Ze-Koo 是空
Life Force本が刊行されるって事でNuphonicやNick The Record(以下ニックさん)、pAradiceさんのMIX等をここ何日か聴いていた。その中でもニックさんのZe-KooからのMIXを改めてしっかりと聴き、改めて感銘を受けたりレンジの幅広さ、軽やかさなどなどジャズやアフロ、ハウスなんかを横断する匠っぷりに脱帽しながら、この素晴らしいMIXをリリースしたZe-Kooのカタログを今度は引っ張り出してきた。とは言えこのレーベルはなにもハウスとかダンスに特化してはいないのだけれど。
ロスアプソン店主、ヤマベさんがプロデューサーを務めていたそのレーベルZe-Kooは、カタログ数は少ないけれど(FLYING RHYTHMSやBLAST HEAD、ALTZ等をリリースしてきたサブレーベルの時空もあるけれど、是空は5作品だけなんですよね)、どれもこれもが思い入れいっぱい。まず、ヤマベ店長のフィルターを通過した作品がCDプレスされて世に放たれるというだけで嬉しくなる類いの人間なのだけど、レーベル第一弾は、そのヤマベ店長の美しい水彩画がジャケットにあしらわれた「雨」をテーマにコンパイルされた、国産アンビエントクラシックの一枚。参加面々を見てもらえば一目瞭然ですが、WOODMANやWHY SHEEP?、後述するComputer Soup、Buddhastick Transparent(先日MUSIC FROM MEMORYからリリースされた国産コンピにも収録されましたね。再評価きますように)等が雨を丁寧にクリエイト。様々な雨の形があるけれど、やはりこのコンピ全編に流れる美しい空気感を感じ取って頂きたい。長年寝る時のお供にさせてもらっている。この作品には瀧見憲司や宇川直宏、ムーチー、それから浅野忠信等がコメントを寄せていた。
2枚目は冒頭でも書いた井上薫(Chari Chari)やバロンレコード西村公輝(Dr.Nishimura/悪魔の沼)等も賛辞を寄せたNick The Recordによる一枚。タイトルに冠した「Life Force」からは、Life Forceでのプレイ/選曲をパックしたのだろうと思しき素晴らしい一枚。ニックさんは他にもここで聴ける和物MIX、それからレーベルオーナーヤマベさんが再三褒め称えているこの2本(自分もXでよく発言してる)、いつかいつか聴きたい。
3枚目は雨コンピにも参加していたComputer Soupによる、「夢と睡眠」をテーマにしたねむりの為の一枚(フライヤーには眠る赤ちゃんの写真が)。それまでの彼等の作品から伺えた流動性や即興的な側面とは異なる、より練られた作品に仕上がっている。こちらは「トータルイメージCDブック」という体裁で、ブックレットがまた大変美しい仕上がりで、雨コンピに続いてレーベルオーナーヤマベさんによるインナー画、そこに付随されたテキストを小杉武久、大竹伸朗、ヤマタカEYƎ、都築響一、浅野忠信、緒川たまきらが提供し、作品により深みを齎している。
4枚目はStomach of Gypsysによるダブワイズ感溢れる素晴らしい作品。この頃日本でもポストロックと呼ばれる、例えばサンガツやGROUPなど優れたバンドが幾つも登場しており、その系譜に名を連ねる部分もあるけれど、彼等の場合そこにダブを纏い、良い意味での緩さや軽やかさを加味したダブバンドの面目躍如とも言える風景を描き出していた。アートワークにあしらわれた動物のイラストは8Words a.k.a.文字8フレッシュさんによるもの。かわいいいい。
先日久方振りのアルバムをリリースしたTakuyaさんのオフィシャルデビュー盤は、このZe-Kooからでした。全編に流れる瑞々しさだとか初期衝動の様な、レーベルオーナーの言葉にもあったけれど、takuyaさんの「今」を封じ込めた貴重なドキュメント盤。ここには太宰ライクな側面(?)やアブストラクト/トリップホップ的なロウなブレイクス、後の作品に繋がるテクノやハウスなんかも同居した一枚。クレジットにサンクス欄があるのだけど、ここには友人知人の名前ではなく、おそらくこのアルバムに影響を与えたであろうアーティスト名が列挙されていて、それを眺めながら聴くという行為も楽しい。幾つか抜粋すると、DJ Akashi(Violaからのアルバムはインストヒップホップ国産クラシック)、ATCQ、太宰治、DJ KRUSH、Larry Heard、Silent Poets、石野卓球、杉本卓也、DJ Vadim、YMO....
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