![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/174104947/rectangle_large_type_2_eb4f1e772cb961a0230c5dd8cfe7b751.png?width=1200)
【小説】鋼の詩(うた) 〜現場百回〜 2-5
5.若杉の決意
その夜。
自宅に戻った若杉はデスクに向かい、新しいノートを開いた。
そして、そこに一文だけ書き込んだ。
「現場100回」
それは、福山から教わった教訓だった。
「まるで刑事ドラマのセリフみたいや…」若杉は苦笑しながらも、その言葉は何度も頭の中を巡っていた。
ノートを閉じた若杉の目には、今までの迷いが少しだけ減ったようだ。
そしてその目には、確かな決意が宿っていた。
次こそ、現場で通用する設計を──。
窓の外を見ると、遠くの工場の明かりが静かに瞬いていた。
ーーー
次回、第3章では、新規プロジェクトが本格始動する。福山と若杉、そして新たに登場する黒川美咲(32)。それぞれの思いを胸に、新たな挑戦が始まる。現場を知る者、理論を重んじる者、そしてその間で揺れる者──三者三様の視点がどんな答えを見出すのか。
次回以降も、お楽しみに!