絶対浮気しない男 第8話 別れの決断
「沙織、話があるんだ」
翌日、あきらは沙織を中庭に呼び出した。
「なあに?改まって」 いつもの笑顔で尋ねる沙織。 その無邪気な表情を前に、あきらは言葉を詰まらせた。
「俺...沙織との恋愛、うまくいかないと思うんだ」
「え...どうして...?」
「一途に愛し合おうとしても、俺にはまだ無理だった。ごめん...」
ぽろぽろと涙を零す沙織。 あきらも胸が張り裂けそうだったが、言葉を紡ぎ続ける。
「沙織は素敵な女の子だ。でも、俺はまだお前を愛せるほど成長してない」 「あきら君...」
「だから、別れよう。今の俺には、お前を幸せにする自信がないんだ」
震える声で、あきらは身を引く決意を告げた。 沙織は声を上げて泣き始める。
「嫌よ...!あきら君以外の人なんて考えられない...!」
「ごめん...けど、これが最後のワガママになる」 「
あきら君...あきら君...!」
すがりつく沙織を、あきらは優しく抱き締めた。 込み上げる想いを飲み込むように、ギュッと目を瞑る。
「沙織...幸せになってくれ。いつか、お前を心から愛せる人が現れるから...」 「あきら君だって...絶対幸せになってよね...」
「ああ...約束する」
緊く抱擁を交わし、二人は静かに別れを告げた。