【S3】5.消えるじじいとフォルツァの行方(9/10~9/13)
10日分が漏れてた。そこから行く。
これは何度でも言うが、別に俺が優しいから何も言わないわけではなく、むしろ怒鳴ったりして急かすような真似をしてはならないし、約束に間に合わなくてもそれはそれで仕方ない。
バイクなんかは急かしてやらして何か不手際があったら俺が死ぬのだ。
これも大事なことなのだが、俺が譲っていただいた時点で既に乗りまくりやりまくりなバイクだった訳で、セッティングもくそもないというかとっくの昔に出ている。
今更、アルプスがしゃしゃり出るいわれはない。
アルプスが存在していて、それなりに精通していた場合。尚且つ、預けているバイク屋さんが勝手なことをしていた場合。これなんだよってなってアルプスが直した結果、単に元通りになるだけという最悪のシミュレーションがはじき出されている。勘弁してくれ。
「ダイナモやアルプスなんて本当はいないんだろう」という疑いが濃厚な中、特に注目されていなかった「岐阜のボーリングじじいブラザーズ」が突然、デリートされるという事態に及び、俺の精神は焼き切れそうになった。そんなことが許されるのか。
本当にどうでもいい。どうでもいい訳ではないが、排気量が分からないという問題の前ではかすむ。バイクで一番大切なもの、それは排気量と言っても過言ではない。バイクの名前に「CB1300」とか「RZ350」とか排気量の数字が付いてくることが大半なのは、排気量がどれほど大切かを示していると言えよう。
ところで、用事があってちょっと出かけようとフォルツァに乗ろうとしたら、全くエンジンがかからなくなった。何ですか、これは。また俺をもてあそぶんですか。勘弁してください。
ここで知り合いが、ますます俺を不安にさせる情報を突っ込んでくる。
背筋が凍るような情報だった。
借りますかというから借りたんだ。あとから請求するってなんだ。
そういうの「押し貸し」って言うんだぞ。ヤミ金とかがやるやつだぞ。
念のため調べると「代車の貸し出しは通常十日前後、長くても一ヶ月」という例しか出てこないので心臓がキリキリ音を立て始めてくる。
この件で相談したときの弁護士さんの反応は「確かに異常な長さですね」だったのでますます俺は怖くなった。
「現物を見ていない」の羅列であるが、俺だってこんなことになるとは思っていなかった。後の祭りである。
ここまで焦らされても「待っているだけ」で良かったものが、風雲急を告げ半年借りているフォルツァが俺を悩ませることとなった。いきなり120万とかそんな話突きつけられても困るじゃない? あとマジで「代車を半年借りた場合」なんて事例はどこにも出てこない。
当たり前だよ、代車なんか半年も借りないし、貸さないんだよ。
岐阜のボーリングじじいブラザーズは消滅し、フォルツァ絡みの巨額請求が鎌首をもたげ始め、十分おかしくなっていた俺はさらに情緒不安定に陥ることとなる。
この物語は事実である。
あなたにとっても事実であったなら、嬉しい。