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タイのセレブ病院での出産レポート

お久しぶりです。無事に出産を終えて、今8ヶ月になる息子を育てています。8ヶ月間温め続けた出産レポート!ただ温めただけで内容に満足しているわけではないのですが、今書かないともうお蔵入りしそうで、とにかく公開します。


バムルンラード国際病院

中東や、カンボジアやミャンマーなどの富裕層が遠路はるばる利用しにくる国際病院。スタッフは基本的に英語での対応が可能で、各国の通訳が常駐している。
病院のロビーはホテル並みの美しさ、病室もホテル並みの設備が整っている。

病院のロビー

気になる料金だが、普通分娩2泊3日で約14万バーツ(約59万円)、無痛分娩2泊3日と帝王切開3泊4日は約16万バーツ(約68万円)となり、2024年5月の時点でタイで1番出産費用が高い病院となっている。
タイの外国人御用達の高級病院はバムルンラード病院以外にもあるが、普通分娩で10万バーツ前後、帝王切開で13万バーツ前後が相場なのに対し、2〜3年前ほどからバムルングラード病院だけ大幅な値上げを行ったようだ。値上げしても客がつくという自信の現れとみられる。

分娩方法

無痛分娩を希望していたものの、紆余曲折があり出産方法は帝王切開になった。
ちなみに無痛分娩は事前予約不要で、麻酔科医が常駐しているので分娩中に希望すれば麻酔を入れてもらうことができる。
タイでは出産直後に家族写真を撮ることがほぼマストのようになっていて、タイのセレブの出産写真などを見ると帝王切開でもフルメイクの綺麗なお顔で写っているので不思議に思っていたが、どうやら化粧はほとんどの病院で許可されているよう。主治医からも、化粧オッケーだよと言われた。
前駆陣痛や破水にならず時間を持て余した私は、前日から最後の悪あがきで顔の産毛をシェービングしたり、パックしたりしてお肌のキメを整えてみたりなどした。笑
当日朝はしっかり下地とファンデーションを塗りたくり、マスカラをするか直前まで悩んで、結局病室でマスカラをした。手術室に入る直前にはリップを塗り直して、折角ならば日本だったらありえないことをやり尽くしてみた。

出生時間の指定

産まれるのに1番運気のよい日にちと時間を指定して、帝王切開をするという中華系の習慣がある。当初は自然な陣痛を待っての出産を希望していたので、そういった風習に従わないつもりでいたが、帝王切開が決まりそうになり、私の夫も中華系なので折角ならと、良い日付と時間を調べてもらっていた。
帝王切開に不安を感じている私を尻目に、良い運勢で産まれる我が子が楽しみで仕方がない夫!妊婦のか弱いメンタルがズタズタになった瞬間だった。

帝王切開手術の経過

一言で言うと、麻酔で痛みを全く感じないまま出産が終わった。痛くないというより、ぼーっと麻痺した感覚の中で全てが終わった。麻酔でぼんやりしている中、赤ちゃんの産声をかろうじて聞き、安心したのも束の間、再度麻酔で眠りに入ったら全てが終わっていた。
よく聞く、お腹を切られている感覚とか、押されている感覚、縫われている感覚などは微塵も感じないまま、再度麻酔を入れられて気づいたら回復室にいた。そして回復室では早速、赤ちゃんを連れられて初回授乳をした。まだ麻酔の影響でぼんやりしていたので、今となってはとりあえず乳首を咥えてくれて可愛いなあと思った記憶と、ナースが赤ちゃんを私の頬に近づけてキスをさせてくれたことだけ覚えている。終わったらまた気を失い、病室に連れられていた。

出産前は、自然に陣痛がきて、破水を経験して、無痛分娩をしてと、お産にまつわるいろんな経験をしてみたいと思っていたので、麻酔でぼーっとしたまま全てが終わったのはなんとなく味気ないような気がしたけれど、お腹を10cm以上切られている中で痛みを感じずに意識を保っていたこともなかなか経験することができないことだと思って、満足することにした。

入院のスケジュール

通常分娩(無痛も含む)は2泊3日、帝王切開は3泊4日が基本の入院パッケージとなっている。延泊も追加料金を払えば可能だ。
私の場合は計画帝王切開で、息子の誕生時間を午後12時すぎに指定していたこともあり、当日の朝8時にチェックイン、9時から手術の準備が始まった。

1日目
AM8 チェックイン
AM9−11 手術準備(着替え、消毒、浣腸、剃毛など)
PM0 息子誕生
PM2 回復室での第1回目の授乳
PM5  病室に戻って2回目の授乳
ここから翌朝にかけて3時間おきの授乳と母体の検温・血圧測定
*夜ご飯は重湯とジュースのみ

2日目
AM 引き続き3時間おきの授乳と母体の検温・血圧測定
新生児科の医師による回診
*朝ご飯はおかゆ、昼ごはんはおじや
PM2 産科の主治医の回診で傷口の確認、防水テープに変えてシャワーを浴びれるとのこと
PM4  産科ナースが来て点滴と導尿を外し、シャワーとトイレの介助
引き続き3時間おきの授乳と母体の検温・血圧測定
*夜ご飯でやっと普通の食事に

3日目
AM8  沐浴指導、授乳指導、乳腺外科ナースによる母乳育児コンサル、新生児科医師による回診
PM1  産科ドクターの回診。血圧などの数値が問題ないとのことで明日の退院の許可が下りる
PM4  産科ナースさんの介助のもとシャワーを浴びる
*夜間は退院前ということと、母乳の出が少なくて赤ちゃんの尿が少ないため粉ミルクを足すことになり、ナースに授乳をまかせて、まとまった時間寝ることに

4日目
AM8  沐浴実技、授乳指導、新生児科医師による回診。黄疸の数値に問題がないとのことで赤ちゃんも退院許可がおりる
AM9  退院の手続きや、新生児科ナースからの帰宅後のお世話についての指導や母体のケアについて教わる。
新生児科、産科ナースへの直通電話があり、いつでも相談の電話ができるとのこと!
PM 0 退院!駐車場の前まで赤ちゃんはコットで、私は車椅子でナースと守衛さんに送ってもらう。

スパルタ母乳指導!

バムルングラード病院では母乳育児を推奨しているとのことで、出産後即授乳指導が開始されて、3時間おきにナースが病室に赤ちゃんを連れてきてくれる。
ただ連れてきて終わりなだけではなく、生まれたての赤ちゃんはおっぱいを吸うこともまだ慣れていないので、姿勢を整えて、赤ちゃんが乳首を吸うところまでナースがサポートしてくれる。両胸で片方15分ずつ吸わせると指導され、もう片方の胸に変える時は再度ナースコールでナースを呼び、もう片方の胸を吸わせるところまでサポートをしてくれる。赤ちゃんが乳首をうまく吸い始めるまで20分くらいかかる時もあり、授乳するだけで1時間が消えていく。
横抱き、フットボール抱き、添い乳の3つの姿勢を習得できるようにサポートしてくれるし、毎回赤ちゃんが得意な姿勢は何かと一緒に模索してくれるのは有り難かった。赤ちゃんが授乳の途中で眠ってしまうので、抱っこして起こしてくれたりもしてくれた。帝王切開直後だとベッドから降りれないし、腕の力もなかなか入らないので、ナースのサポートは欠かせなかった。

最初は、3泊4日しかない入院期間中3時間おきの授乳はかなりスパルタだから夜間はミルクで預かってもらおうと思っていたが、ここまで熱心に教えてくれるのだから今のうちに習得して、退院後の母乳育児を軌道に乗せたいという思いも芽生えて、流れに身を任せて頑張ってみることにした。
スパルタ指導のお陰か、生後5日くらいから母乳も安定しはじめて、赤ちゃんも順調に吸ってくれたので結果良しだった。

ナース

ナースは新生児科と産科のナースにチームが分かれていて、それぞれ赤ちゃんと、母親を分担して診てくれた。
新生児科のナースは、上記で書いたとおり授乳指導の時に丁寧に姿勢をみてくれた。
産科のナースには、帝王切開直後にシャワーを浴びることができないのでベッドの上で綺麗に体を拭いてもらったり、導尿が外れてからのシャワーの介助をしてもらって、なんとボディーソープで体を洗うところから着替えまで全て丁寧にサポートをしてもらってとても有り難かった。持ち込んだ着圧ソックスも自分では履けず、ナースに毎回履かせてもらったり、搾乳機の貸し出しサービスや、自分が持ち込んだ搾乳機を洗って消毒してくれたりなど、至れり尽せりだった。

ナースは基本英語で話しかけてくれるが、私はタイ語ができるのでタイ語で答えると、英語よりも断然フレンドリーに優しくタイ語で対応してくれた。どうしてもネイティブではないので、彼らが発する英語が棒読みの定型文言になってしまっていて、機械と話しているような感じが否めない。英語しか話せなかったら、ナースの対応がもっと冷たく感じられるかもしれない。

お見舞い客対応

タイでは家族・親戚はもちろんのこと、親しい友人が入院中に駆けつけることが心がこもったあたたかい対応とされているそうで、夫の家族や友人の訪問を受けた。
これが唯一、入院期間中で大変な出来事だった。
最初は出産して気分も良く、想像していたよりも対応できるかな?と思ったけれど、だんだんと疲れが出てきて、後陣痛でお腹も痛くなるし、なぜタイ人はこの時期にお見舞いに行くのか、理解に苦しむばかりだった。

まとめ

タイの最高級病院での出産経験しかなく、他と比べることができないので一概に「タイでは」「帝王切開は」と主語を大きくして語ることはできないが、確実に言えることは、バムルングラード病院での帝王切開はとても快適だということ。
いろんな出産レポートを見て、何がバムルングラード病院の特徴なのかを考えてみたが、
「ナースをはじめとする病院スタッフの丁寧なサポート」
「ファシリティの豪華さ・清潔さ」
「母体の快適さを第一優先にすること」

の3点なのではと思う。
タイの私立病院は福祉というより、完全に富裕層向けのサービス業としての側面が強く、サービス利用者である患者がいかに快適に過ごすことができるのかに重きを置いている。そのため、痛みやしんどさはなるべく感じさせないように丁寧にケアしているのを感じた。帝王切開の麻酔がその筆頭のように感じた。

これからタイで出産される方へ

特にバムルングラード病院での出産が快適だったのは、スタッフやファシリティはもちろんのこと、日本人妊婦に人気のラシック医師が主治医だったことが大きかったと思う。男性のベテラン医師で、優秀な医者であることはもちろん、とても優しい人柄で、毎回の診察で質問の時間をたっぷりとってくれるので、安心して出産に臨むことができた。タイで出産に不安を感じている方がいたら、ラシック医師に会ってみることをお勧めします。



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