俺のバイク:ロベルタ編(8)
まあ、なんちゅーか。
民事裁判起こすのって大変よ? めんどくさいし、証拠固めはしなきゃなんないし、こっちで。
これ刑事でも一緒だと思うんだよな。こっちの手間がないだけで、警察も「しっかりした証拠」を抑えないと動けないっちゅーか。証拠だーってなっても任意じゃない? 逮捕は裁判所から逮捕状出ないとダメなワケじゃない? 「警察なんか何もしてくれない、アテにならない!」って話がよくあるけど(あってはまずいのだが)そら犯人がいて被害者がいて、被害者もそういうだろうけど「犯人である」という証拠が見つからなかったらどうしようもねえんだよな、当たり前のことだけど。
まあ、そんな当たり前の話をなんでするかっちゅーとだな、人を刺し殺した人間がいて「動機はなんだ」って言われても「分からない」って答えてそのままフラフラなーんもしないで夜の街中に消えていって偶然にも何の物証も見つからなかった、としてだな。
その目撃者は警官なんだよ!
そんな感じ。
ビッグモーター案件なのだが、客も「まあいいよ、それであんたが儲かるんなら」みたいなとこがあって蔓延していた可能性もある。俺だってバイク直って保険金余ったから二万円あげると言われたら「直った上に二万円もくれるのか!?」ってなっちゃうもん。ただそんなにはバック発生しないよ。ほんとに数万円とか。店がゴリッと持っていったあとの、余り。
「くそポンコツを売りつけて責任を取らない」よりも「末永くおつき合いしていただけるよう努力する」方が結果として商売にはなる。なんで即日、クレーム扱いする。書類まで作って。
二年半かかってやって耳にしたこの言葉。
二年半もかかって900日目前となって出て来たこの言葉。
かかったのは一か月くらい。
30日と考えると30倍くらい仕事が早い
おれがこの二年間、どれだけ「このステッカーをみんなに見せたい」と思っていた事か。なんならこっちが主役で良かったわ。なんでこんなことになってんだよ!
簡易裁判所といえども、勿論、行くのは初めてで、何が何だかよく分からなかった。金属探知機も二回通された。空港より厳しい。当たり前だが。
ワンフロアに六部屋くらいあったんだけど、コロナ対策かなんかだと思うがやってる最中の部屋も扉が全開で、中が見れた。多分しょうもない民事しかやってなかったっぽくて、全部屋ほぼ誰も傍聴人なんかいなかった。でも円卓みたいなのに座ってる人たちは喧々諤々とやっていたよ。当たり前だよね。話し合いするよね、普通は!
遂に始まった民事訴訟。
民事訴訟など年単位がかかってもおかしくはない。そして普通は示談になる。どっちも疲れるので適当な金額で折り合いを付ける。それがまさか第一回口頭弁論からわずか一か月で判決って何なんだよ。どういうスピードだよ、みんなが飽きないように気を遣ったのか? 確かにあと一年とか過ぎたら面白さが失われていたと思うが、なんでノーガード戦法なんだよ。
ノーガード戦法っていうのは、戦法なの!
ノーガードで突っ込んでいって普通に殴り倒されてどうすんだよ!
試合放棄じゃねえかそんなの!
そんなワケで、恐らく最速と思える速度で裁判は終わりました。
ここから引き返しはもうききません。話し合いも示談交渉も何も出来ません。出来るのは「控訴」だけです。仮にそうなった場合、舞台は俺の憧れアラスカ帰りのチェーンソーこと東京地裁に移ります。
まーでも、今更やっても「控訴棄却」っていう四文字熟語が待ってるだけだと思うけど。だってあいつ何も争ってないのに急に判決出てからそんなことしたって裁判所が認めるわけないでしょ。認めるなら認めるで別にいいけど。東京地裁だし。面白いし。あと拡大訴訟で賠償金が増えるし。そもそもあいつに勝ち目なんかねえし。
さて、ここからの皆様へ提供出来るエンターテイメントは「判決確定まで何もせず強制執行が行われる」です。強制執行の当事者になるなんて人生でそうそうありゃあしませんぜ! 俺が一番ワクワクしているぜ。
果たして一体、どうなることやら。
俺のバイク:ロベルタ編(9)に続く