見出し画像

威力 / 1729

DJ威力のMIX群はもうずうっとiPhoneに常備されている。ある時はぬるま湯に浸って本を読みながら。ある時は眠る時のお供に。全てのタイトルを聴けているわけではないのだけど、彼女の作風や選曲の妙などには常に唸らされているし、ただただ共感という気持ちがどの作品からも伝わってくるのだ。子供と一緒に聴いても楽しめる側面も孕んでいるとも思うし、MIXという体裁ではあるけれど、コラージュ耳でも聴取可能な矢継ぎ早感なんかも威力さんの大きな魅力だと思うし、常に飽きさせない。BLACK SMOKERからリリースされていた「光速と弾炎」や、最近の新名義「1729」は、そんな矢継ぎ早な側面とは異なり、どこかコンセプチュアルな匂いが立ち込めていたりもする。と同時に、意に反しているかもしれないけれど、郷愁感みたいな雰囲気を纏ったものを根底に敷き詰めている部分そここそが特に惹かれるところなんですよね。

例えばALTZ主宰のALTZMUSICAからリリースされている「Grandpapa」。これは冒頭からその辺りは顕著で、ノスタルジー溢れる昭和ラジオから流れるニュースや諸々〜ラジオ体操等ここだけで既に心を鷲掴みにさせられる。「昼と夜」は、金魚ポリ袋に入れられた夏祭りを想起させられる昼盤夜盤2枚組MIX。「2-22-2」という作品をリリースした際、LOS APSON?にて展示もされていたんですよね。

リリースを躊躇していたという発言もあった、よりプライベート的な「スーべニール」は、タイトル通り近しい人達へのおみやげ的な作品だったのかもしれません。実際に聴いてみると、ここでもやはり郷愁がやってきたりするわけです。Pacific231(しかもTropical SongsとMIYASHIROから各1曲ずつ最高だ)やCOCCO「がじゅまるの樹」なんかも飛び出す。リリースしてくれてありがとうございますといった気持ち。「山のディスコ」は、タイトルに引っ張られた感でいっぱいですが、以前Xにてこんな発言してますね…(今年ようやく初高尾山行ったけれど、山のディスコの事完全に忘れてました)。FUTATSUKUKURI 2017 冬春コレクション「庭へ」に提供した同タイトルの「庭へ」というMIXもありました。


昨年12月、Depth of Decayより発表した1729名義での「Deux enfants sont menacés par un rossignol」。こちらは威力名義との線引きの為なのか、以前の雰囲気とはがらりと異なる作品で、Xでも書いてる様にスリリングさも際立つ新境地を垣間見た。カセットはソールドらしいですがデータでの購入は可能。

そうそう威力さんが以前「GINZA」に寄せた4枚のアルバムがあるんですが、これらからも彼女のDJとしてのユニークな視点なんかを連想させられて興味深い記事でした。Leonore Boulanger「Feigen Feigen」、Mendrugo「More Amor」、Family Fodder「Just Love Songs」、Nancy Dupree「Ghetto Reality」の4枚。X

(ところでトップ画像、威力さんのInstagramから拝借しちゃいましたごめんなさい)。

いいなと思ったら応援しよう!