絶対浮気しない男 第11話 策を巡らす

#創作大賞2024 #恋愛小説部門

次の日、朝のホームルームが始まる前。
あきらはいつものように親友のいおりと教室の隅で話していた。

「で、まどかから告白されたのに、なんで1週間待ってなんて言ったわけ?」
「いや、それがさ...」

あきらは昨日の聖子とのやり取りを思い出し、ためらいがちに切り出す。
「実は昨日、聖子って女子から誘惑されたんだ」
「は?誘惑って、まさかそういう意味?」
「ああ。向こうから体の関係迫ってきやがった」

あきらの告白に、いおりは目を見開いて驚く。
「お前モテモテじゃねえか。まどかも聖子も、学校屈指の美少女だぞ」
「問題はそこじゃないんだよ」

溜め息混じりにあきらが続ける。
「俺としては、まどかも聖子も両方捨てがたいんだ。でも聖子とヤッちゃったらまどかに悪いし、かといってまどかと付き合うってなると聖子とヤれなくなる」

「お前、頭おかしいんじゃねえの?普通に考えてどっちか選べよ」
「いや、待てよ。ここは男の知恵を振り絞るとこだ」

必死に考え込むあきら。
ここで天啓が降りてきた。

「わかった!俺天才!」
「は?」
「いいか、よく聞けよ。俺は絶対に浮気はしない男だ。わかるな?」

「いや、お前さっきまで両方が捨てがたいとか抜かしてただろ」
「だからそこなんだよ。よく考えたら簡単なことじゃん」

あきらは小声で説明し始める。
「3月10日の今の時点でまどかと付き合ったら、それ以降はまどか以外の女とはヤれないだろ?浮気になるからな。
でも、3月17日にまどかと付き合うことにすれば、それまでは自由なわけよ。だからその間の3月15日に聖子とヤっても何の問題もない」

「は?」
「つまり俺は浮気をしないってことなんだよ!わかったか?」

得意げに笑うあきらを、いおりは呆れた目で見る。
「お前、それ通用すると思ってんの?」
「うまくいくって。俺を信じろって」

いおりは溜め息をつきながら言った。
「お前、単に聖子とヤリたいだけなんじゃねえの?」
「ち、違うって!俺は真面目に悩んだ結果だ!」

あきらは力説するが、いおりの疑念は消えない。
なんだかんだ言って、こいつヤリたいだけだろ。
もっと言えば、まどかと聖子両方が欲しいんだろうな。

「ホント軽薄だな、お前」
「は?俺は誠実だろ!体を求められたら断れる男なんていねーよ」

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