〈省〉意味によって音読みを使い分けている
音読みが複数ある
漢字の読み方には、音読みと訓読みの二種類があります。音読みも、呉音漢音唐音、さらに慣用音まであります。しかし、音読みは1つの漢字につき、1つでないこともあります。それが「省」という漢字の「セイ」と「ショウ」という音読みです。
音読みの種類
音読みの種類といえば、呉音漢音唐音です。これらの違いは、時代の違いです。音読みはそもそも、中国語の発音をもとにしているものです。中国語の発音の変化が、日本の漢字の音読みにも影響があります。「行」という漢字だと、「ギョウ」「コウ」「アン」という音読みがありますが、意味の違いは基本的にはありません。熟語によって使い分けることになります。それはどのような時代に、日本に入ってきたかによります。基本は漢音です。
「省」の場合
「反省」と「省略」で考えるとわかりやすいかと思います。それぞれの熟語で「省」という漢字をどのような意味で使っているのかを見てみましょう。
「反省」⇒かえりみる
「省略」⇒はぶく
「セイ」と読むのは「かえりみる」という意味で使う場合です。「ショウ」と読むのは「はぶく」という意味で使う場合です。
だから、「省エネ」のときは「ショウ」だし、「帰省」のときは「セイ」です。熟語の意味と一緒に覚えておくと、読み方の違いが理解できると思います。
他に、「遼寧省」「福建省」や、「財務省」「外務省」などの行政機関を表すことがありますが、この場合は「ショウ」です。
知らない熟語に遭遇したら
とはいえ、熟語を見ても、どんな意味かわからなかったら読み方もわかりません。
「三省堂」のときは「セイ」ですが、これは『論語』にあることばからとったものです。
「三省」とだけあっても、読み方はわかりません。例えば、遼寧省、吉林省、黒竜江省は「東北三省」とまとめることがあります。この場合は「ショウ」です。
ということで、どの意味で使うときにどの読み方なのか考えられると、正しく読めるようになります。意味から読み方がわかるし、読み方から意味がわかります。
とはいえ、迷ったらググりましょう。漢和辞典が最強。
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