絶対浮気しない男 第10話 刺激的な誘惑

#創作大賞2024 #恋愛小説部門

翌日、いつものようにあきらが教室に入ろうとすると、昨日まどかをいじめていた女子生徒の一人が話しかけてきた。
「ねえあんた、昨日絡んできたよね?ちょっと来てよ」

そう言って彼女はあきらの腕を引っ張り、廊下の隅に連れて行く。
そこにはさらに別の女子生徒が待っていた。

「彼女、聖子って言うの。昨日のことであんたに会いたいって」
腕を掴まれたまま、あきらは説明を受ける。

「お前、まどかの彼氏のフリしたよな。なんで?」
聖子と名乗った女子が尋ねる。
特徴的なギャル風のメイクに、スカートは制服のぎりぎりのミニ丈だ。

「別に深い理由はないけど。弱いものいじめは嫌いなだけ」
「ふーん、いい子ちゃんぶってんのね」

聖子はあきらを挑発するように、唇をなめずった。
その仕草は、あきらの目には過激にさえ映る。

「まあいいわ。それよりあんた、私とも遊ばない?」
「は?」
「私、あんたみたいなイケメン大好物なの。友達から聞いてかなりときめいちゃった♡」

そう言いながら聖子は、あきらに身体を擦り付けるように近づいてくる。
思わずあきらは息を呑んだ。
聖子の色っぽい視線と仕草、そして芳しい香りに一気に圧倒されてしまう。

「...遊ぶって、どういう意味?」
「もちろんエッチな意味よ。あんたとヤりたいの」
「は!?」

衝撃的な誘いに、あきらの頭はショートした。
まさかこんな美人にいきなりそんなことを言われるなんて。
あまりの展開に思考が真っ白になってしまう。

「もし本気ならさ、いつヤれんの?」
理性を振り絞って、あきらは聞き返した。

「今週の金曜日、放課後とかどう?学校終わったらみんな帰るしバレないわよ」
「それって、3月15日?春休み前の最後の登校日だな」
「そうそう。私の家、その日両親いないから」

恍惚とした表情で聖子は言う。
あきらはゴクリと唾を飲み込んだ。
心の中で天使と悪魔が葛藤を始める。

純粋で一途なイメージのまどか。
そして刺激的でやらしい雰囲気の聖子。
真逆の二人の女子に心惹かれるあきら。
果たしてどちらを選ぶべきか。
いや、むしろ両方選べないだろうか。

その夕方、学校から帰る途中であきらはまどかと出くわした。
「あきらくん、ちょっといい?」
「まどか、どうしたの?」
「その、昨日は助けてくれてありがとう。それで、あの...」

まどかの頬は紅潮し、モジモジとしている。
「今彼女とか、いないよね?」
「え?うん、いないけど」
「じゃあ、良かったら...私と付き合ってくれない?」

あきらの心臓が跳ねた。
まさかの展開に頭が混乱する。
昼間の聖子の誘惑もまだ頭から離れない。
咄嗟に口をついて出たのは、意味不明な言葉だった。

「えーと、1週間後の3月17日まで待ってくれない?そしたら返事するから」
「え?なんで17日なの?」
「いや、その...受験のことで頭いっぱいだから。春休みになったら改めて真剣に考えるよ」

苦しい言い訳をするあきら。
まどかは少し不思議そうな顔をしたが、うなずいた。
「わかった。待ってる」

その笑顔に送られ、あきらは家路についた。
頭の中は、聖子の誘惑とまどかの告白でいっぱいだ。
自分でも、なぜ1週間待ってと言ったのかよくわからない。
ただ、聖子とまどか、両方の女の子を失いたくないという思いだけが募る。

「俺、何やってんだろ...」
一人呟きながら、あきらはため息をついたのだった。

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