嶺川貴子
元々は子役からスタートしている方なので、そう考えるとものすごいキャリアになる嶺川貴子さん。カヒミカリィとのFancy Face Groovy Nameとして。L⇔Rのキーボーディストとして。森高千里と同級生(「チサト」「ミネ」と呼び合う仲)で、雑誌の対談を読んで大興奮した事(千里にドラム叩いてもらおうかなと共演の話しもされていた)。ハイスピードの2ndにて客演した「Sound of Feeling」は永遠のキラーチューンのおはなし。ハル・ハートリーとの事。小山田圭吾との事。近年のより実験的なアプローチでの活動等々語りたい事はほんと山ほどあるんですが、収拾つかなくなる事がわかりきっているので、実質的なソロデビューアルバム、「Roomic Cube」(Chat Chatは企画盤的な側面があるので)から「C.C.C.」辺りまでのポリスター時代の事を。
バッファロー・ドータープロデュースによる「Roomic Cube - A Tiny Room Exhibition」は、この頃雑誌等での発言(固有名詞を幾つか挙げるとStereolab/CACIO/MOOG/スタイロフォン…)、彼女のその頃のマイブーム(使わせて頂く)達はこの作品にも見事反映されていた。奇妙なストレンジポップから室内楽風、バッファローライクな楽曲等メジャーからとんでもないものが平然とリリースされていたんですよね。各媒体がとにかく絶賛だった記憶。(因みに次は更にものすごいです)。
そのものすごい次の作品はミニアルバム、「アスレチカ」。この頃の自分のマイアイドルと言える人達がこぞってこの作品に集結していた。共同プロデュースにAsteroid Desert Songs(ADS/Ahh!! Folly Jet/スマーフ男組)、アートワークをHOI VOODOOレコードさん、アートディレクションを生西さん。ついでにこの頃、ライブではククナッケさん(ハル・ハートリーの企画盤ではデュオ名義でも参加)やDOTさんも参加されたり、アスレチカ収録の「Fabie(1,2,3, Beat It)」のMVのクレイ作りには中原昌也や宇川直宏なども確か参加していたり(主に踊ってるの嶺川さんマジアレさんコンピューマさんみんなお茶目さん)プロモーションの冊子にはロスアプソン山辺店長がテキストを寄せていたりと、最早嶺川貴子+LOS APSON周辺の皆さんによる奇跡の一枚。まずADSがやりたい放題で最高なのだけど、しかし彼等の根底にある(実験)ポップな部分を嶺川さんが絡むと更に聴きやすさが増すというマジカルっぷり。冒頭のメトロノーム+マジアレさん+嶺川さんのやりとりでにやにやさせられる。嶺川さんはヴォーカル以外に演奏もしているけれど、もしこれがインストアルバムだったらADSの作品と言える程。中盤に配置された「新型クラクション」は、前作収録の「クラクション」再録で、よりロッキンな形に生まれ変わっていて、これがある事でより最高のバランスに。クレジットによると嶺川さんはARP2600、カシオ、テープ、スタイロフォン等操っていたので、その後のADSかスマーフ男組の作品で再共演実現して欲しかった。
「Cloudy Cloud Calculator」は山本精一も一曲参加した、より洗練された一枚。「Roomic Cube」「アスレチカ」を経てここに辿り着いたのだ。山本さんプロデュースの「Milk Rock」は、時代を反映した(?)山本流の人力ドラムンベース的なトラック上を嶺川さんが軽々と乗りこなす。言うまでもないけれど、このアルバムもJ-POPとは真逆の位置にあるけれど、J-POP以上にポップな側面も随所に伺える一枚。簡潔に簡潔にを心掛けているのにいつも長くなってしまいごめんなさい。
自分のXを検索してみたらやはり色々ポストしていたのでいくつか貼っておきます。
1998年NYでのライブ映像初めて観ました。