まずは主食を自給する
コロナ禍の2022年1月。乾草(かんそう)の供給が止まった。
乾草とは、牧草を乾かしたもの。
餌を注文しようと飼料会社に電話したら、餌の在庫がないと言うのだ。
さらには、牧草を積んだ船が日本の港にしばらく来ないから、日本全国同じ状況であるとのこと。
つまり、他の餌屋さんに聞いても手に入らないということだ。
当時、私は馬のいる牧場で働いていた。
国産の牧草は値段が高いから、アメリカ産やカナダ産のものを購入している。
このまま馬の餌が買えないと、馬たちは飢えて死んでしまうわけだ。
真冬だったから、牧場の周りを見渡してみても、枯れ草ばかりで雑草すら手に入りそうにない。
けれど幸いなことに、この時は「ヘイキューブ」(乾草を3センチ角くらいのキューブ状に固めたもの)なら有ると言うことだったので、牧草が入荷するまでの数週間を、何とかしのぐことができた。
もう耳タコの話だけれど、私たちはかなりの割合で、食料を輸入に頼っている。
食料の流通が止まるとどうなるか。
想像して「困るなぁ」「怖いよな〜」と思うことはあっても、幸運なことに今まで実際に体験したことはない。
馬の餌が手に入らない。乾草が入荷する前に、ヘイキューブの在庫が切れたら一体どうすればいい?このときの焦燥感や不安は、いまもハッキリと覚えている。
この出来事の1年ほど前から家庭菜園を始めていた私は、これを機に真剣に食物をー特に主食をー栽培することを考え始めた。
「主食」と聞いて、お米と思う人が多いかも知れない。
でも自給しようと思ったら、家庭菜園初心者にとってお米を始めとする穀物は、ハードルが高すぎる、気がする。
仮に栽培できたとしても、食べられる状態にするまでの脱穀・籾摺りといった加工は、それなりの道具がないとできない。
1人で田植えや収穫、羽坂けなどをするのも、とっても大変そう。
そして、なにを隠そう、私はズボラ。
ということで、主食を楽に育てて収穫したい私は、ジャガイモを選んだ。
ジャガイモなら、毎年種芋を残しておいて植えればいいわけだし。
ここ千葉県なら、春作・秋作といって1年に2回も栽培できる。
そして、土の中から掘り出したら難しい加工もなく、もう即調理できるわけだし。じゃがバターは大の好物♪
しいてネックをあげるなら、穀物ほど保存がきかないことくらいかな。
さて今年(2024年)の春には、10種類のジャガイモを育てる予定だ。
どうやら、ジャガイモ栽培での1番のリスクは病気らしい。
次回の記事では、病気に強いジャガイモの品種選びについて書きますね。