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L?K?O「Cook Tape」シリーズを語る


覆面マスクを被り、甲高く変調させた声で奇異なラップをする特殊ターンテーブリスト。時には足で、時には舌を駆使したスクラッチも厭わない熱血スタイル。当時はDJもするしマイクを握ってのMCでもあった L?K?Oは、この頃MOODMANとのチームでスリッツ等で夜な夜なヒップホップその他諸々の実験を繰り返していた(筈)。MOODMANのDJの際にサイドMCとしたマイクを握っていた彼は、徐々にターンテーブリストとしての意識を高めていったようだ。この頃の氏は様々なジャンルの音を聴き、それらを独自に咀嚼し、DJやミックステープに反映させた結果、雑多なものに仕上がっていた。人によっては聴きにくい、とっちらかってるみたいな意見も多少なりともあったかもしれないが、自分は寧ろ逆でこの落ち着きのなさこそがスリリングでたまらなく、あー、こうゆう自由な解釈って素晴らしいなと感動すら覚えたんですよね(大まじ)。本当に夢中になってウォークマンでも繰り返し繰り返し聴いてきた。


L?K?Oが「Cook Tape」と冠したミックステープをシリーズ化し、90年代後半に4本(おそらく。Vol.5以降も存在するのだろうか?)を立て続けにリリースした。その前にも「L.K.O's Future Mix Vol.1」というタイトルでリリースもされていた様だが、こちらは残念ながら未聴(どなたかお持ちじゃないかしら…)。この「Cook Tape」シリーズの4本は、自分のミックステープ感、ヒップホップ&ドラムンベース、その他諸々に対する価値観を根底から覆してくれた稀有な作品群で、4本全て聴いた回数はとんでもない事になる程の宝物感満載(なのに昨日Vol.3を聴いていたらテープが切れてしまい、自分でも驚く程落ち込んでおり。修復出来るのだろうか)。Vol.1に関してはzineの方のコラムで少し触れているのですが、これにやられてしまったからこそ、後の3本も即買いした動機にもなった一本。その最高の流れを汲んだVol.2もまーほんとに素晴らしいの一言。今聴きながらこれを書いてますが、もう何十回と聴いてきてるけどいつだってわくわくさせられる(テープ切れませんように…)。Vol.2に関しては、おそらく人生で一番聴いたミックステープなんですよね。この頃、ミックステープのインデックスや雑誌のインタビューの発言でもあったけれど、他DJに対するスキルやレコードの扱い方等に対するわりと辛辣なメッセージを込められていた事もあったのだけど、それもかっこいいなって。


昨日テープが切れてしまった(ほんとに絶賛落ち込んでいる)3本目は、L?K?O VS MOODMAN名義の片面45分ずつ収録のスプリットミックステープ。L?K?Oは素人耳にもどんどんどんどん洗練(?)と大胆さをこれでもかと見せつけてくれる。そんな力技で捩じ伏せてくる様な、余裕と凄みすらも感じ取れる内容。一方MOODMANサイドは最高のハウスミックスを披露してくれている。KONKなんかも飛び出すし、そうだ、わたし「今」のMOODMAN氏が紡ぐディープハウスミックスを切望しているんです。


4本目、今度のバトル相手は中目黒薬局代表、農民DJ Quietstormとのお互いディスり合いスプリットミックス。サムライ代表L?K?Oサイドのキーワードは軍歌に競馬実況、ドラムンベース、ヒップホップと支離滅裂だけど異様にかっこいいんですよ。DJ Quietstormはあの頃のアンダーグラウンドヒップホップや2枚使い等2人の対比もたまらない。↓ここでDJ Quietstormサイドの触りだけ聴けますね。「The Fire In Which You Burn」も飛び出します。

とまあ入手困難な作品について長々と書いてしまい申し訳ないなと思うんですが、自分のミックステープ媒体での初衝撃のシリーズについては書き記しておきたかったんです。どこかでサクッとアップなり再発などして頂きたい、そんなミックステープクラシック群。

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