ProGrade DigitalのRefresh Pro 4.0とカードリーダーの利用―サニタイズ機能の使用事例―
はじめに
デジタルカメラの記憶媒体として現在もSDカードをはじめとして複数の記録メディアがあります。本稿ではその記憶メディアで発生したトラブルを自分自身で対処することが出来た、という一事例を筆者が最近経験した紹介します。
使用環境と不具合の状況と検証と所見
不具合の発生した環境
使用カメラ:OLYMPUS OM-D E-M5 Mark Ⅱ
使用カード:ProGrade Digital SDXC UHS-ⅡV60 GOLD 64GB
主な不具合の状況
上記カメラに上記カードを挿し、ハイレゾショットによる撮影をします。すると、露光後の処理段階においてカメラの背面液晶に表示されるゲージが3/4ほどまで進行した後にその状態から処理が進まず、1、2分後に「このカードは使用できません」という文言が表示されます。この後に電源を切り、カードを抜き挿しして再度電源を入れるとカードは再び使用出来るようになりますが、カードを抜き挿ししない場合は先程の文言が再び表示されます。
撮影データの記録状況
ハイレゾショットで記録されるORFファイルとハイレゾショットの1枚目の露光データであるORIファイルの内、後者のみが記録されます。
カードを抜き挿しした後の撮影ですが、通常の撮影に問題は発生しませんが、再度ハイレゾショットによる撮影をすると同じ現象が発生する場合があります。
補足としての検証
ハイレゾショットの処理が終わった直後に再度レリーズをすると、上記の不具合が出やすいように見受けられます。
手持ちの別のSDカードである東芝 FlashAir W-04 32GBでは上記不具合は発生しませんでした。
SDカードの接点の清掃を実施しましたが、状況の改善は見受けられませんでした。
PCによるSDカードのフルフォーマットとカメラによるフォーマットを実施た場合、一時的に改善することがありました。
所見
不具合箇所がカメラかカードかについては、別のカードで不具合が発生しないことから、カード側に問題があると思われました。但し、別のカードである東芝のカードはUHS-Ⅰであることから、完全にカード側に問題があるとは言い切れません。
また、ハイレゾショットの処理中に表示されるゲージが終盤で止まってしまうことから、カードへの書き込みの最中に何かしらの問題が発生していると思われました。更に、上記のハイレゾショットの失敗後に表示される文言を素直に受け取るならカード側に問題があるといえるでしょう。
しかしながら、ハイレゾショットによる撮影の失敗が発生するという本不具合はカードの抜き挿しやフォーマットで解消する場合があり、加えて通常の撮影では何ら不具合が発生することはないことから、不確実性があるという点で判断を難しくしています。
これ以上の検証は筆者の手元では困難であることから、この所見を基に対応をしていきました。
【蛇足】メンテナンスソフトウェアとカードリーダーの導入経緯に関する補足
同じ頃、筆者は次のような状況にありました。
当該SDカードの保証期間は既に過ぎています。
新しいカメラを導入したことから新しいSDカードを必要としていました。
カードリーダーについては書き込み、書き出し速度に大きな不満がありました。
以前から興味を持っていた、ProGrade Digitalのカードリーダーを使うことを条件にしている、同社のメンテナンスソフトフェアが今年無料になりました。
予てより記録メディアやカードリーダーをProGrade Digitalに統一しようという構想を加速させたいと考えていました。
ProGrade Digitalが製品の値下げやセールを実施するとのことでした。
以上の様な状況だったため、これを機にカードリーダーとメンテナンスソフトウェアの導入を決意しました。同時に、不具合のある当該カードをメンテナンスソフトウェアによって回復させることにしました。
メンテナンスソフトウェアとカードリーダーによる対処とその結果
本項で記す内容はProGrade DigitalのHPにあるサポートページのマニュアルを先に参照すれば大方理解できると思われます。
筆者はSDカードを記録メディアとするカメラしか持っていないため、カードリーダーはProGrade Digital 【SD/SD】 USB3.2Gen2 ダブルスロットカードリーダー (PG08)を導入しました。続いてメンテナンスソフトウェアですが、名をRefresh Pro 4.0といいます。先述のとおり今年から無料になりました。
Refresh Pro 4.0の機能は3つに大別されます。当該SDカードは2022年以前に導入したものですから、上記マニュアルの対応表のとおり、カードのファームウェアアップデートは出来ません。ヘルスとサニタイズは出来ます。当該SDカードをRefresh Pro 4.0がインストールされたPCとカードリーダーPG08を用いて、サニタイズを実行しました。その結果、当該SDカードと当該カメラの組み合わせでのハイレゾショットによる撮影での不具合は見事に解消されました。
サニタイズをするついでにヘルスで残り寿命を見たところ97.9%でした。まだまだ使えそうですね。
まとめ
本不具合は結果としてSDカード側に不具合があったといえます。所見を得るまでの検証は手間と時間がかかり、辿り着いた所見も不確かなものでしたが、予想は的中し無事に不具合を解消することが出来ました。今のところ再発の様子はありません。
おわりに
本不具合には随分と長いこと慢性的に悩まされており、ハイレゾショットの撮影の時だけSDカードを交換したり当該カードの抜き挿しをしたり等、運用で補っていました。ハイレゾショットによる撮影は1コマ当たりの撮影に時間が掛かります。そのためで本稿で取り上げた不具合が発生すると撮影の歩留まりや撮れ高に大きな影響を与えていました。しかし、この不具合から解放された今、ストレスフリーでハイレゾショットを楽しんでいこうと思います。