新章Wara塾① ー学びは今後の 根っことなるー
きっかけは じぶんのからだの 暖かさ
2020年11月27〜30日の3日間、私は岡山県高梁市にある「WaRa倶楽無」へ新章わら塾の合宿へ行ってきた。実は今年の2月、WaRa倶楽無の船越康弘・かおり夫妻の重ね煮料理教室を地元で受講し、その時、自分たちの作った重ね煮の料理を昼に食べた後、夕方頃まで胃の辺りが温かいという、これまでに感じたことのなかった感覚に驚いたことが記憶に残っている。そして、丁度4月から「新章わら塾」が開講すると知り、私は受講することを決めたのだった。
新章わら塾は、月に一度、名古屋と大阪の会場で、直接受講が可能であったが、遠方の方の為にとオンライン受講もあり、私はオンラインを選択させてもらった。
20世紀最大である新型コロナウイルスによる未曾有のパンデミックに、世界中の誰しもが翻弄された状況下であった、2020年の春先だが、オンラインによる質問会やWara倶楽無(以後、Wara)の船越康弘氏(以後、船越さん)とゲストによる対談等に、同刻参加し話を聞いていたこともあってか、こころがざわつきがちだったこの時期、落ち着いて過ごすことができた。
Waraの船越さんと聞けば、「重ね煮」を思い浮かべる人も多いだろう。私もその中の1人で、数年前から、都度都度出会う人から「重ね煮」「Wara」のことを聞き、一度お料理教室を受けてみようと思ったのだから。
しかし、船越さんは言う。
「からだの◯臓には◯色の野菜がいい」などの情報の前に、人間にも人間魂があるように、人参にも人参魂がある。人参は、120日かけて太陽・空気・水・土・土の中にいる微生物により人参になる。形の良し悪し、栄養やカロリーの話の前に、まずは目の前の命に『感謝』することを忘れてはいないか。お天道様のお恵みに感謝することが先」と。
船越さんのよく言う言葉に、以下の6つがある。
「人生には想定外のことが起こる。
なぜなら想定外のことが私たちを進化させてくれる」
「全ての出来事は善き意図持った必然」
「石にかじりついても過去は否定しない」
「幸せとは未来を信じること」
「乗り越えられないことは起こらない」
「生きてるだけで100点満点」
新章わら塾では、全6回のお話の中で、食べることはもちろん、お金のかからない健康法、伝統医療法、人生イメージ通りに生きてきた秘訣などを聞くことができ、この3日間の合宿では、その全てを体感できた。なかなかのタイトスケジュールに、まるで俳優にでもなったような3日間だった。
(外のテラスから)
まず、この3日間がどんな感じだったのか、短めにお伝えする。
薪割りで 暖(だん)も体も 温まり
1日目、WaRa倶楽無に到着すると、次の日の昼食のため、イーストを使わずに、りんご・山芋・人参・玄米ごはん等を主とした天然酵母(パン種)づくりを行なった。きっと、皆の体温や想いが伝播したのだろう。その日の夜、ぷくぷくと膨らんだパン種を見て、目には見えぬが菌が生きていることを感じた。翌日焼かれたそのパンは、人参がほのかに香る、ふっくらもちもちとしたパンだった。
(黒い線が一番上だったが、数時間で膨れ上がった天然酵母)
その後、毎朝船越さんが祈りを唱えているという、WaRaの裏の祠を見に行った。水、米、塩、お神酒(発酵食)、榊の捧げ方を拝見した後、ゴザの上に寝転び目を瞑り、天と地・自分が一体となる天地一体法を行なった。聞こえる音は葉の擦れる音や風の音。陽の温かさと地の包容感を、背や腹、五感で目一杯に感じ、じぶんの五感が100%開いたように感じた。
(祠の前にて。船越さん。落ち葉のじゅうたんが心地よかった)
そして、人生で初の薪割りを体験した。実は、二泊三日の滞在中ずっと、Wara敷地内の坂道や階段の上り下りの移動で、私のふとももは悲鳴を上げることとなった。それだけ、筋肉を使っていなかったということなので、筋肉増強となり、結果オーライだ。
(薪割り。頭でなく、カラダの使い方がミソだった)
ここでちょっと私の小話を。私は2018年、小児科医の真弓定夫先生の映画「蘇れ生命の力」の自主上映会を開いていたことがある。そこに出演していた吉村助産院では、出産のための身体づくりのため、妊婦さんが薪割り等をしていると紹介されていた。
今回、自分が薪割りを経験したことで、(これを、妊婦さんが...)と一瞬思ったが、出産も身体や筋肉の使い方なのだろうと思い、身体に負担がかからないように力を入れる方法を頭で理解するのでなく、身体が体得するために行うのだと納得した。
脇を閉め、手の小指、足の親指へ力を入れ、お尻を引き締める。斧を当てる位置を決め、膝を使い、斧の力を利用すると力まずに薪を割ることができた。船越さん曰く、「薪割りの身体の使い方は、包丁研ぎや料理でまな板の前に立つ姿勢に通ずる。」。薪割り体験後、風は冷たく薄暗くなる中、身体の内側は、マグマのように温かくなる感覚があった。
(1日目の夕食。おうどんも美味しく、お腹はパンパン)
さてさて、WaRa倶楽無の楽しみの1つは、何と言っても食事。1日3食の食事は、Waraの畑で採れた野菜をメインとしたお料理。野菜の素材の味が引き立ち、まるで子どものように、無言で黙々と食べてしまう美味しさだった。毎夕食後の船越さんのお話は、彼らが日常を過ごしている地場の力も相まってか、より話の腹落ち度が増す貴重な時間だった。今回の合宿は、人数の関係で前後半2回開催され、30年以上のWaraの歴史の中で、初めて奥様であるかおりさんの見せた姿も、この合宿をより一層深いものとする要因になったのではないかと思う。
(Waraからの朝日)
起動せよ 五感がONに 蘇る
2日目は、名物ジェットコースターに始まり、ジップスライダー、ハイジのブランコ、かつては底の見えなかった池の見学など、まさに五感をフル回転させる体験をした。かつて、船越さんは、お子さんをディズニーランドへ連れ行ったことがあるが、自宅のジェットコースターに慣れていたためか、あまり感動がなかったと話されていた。人間、体験すると納得するものである。これはぜひ、Waraで体感してほしい。知らず識らずのうちに、頭の中で頑なに決めつけてしまっている概念やら常識が、パラパラと剥がれ落ちる、爽快な体験だった。
体を動かした後って、ご飯が美味しい。昼食は、昨晩作ったパン種を使用したパンを、薪窯で焼いて食べた。ふわふわで香ばしく、腹八分はとうに過ぎているが、ついついおかわりをしてしまった。
(ふっくらもちもち天然酵母パン)
そして午後は、里芋パスターに始まり、レンコン汁、梅醤番茶にごぼうジュースなど、市販の薬に頼らずに治す伝統療法や、ペアで行うお手当て法を目の前で見ながら実践した。中でもお手当て法は、言葉の通り手を当てることで身体、血が巡ったように感じた。お手当てを受けている時に心地が良いのは想像がつく。だが、不思議だったのは、お手当てをしている側も癒されたこと。ガンダーリ松本さんのなごみのヨーガ、足回しのペアワークで、する方もされる方も本当に和んだ。病の原因は、血がうっ血することで起こる。からだを緩ませ血流を流すことの大切さを改めて知り、忘れないうちに、身の回りの人にお手当てをしたくなった。
(Wara サンルーム。景色がごちそう)
最終日の朝は、サイレントウォーク(ペアになり1人は目隠し、もう1人が誘導しながら歩く)を森の中で行なった。人は目から大半の情報を入れているようで、視覚を遮断すると、一気に五感が開くとのこと。実際、私は葉を踏む足音に耳が慣れてくると、ふさふさした落ち葉の茂り具合からコロコロした小石や砂利に変わる足裏の感触が鮮明になった。一方、私のペアは嗅覚の方が鮮明になったようで、これが私の好きな森の匂いと、再認識していたとのこと。人のおもしろさは、自分とは違う感覚のあるところだと私は常々思っており、それが鮮明となる体験だった。そして、目隠しをすることは、相手を信頼し、全身を委ねること。実際、私は途中から相手を信頼しきって、寄りかかってしまっていた。
続く。
続きは、連載方式で書いていこうと思う。
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ーいま、そしてこれからも「変わらないこと」ー