何?
〇〇:渡したいものがあるんだ。
そっと胸ポケットから白い箱を取り出して蓮加に渡した。
蓮加:これ?
〇〇:開けてみて。
蓮加:う、うん。
蓮加:!
〇〇:蓮加、俺と結婚してくれないかな?
そう伝えた瞬間、蓮加が涙を浮かべていた。
けど、口角は上がって微笑んでいた。
蓮加:ありがとう〇〇!
蓮加:蓮加、すっごく、すっごく嬉しいよ!!
〇〇:蓮加…
蓮加:蓮加を〇〇のお嫁さんにしてください。
〇〇:はい!
そして、数ヶ月後…
俺と蓮加は、結婚式を挙げた。
夢みたいな、でも本当に起きた話。
fin.
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