真 の 解 決 編
日付を見て貰えれば分かるが、これは解決編である9/25の翌日、俺がラーメン食っているときにかかってきた電話にコールバックしたことで聞き取ることが出来た「もう一つの真実」となる。
奇なりなのは物語でも真実でもなくて、毎度毎度、着信のタイミングが良すぎることが一番奇なりではないかと思うがそれは良い。
ここからが「真の解決編」となる。
最後までお付き合いいただければ幸いである。
そもそもこの事件の一番の問題は「誰も何も得しないのに半年以上かかっている」部分にあったと思う。そこに利害を見いだそうとするのがそもそもの間違いであっただろう。まず受け入れるべき「事実」は「本当に誰も得をしていない」である。
とは言え、みんな仕事でやっている。半年間も何の利も得ないまま続くものだろうか? なるべく早く片付けた方が、俺もバイク屋さんも保険屋さんもそれこそ「得」に決まっている。というか時間がかかるほど逆に損をするのは説明したと思うが、再度書く。
・保険屋さんは修理が終わらないと代車を貸し出しっぱなしになるので莫大なレンタル料金を負担するはめになる(半年間のレンタルという常軌を逸した期間である)
・バイク屋さんはどのみち「対物超過で貰える金額」には変化がない。仮に53万円としよう。一ヶ月で終わらせれば月の売り上げが53万だが、上半期いっぱいかかったら上半期の売り上げが53万円。月に10万円にもならない。
このように、現実として誰も何にも得をしていない。
それなのに半年が経過した。
事件を読み解くヒントはここにある。
この「俺の愚痴になるだけだから言わなかった」という、本当に何の利益もなくただただ節度と礼儀として(要するに言い訳をしたくなかった)バイク屋さんが肝心の部分を黙っていたが故に、このたびの事件は斯様に混迷を極めた。
ここからアジャスターの、半年間のご乱行がバイク屋さんの口から次々と紡ぎ出されていく。
これは今だから言えることだと前置きするが、唯一、この事件の中に手がかりがあったとするならば、この一件に関して「バイク屋さん」「保険屋さん」という相手、それぞれには聞き取り調査をしていたが、この一件全てに繋がり、関わり合いのある「アジャスター」には全くノータッチだったことがあると思う。
かなり厳しいが推理はギリギリ可能だったかもしれない。
完全にノーマークだったが、よく考えれば全員と繋がっているポジションの人間がアジャスターなのだから、そいつからの聞き取りがないね、という推理。アタマっから「こいつは関係ない」と思い込んでしまった部分もあるし、どのみち直接連絡はこちらから取れないのだから気にしてもどうしようもないのだが、選択肢にすら入らなかった。
ノーマークになった理由は下記も大きいと思う。
ここである。
全てに密接に関わっているのに捜査線上に浮かびもしなかった理由はもろもろ考えられるが、最大の理由はバイク屋さんも保険担当の窓口の人も名前がついている。アジャスターだけ名前がついておらず、完全に記号と化しており、なんなら透明化していたとさえ言える。
振り返ってみて欲しい。
電装屋さんに「ダイナモ」外注先の人に「アルプス」と命名したが故に、明確になった存在のことを。それは勿論便宜上、適当に着けただけなのだが、たったそれだけで捜査線上には浮かぶ。
「アジャスター」だけでは人間として認識すらされていない、そういう名前の装置としてしか作動していないとさえ思われる。というか思ってた。
実際、仮でもなんでもいいから個体名、何らかの名前がつくことで見えてくるものがあるというのは、想像以上のものがあった。
なぜなら、そうでないと迷惑がかかるから。
既にバイク屋さんだけでなく、本体の保険屋さんにまで多大な損失を与えている。挙げ句、動機らしい動機はほぼないが、あるとしたら「時間を守るのがめんどくさかった(毎回。半年間)」という、アジャスターという職業が持ってはならない動機でありそんなアジャスターがいるか! という話であり、そこがトリックだったというわけだな。
アジャスターの枯木(仮名)という概念が生まれたのは「俺たちが25日に思い切った行動をし、互いに理解を得られ、解決したように思われた」のまさに翌日に行われ、「昨日の今日だぞ!」という気持ちから、バイク屋さんが禁を破って俺に全部告白したからである。
俺は本当にこの半年間、何故、こうも物事が噛み合って事件が事件を呼び続けるのか不思議でならなかったし、何より、そんな偶然の一致で全部の筋が通る真犯人が名指しされるなど、当然、考えていなかった。
みんなが少しずつ失点したから俺に過大な失点が負わされた。
そうではない。
本当に、真犯人はいたのである。
それがアジャスターの枯木(仮名)
現実はどんなに広げても畳める、と俺は再三書いているが、この状態は「現実のくせにヒネり加えてきた挙げ句、畳んでみせた」状態であって、もはや神の仕業としか思えない。
言わなかったのはバイク屋さんの矜持ではあると思う。言っても作業が進行するわけではないし、俺に何とか出来るという話でもない以上は「ウチの作業が遅くて済みません」ということで留めておいた、それは分かる。
だが一度でも「枯木(仮名)」の名前が出ていたら、話は全く違ったものにさえ変化していたと思う。
ちなみにここから先も枯木(仮名)の、人を人とも思っていないような謎に高圧的な行為は続く。みんなが迷惑している。アジャスターの枯木(仮名)が得をしているわけでもなく、ただ単に仕事がいい加減な上に他人の気持ちに配慮することを知らぬ傍若無人な仕草の数々、自分を何様だと思っているのか、創世王かなんかか?
かくして漸く「実作業」が進行することとなる。
あほのアジャスター枯木(仮名)によってこの半年間、ほとんどの作業が進んでいなかったに等しい。死罪を要求する。
Googleの口コミレビューなどアテにはならないと再確認する。
実際、客商売などやっていたらそういう奴は混ざってくるし、そもそも普通の人はいちいちレビューなんか書かない。
バイク屋さんも、よっぽど自分に課した禁に耐えかねたのか、一度言ったら次から怒濤のように俺に色々言うようになった。最初からそうしてくれていればとも思うが、それは矜持の問題も絡み難しいところである。
実際、半年間、ずっとこうだったのかもしれない。
それらアジャスターの、全部の情報をバイク屋さんがせき止めてしまったが為に事件は発生した。発生したと思っていたのは全く違う事件だが、見当も付かなかった本当の事件はずっと続いていた。
斯様に「情報を一つ遮断する」だけで本質は覆い隠せるどころか違ったストーリーにすら誘導できるということを、これからも心しておきたい。
一つの区切りではある。
ようやく、スッキリしたというか、問題がなんなのかはっきりしたというだけでも十分に区切りの一つである。
どうでもいいが、このツイートの時点で一週間ほど経過している
このツイートの時点で10日ほど経過している
以上が真の解決編である。
前回で終わりにしても良かったのだが、試しにここのツイートを読み返してみたら鮮やかなオチになっていたのでこのように書き記すのがやはり筋であろう。この半年間、溜まりに溜まったフラストレーションを大解放するような「具体的なオチ」である。雰囲気でエンドはそれなりに余韻を残すが、分かりやすさもまたいいものである。
というかもう半年も訳わかんなくなってたんだから、最後ぐらいわかりやすくしろ。そのオーダーにも神は答えてくれたのである。なんなんだ、今年の俺は。どういうことだ?
アジャスターがノーマークだった、これは勿論、先入観に依るものが大きいが、そもそもその先入観も勝手なものであり、お約束の範疇に入り疑いようがない。疑ったところで確認も出来ないし、まさか「大幅に時間にルーズなやつ」など想定しようがない。
ロジックがあるのかと思ったらロジックもくそも持たないサイコキラーが犯人だったというだけであり、こんなものは考えれば考えるほど負けなのだが、やはり終わってから振り返ると、俺の迂闊さも少々いらだたしい。
全くのノーヒントでもなかったな、というのは、このnoteを纏めている最中もたまに思っていた。
「なんでそこに気づかなかったんだよ!」という思いは少々あるが(推理の範疇にも入れていなかったのはやはり悔しい)俺は名探偵ではないし神でもないので詮無きことである。
あとあんなもんを「ヒントはあったよ」と言われても、ヒントはヒントかもしれんがそれはそうとしてお前を許さん、という気持ちにはなると思う。筋が通っている分だけ無意味に悔しさが増す。
さて。
これで、この半年間の記録もようやく、終わりである。
アジャスターの枯木(仮名)が全てを振り回し続けた半年間の物語であり、やはり「黒のアジャスター」シリーズの一巻なのかも知れない。そんなもんに俺を出演させるのはこれを最後にしてほしいと神に願う。
ここまでお付き合いいただいた皆様にも、今回の稿は今までのどの事件よりも輝かしくドラマチックな印象を抱いていただけたらと思う。
この物語は事実である。
あなたにとっても事実であったなら、嬉しい。
2022/11/12現在。
俺のバイクは納車どころか仮組みの全体像すら確認出来ていない。
その話はまた、別の物語であり、そしてやはり真実である。
神はまだ俺で遊び足りないようなのだった。