コンパスライブアリーナはなぜ失敗したのか
まえがき
ズォルヒーbotと申します。普段は音ゲーマーとしてワッカコンソールやグラウンドスライダーをしばいたり、コンパス民として雑タグで戯言を垂れ流している者です。
そんな「音ゲーマー」兼「コンパス民」の私にとって、非常に大きな出来事が昨年ありました。
それは、コンパスのキャラクターや楽曲が登場する新作リズムゲーム「#コンパスライブアリーナ」(ライアリ)のリリースです。
原作である「#コンパス 戦闘摂理解析システム」はMOBAのような要素を持つオンライン対戦ゲームです。
このゲームのプレイアブルキャラクター(ヒーロー)達はそれぞれ魅力的な世界観や設定を持っていましたが、ゲーム中でキャラクターそのものに触れられる機会はなかなかありませんでした。そのキャラクターを掘り下げる媒体として、「スクフェス」や「ガルパ」に代表されるソシャゲのリズムゲームをリリースした、ということですね。
個人的には「ソシャゲの音ゲーはもうお腹いっぱいだけど、コンパスの外伝だしやるか〜」ぐらいの軽い気持ちで始めたのですが、ライアリはそんな私の期待を何度も裏切ってくれました。悪い意味で。
本日は、このゲームのどこがダメなのかを、「音ゲーとして」「コンパスの外伝作品として」の両方の面から私の主観で語っていこうと思います。
リズムゲームとしての欠点
本作の音ゲー部分は、ソシャゲ系リズムゲームの中でも異彩を放っています。
キャラクターのダンスをバックに白い点線が流れてきて、その上にノーツが配置されています。ノーツの種類は、タップ、同時押し、ホールド、連打、フリックの5種類。画面のどこをタップしてもノーツを拾ってくれて、フリックはどの方向にフリックしてもいい、と親切な設計になっています。
音ゲーマーの皆さんには、簡易版グルーヴコースターと言っておけば操作方法は大体理解できることでしょう。
このシステム自体が悪いわけではありませんが、非音ゲーマーの方からすれば少し取っ付きにくい、馴染みのないものだと思います。主要なソシャゲ系リズムゲームは、上または奥からノーツが降ってくるのが一般的ですからね。
それ以上に問題なのが、レーンの役割を果たす白い点線です。
この点線は、キャラのダンスに合わせて縦横無尽、手前にも奥にも大きく動きます。時にはキャラの周りをぐるりと一周したり、突然一部がドアップになることもあります。これらは「演出」として見れば面白いのかもしれませんが、「音ゲーの譜面」としては見づらいだけです。
一応16分音符間隔で点が打ってあり、4分間隔の点は他より少し大きめになっています。この点を数えれば初見でもリズムを把握できますが、プレイ中にそこまで考える暇はありません。
それどころか、上の写真のようにノーツがギッチギチに詰まりすぎて何がなんだかよく分からない譜面だって存在します。ちなみにここは8分音符が6個連続しています。リズム自体は難解でもなくて曲に合っているのですが、レーンのせいで判断は非常に困難です。
この時点で、ライアリは認識難、初見難の要素が強いゲームであることが分かると思います。
しかし、このゲームには「2Dモード」があります!
このモードを選択すると、背景がニコニコ動画等に投稿されているMVや、楽曲のジャケット画像などになります。さらに上の画像の通り、レーンが太鼓の達人のような一直線のものに統一され、視認性が大きく向上します!
すごい!これで認識難とはおさらばですね!
……なんて期待していたのですが、どういうわけか2Dモードは動作がクッッッソ重たくなり、まともに遊べたもんじゃありませんでした。
背景はちゃんと動いてるのに譜面だけ10fpsぐらいになってるし、そのせいか判定も崩壊して普段は出ないGOODやMISSは多発するわでストレスフル。3Dモードの方が何回かプレイすればリズムを理解できるだけマシです。テストプレイとかしなかったんですか?本当にこのままでいいと思ったんですか?
また、このゲームには上下タップノーツというオプションが存在します。
このオプションを設定すると、通常のタップノーツが青とオレンジの2種類のノーツに置き換わります。青い方は画面の上半分を、オレンジの方は画面の下半分を叩かなければ判定されません。
これによって認識難に拍車がかかります。ただでさえ見えにくいのに、タップする場所まで考えなくてはいけませんからね。
また、上下タップノーツは最高難易度である「VeryHard」譜面にしか実装されていません。
なので「低難易度をプレイして上下ノーツの認識力を少しずつ身につけていこう!」みたいなことはできません。いきなりタップを2種類に分けられても普通の人は理解できないと思います。私も無理でした。
とまあ微妙な存在なのですが、上下タップの有無がスコアや成績に影響を与えることはありません。あくまでもオプションなので、付けたくなければ付けなくてもいいのです。そのはずでした。
楽曲の問題点
次はライアリの楽曲についてです。
現在のライアリの収録曲は、次の4種類に大別することができます。
オリジナル曲
既存ボカロ曲
オリジナル曲のカバー
コラボ曲
この4種類全てに、多かれ少なかれ問題があると私は考えています。ひとつずつ解説していきましょう。
①オリジナル曲
各キャラのテーマソングのことです。 これを執筆している2023年4月現在、本家コンパスには39体ものオリジナルキャラクターが実装されており、そのひとりひとりに有名ボカロPさんによるテーマソングが制作されています。 しかし、ライアリに39曲全部が実装されているわけではありません。本家のオリジナルキャラ追加ペースは1年に4体、ライアリのリリース後も新キャラは増えているので、これは仕方のないことです。
ライアリへのキャラ実装について、ディレクターの佐藤Dは次のように話しています。
このインタビュー記事が掲載されたのは2022年8月8日、リリースから半月ほど経過した時です。実際のところ、リリース初期の8月と9月には3体のキャラが追加されましたが、それからペースはどんどん落ちており、2023年1月と2月は1体も実装されませんでした。3月以降も月1体の実装と、目に見えてペースが落ちています。
3Dモデルやモーションの調整などかなり大変だと思いますが、このペースだと最近登場したキャラはいつになったら登場するのか心配になってしまいます。推しの不在はモチベーションを低下させる要素になるので、なんとかしてもらいたいところです。
曲というよりキャラの話題になってしまったので、話を戻しましょう。
コンパスは今までに複数のAC音ゲー(ゲーセンに置いてある音ゲー)とコラボレーションを行っています。その結果、現在稼働中のAC音ゲーには計20曲ものコンパスの楽曲が収録されています。総数の約半分ですね。1つのゲームに絞ると、「CHUNITHM」だけでも15曲も収録されています。
ここまで来ると、「コンパスの曲を音ゲーで遊べる」というライアリのアドバンテージになるはずだったものが薄れてしまいます。音ゲーとしてのクオリティでも太刀打ちできてないので、コンパスの曲を音ゲーでプレイしたいだけの人はCHUNITHMをすればいいです。
②既存ボカロ曲
ライアリには、コンパスオリジナル曲以外のボカロ曲も数曲収録されています。それぞれの曲にはコンパスのキャラによるオリジナルのダンスMVも実装されています。
ライアリはコンパスの外伝作品ですが、一部のコンパスプレイヤーだけがプレイしても収益を得られないのは運営も分かっていたのでしょう。間口を広げ、コンパスを知らない人にも遊んでもらいたいという意図があったのかもしれませんね。
ところで、ボカロ曲が収録されているスマホのリズムゲームって既視感がありませんか?
そう、「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク」です。皆さんご存知のとおり、プロセカは知名度・人気共にスマホ音ゲーの中でトップクラス。「ボカロの音ゲー」であることも周知されています。対してライアリはどうでしょう?非コンパスプレイヤーからすれば知名度が低く印象も薄いゲームです。「ボカロ曲が入ってるらしいけど、別にプロセカでいいじゃん」と思われてしまうのも無理はありません。私もそう思います
でも、ここまではしょうがないと思います。過去にやったコラボは今更覆せないし、プロセカに嫉妬したところでどうしようもないので。
③オリジナル曲のカバー
コンパスオリジナル曲の一部は原曲だけでなく、人間がカバーしたバージョンも収録されています。
またプロセカか……と思うかもしれませんが、ひとつ大きな相違点が存在します。
ライアリのカバーver.は、それぞれ別の曲として実装されているのです。
「ダンスロボットダンス」を例に挙げましょう。
同じ曲が3つありますね。ですが、ライアリでは別の曲として扱われています。上から順に、初音ミクが歌う原曲、歌い手の缶缶さんによるカバーver.、この曲がテーマソングに設定されているキャラクター「Voidoll」の声優を務める丹下桜さんによるカバーver.となっています。
この曲にはありませんが、コラボしたVtuberの方がカバーするバージョンも存在します。
このようにわざわざ分けているということで、それぞれ相違点が存在します。
1つ目は属性。「東方ダンマクカグラ」のように曲ごとに5種類の属性のうちひとつが設定されており、曲と同じ属性のカードを編成するとスコアが上昇します。所持しているカードに合わせて、よりスコアが高くなるバージョンを選ぶことができます。でもダンスロボットダンスの属性、同じのが2つありますね
2つ目は譜面です。EasyからVeryHardの全難易度において新しく譜面が書き下ろされています。
確かに凄いんですけど、同じ曲に別の譜面をつけるって難しいことですよね。歌手が違っても同じ曲なので、音ゲーに使える音は限られます。そこに2種類どころか3種類も違う譜面を用意しなければならないとなると、非常に悩ましいです。
先ほど紹介したこの配置も、そういった経緯が原因で生まれてしまったのだと思います。
この曲は、「ハイスペックニート」をVtuberの叶さんが歌唱したバージョンです。この譜面が登場する以前に「ハイスペックニート」はオリジナルver.、声優の下野紘さんver.が実装済みで、この譜面が3種類目になります。
音源や譜面が変わってもダンスは変わらないので、レーンは変更できません。リズムゲームとして成立させるために使えるリズムも限りがあります。私は譜面制作者を責めることはしないでおきます。
「じゃあプロセカみたいに音源だけ任意で変更できるようにすればよかったんじゃないの?」
おっしゃる通りです。私も疑問に感じたので、理由を考察してみました。
楽曲の追加ペースについて、佐藤Dは次のように話しています。
次に、2023年1月以降に追加された、カバーバージョン以外の楽曲を羅列します。
1月:威風堂々、Snowmix♪
2月:おねがいダーリン
3月:アリスブルー、テオ、Jam Jam、ANEMONE
4月:欲望我慢スル事ナカレ
3月は多いですが、それ以外の月は1曲か2曲と悲惨ですね……。
実際にはここにカバーver.が追加されて、1月は+7曲、3月は+2曲、4月は+3曲されます。あれ?2月は?
私の出した結論は「かさ増し」です。曲追加のたびに3DMVを制作するのは負担が大きいので、3DMVを作らなくてもいいカバー曲を増やす。あくまでも私の推測なので、実際には異なる理由があるかもしれませんが。
ただ、カバーver.ばかり実装される事に批判の声があるのは事実です。
歌い手ver.に参加している歌い手さんは、いずれもコンパスのゲーム本編に一切関わりのなかった方ばかりです。その上参加している歌い手さんは+α/あるふぁきゅん。さん、あらきさん、MARiAさん、くろくもさん、缶缶さんの5名のみで、彼らが複数曲をカバーしています。歌い手ファンを積極的に取り込もうとしているようには見えません。
歌っている人が違っても曲は同じです。「かさ増し」と言われるのも無理はないことだと思いませんか?
また、②の既存ボカロ曲にも共通する事項なのですが、曲を解禁するためには「楽曲チケット」が必要です。システム自体はどこも似たようなものがありますが、問題なのはその入手手段の少なさ。
楽曲実装時のログインボーナスとして、その時に実装された分のチケットが配布されます。これを逃すと、恒常ミッションをクリアするか課金が必要になります。しかし、恒常ミッションで入手可能なチケットはたったの8枚。今から始めたプレイヤーが無課金で全曲解禁することは不可能です。
また、有償で購入できるチケットの数も月ごとに制限があります。この状況が続けば、新規プレイヤーが曲を解禁することはより一層困難になっていくでしょう。
④コラボ曲
ライアリはこれまでに5回のコラボイベントを開催しています。その度にコラボ曲が実装されているのですが、これを解禁するのにも「コラボ楽曲チケット」が必要です。通常の楽曲チケットとは異なり、入手手段はイベント期間中のログインボーナスだけです。イベントが終了すると解禁することができなくなります。(この中にはコラボカバーver.も含まれます)
この2枚の画像に、その証拠があります。
上の画像は私がリリース初日からプレイしているアカウント、下の画像はさっき別の端末で作成した新しいアカウントです。どちらも選曲画面の初期カーソルに合わせた時点のスクリーンショットです。
「おまかせ」より上に表示されている曲を見比べてみてください。上の画像には3月に開催された叶コラボで追加された「ANEMONE」が表示されています。一方、下の画像では既存ボカロ曲の「テオ」になっており、「ANEMONE」は表示すらされていません。未解禁の曲には左に鍵のマークが付いているので、扱いが異なっていることが分かります。
前述の通り、コラボ楽曲チケットはイベント終了後は入手不可能なので、わざわざ表示しても意味がないと言いたいのでしょうか。
解禁不可能な楽曲の中には、鏡音リン・レンコラボで実装された「右肩の蝶」「おこちゃま戦争」「劣等上等」、不知火フレアコラボで実装された「グッバイ宣言」などの超有名なボカロ曲も含まれます。そもそもグッバイ宣言は不知火フレアさんの曲ではない
また、2022年8月の葛葉コラボと2023年3月の叶コラボについても語るべきでしょう。葛葉さんと叶さんは共ににじさんじ所属のVtuberで、ユニットを組んでいることからこのお二方のファンも共通している事が多いです。
葛葉コラボでライアリを始めたけどイベントが終わったからアンインストールした、でも叶コラボをやると聞いてもう1回インストールした、という方も少なくなかったでしょう。しかし、葛葉コラボの曲をやりたいと思ってもプレイするどころか画面にすら表示されません。キャラのセリフを聞く事ができる「楽屋」にもロックがかかって入れなくなっています。
「データ連携しておけ」という正論が飛んできそうですが、葛葉コラボ終了当時ライアリにデータ連携機能はありませんでした(現在は実装されましたが)。詰みです。
この手の音ゲーでコラボイベントがあった場合、コラボ限定ガチャは期間限定でも曲は後から解禁できることがほとんどです。楽曲のプレイが期間限定の場合でも、最初から期間限定であることが明記されています。
しかし、ライアリにはその明記すらありません(少なくとも私は見たことがないです)。しかもコラボ中に解禁したプレイヤーはイベント終了後もコラボ曲をプレイ可能なので、かなり理不尽だと感じます。
強制マルチプレイ
タイトル通りです。ライアリに恒常のソロプレイモードは存在しません。
正確には「練習モード」というのがあるのですが、ソロプレイになる代わりにスコアは記録されず、報酬も一切ありません。無いに等しいと言っていいでしょう。
ライアリは、選曲画面で曲を選んでからマッチングするシステムを取っています。これが原因かは不明ですが、このゲームではエラーが頻発します。エラーが発生するとホーム画面に戻されてもう1回選曲し直さないといけません。それで終わったらいいのですが、酷いときは延々とエラー落ちして一切プレイできなくなります。最近だと叶コラボイベントが始まった時にアクセス集中の影響かエラー地獄になりました。折角のコラボで人を集めても遊べないならすぐやめてしまうでしょう。
また、一部のプレイヤーは特定の曲だけずっとエラーで遊べない、というのも聞いたことがあります。
エラーが起きなかったとしても、マルチプレイ故にラグが発生します。音ゲーにおいてのラグは、無反応や音ズレといった結果をもたらします。これがフルコンボやAP狙いの時に起きたら……想像しただけで恐ろしいですね。しかもライアリではソロプレイに逃げることすら不可能です。音ゲーとして売り出す気はなさそうですね。
(2023/6/1追記)
申し訳ございません、大事なことを書き忘れていました。
他の多くのソシャゲ音ゲーと同様に、判定強化スキルや「マルチプレイ時にマッチングしたプレイヤーのカードスキルが発動する」機能がライアリにも存在します。この2つが存在する事で、「マルチプレイでAPしたけど他人の判定強化スキルが発動したせいで本当にAPしたとは言えない……」とモヤモヤする事があるかと思います。
他のゲームならソロプレイすればいいだけの事ですが、ライアリにはマルチプレイしかないので逃げられません。それに他人のスキルを確認する方法がプレイ中のスキルカットインしかないので後から確認する必要があります。やっぱり音ゲーとして売り出す気はなさそうです。
(追記部分終了)
総括
ここまで読んで、音ゲーとしてのライアリにどのような印象を持ちましたか?
私の感想としては「多種多様なスマホ音ゲーの中からわざわざこれを選ぶ意味が見いだせない」。
スマホ音ゲーは非常に種類が多く、最近では「D4DJ Groovy Mix」のようにソシャゲでありながら音ゲーとして非常にクオリティの高いゲームも存在します。その中で、わざわざライアリを選ぶ意味とはなんでしょうか?操作方法が好みならグルコスが、ボカロ曲を遊びたいならプロセカという高すぎる壁が立ちはだかります。音ゲーとしての側面だけを見るなら、ライアリをプレイする意味はありません。
「コンパス」と「ライアリ」
次は「コンパスの外伝作品」としてのライアリを見ていきましょう。
今まで散々に言ってきましたが、あくまでもライアリはソシャゲです。売上に直結しない音ゲー部分より、キャラゲー部分を充実させた方がいいに決まっています。
褒めるところだってちゃんとある
今までボロクソに言ってきましたが、キャラゲー面を見ればちゃんといいところだってあると思います。今からいくつか例示していきますね。
①ストーリーの実装
最初に言った通り、コンパスのゲーム内でキャラが掘り下げられる機会は多くありません。あったとしてもキャラ調整やシーズンイベントのフレーバーテキスト程度で、安定した供給とは言えないものでした。
そこで、ライアリにはストーリーが実装されています。内容としては、キャラ同士の交流がメインです。コンパスのキャラはそれぞれ異なる世界観を持ち、「魔法少女アニメの主人公」と「妻に先立たれた孤独な殺し屋」と「レトロゲームに登場する勇者(しかもローポリ!)」が同じライブアリーナに共存しています。そんな彼らの価値観の違いや異色なキャラ同士の交流が、ライアリのストーリーの見どころです。
②オリジナルの新衣装が登場
本作のキャラクター達のデフォルト衣装は、ライアリのために新しく書き下ろされたものになっています。どれもキャラ達の設定と「ライブ」が調和した魅力的なものになっていますね。
また、ストーリーイベントで登場する星5カードにも新たな衣装が付随しています。本家コンパスでオリジナルのコスチュームが追加されることは限られていたので、更に嬉しい要素です。
③豊富なボイス
ストーリーこそフルボイスではありませんが、ライアリにはそれ以外の場面で豊富なキャラクターボイスが実装されています。
キャラ達が待機している「楽屋」を訪れると、彼らは様々なセリフを喋ってくれます。セリフは時間帯限定のものや季節限定のもの、さらにプレイヤーが設定した誕生日を祝ってくれるセリフもあります。しかもオリジナルキャラだけでなく、コラボキャラにも限定ボイスが多数収録されているのは驚きました。
ストーリーが増えない
さて、褒めるのはこの辺りで終わりにします。何故先に褒めたのかと言うと、その内容が欠点に繋がってくるからです。
というわけで、タイトル通りストーリーの話をします。
ライアリのストーリーは「個別ストーリー」と「イベントストーリー」の2種類があります。順に説明していきましょう。
「個別ストーリー」は、キャラクターを個別に掘り下げていくストーリーです。リズムゲームの報酬で得られる「ヒーローメダル」というアイテムを個別に集めることで解禁されます。
個別ストーリーについて、佐藤Dは次のように話しています。
確かに個別ストーリーはアップデートで追加していく、と書いてあります。しかし、リリースから9ヶ月経った現在まで、個別ストーリーの2話以降は一度も追加されていません。
また、仮に追加するとしてもその解禁方法が問題になるかもしれません。
この画像は「楽屋」画面です。ヒーローメダルを一定数入手すると、下にある報酬を入手できるようになっています。必要量はステップが進むにつれて多くなっていき、現在は1ステップあたり最大で1200枚も必要です。ブーストを10消費して1回プレイすると、貰えるメダルは(曲にもよりますが)最大50枚ほど。非常に長い作業になります。
個別ストーリーの1話目は、20ステップ目の報酬に設定されています。そして現在は200ステップまで実装されています。仮に個別ストーリーの2話目が追加されたとき、201ステップ以降まで進めないと読むことができないのかは気になるところです。
次に「イベントストーリー」。これはその名の通り、イベントで追加されるストーリーです。
イベントストーリーの追加ペースについて、佐藤Dはインタビューで簡潔に一文で答えています。
全然そんなことはありません。
いえ、確かに2022年11月までは毎月ストーリーイベントが開催されていました。しかしそれ以降開催されたストーリーイベントは、2023年2月の「ギャリギャリバレンタイン」だけです。今年に入ってから、1回しかイベントストーリーが更新されていないのです。
そもそもイベントの開催頻度自体も減少しています。当初のライアリでは、ストーリーイベントに加え、コラボイベントなどの「ストーリーが実装されないイベント」も月1回程度行われていました。合わせて月2回あったのが、12月から月1回になり、とうとう(開始日を基準にすると)イベントが1回もない月まで出てきました。それが今月、2023年4月です。
そもそも「ソシャゲの音ゲー」というジャンル自体のシステムは、イベントをコンスタントに開催することが前提となっているように思います。イベントの開始と同時に新カードや新ストーリーを実装しているのですから、イベントがなければ何も始まらないのです。現在のライアリは、その根本的な部分を疎かにしています。
コンパス民から見たライアリ
少し話は逸れますが、重要だと思ったので書きます。主観的な内容が多くなりますがご了承ください。
ライアリは「#コンパス 戦闘摂理解析システム」の外伝作品です。コンパスは6年以上サービスを続けている人気ゲームで、多くのプレイヤー(以降「コンパス民」と呼称します)に愛されています。
彼らがコンパスを遊ぶ理由は、キャラクターだけではありません。ゲーム性そのものに惹かれたり、ゲームを通じた交友関係を築いたりと、その楽しみ方も千差万別です。なので、当然キャラへの興味が薄いコンパス民だっています。彼らはキャラゲーであるライアリのことをどのように感じているのでしょうか?
……などと偉そうに言いましたが、私自身も「キャラへの興味が薄いコンパス民」です。全く興味が無いといえば嘘になりますが、どちらかと言えばライアリを音ゲーとしてプレイしたくてインストールしました。そんな私のライアリに対するスタンスは、ここまで読んでくれたあなたなら察しがつくかと思います。ズォルヒーbotはライアリにかなり批判的です。
だから、というと語弊がありますが、非ライアリプレイヤーの方も、私と似たように感じているか、あるいは全くの無関心だと思います。
その根拠については、少し長くなります。
コンパスは毎月下旬に「TEPPENバトル」という公式大会を開催しており、ニコニコ動画とYouTubeでその模様を生配信しています。そして試合終了後には「コンパスニュース」というコーナーが始まり、コンパスのグッズやリアルイベント、そしてゲーム内最新情報が発表されるのが恒例となっていました。ライアリのリリース以降、グッズ・リアイベ情報とゲーム内最新情報の間にライアリの告知が割り込む形になっています。ライアリに興味がない人にとっては、待たされる時間が増えてしまったのです。
また、2022年10月の放送では、リアイベ情報とライアリ情報のみ告知され、コンパスの最新情報は一切ありませんでした。前も何度かこんな事はあったのですが、ライアリのリリース以降は初めてです。そのせいかは知りませんが、何故かライアリにヘイトが向きました。完全にとばっちりです。
コンパス民の民度がどうこうは置いておいて、興味のない人からすればライアリはこの程度の存在なんだ、というのが分かるかと思います。
実力勝負!スコアランキング
「ライアリはイベントが少なすぎる」という話をしましたが、あくまでも従来のスマホ音ゲーで一般的な、いわゆる「マラソンイベント」についての話です。
ライアリはそれに代わるイベントとして、新たなシステムを実装しました。
それが「実力勝負!スコアランキング」です。最近はストーリーイベントに代わり、こちらの開催回数が増えています。
しかしこのイベント、ライアリ最大の問題といっても過言ではありません。
本項では、スコアランキング(以降「スコラン」と呼びます)の概要と問題点を洗い出していきましょう。
スコアランキングとは
簡潔に言うと、リズムゲームの上手さを競うイベントです。
毎回1曲だけ課題曲が指定され、その曲のみイベント専用のソロプレイモードが解放されます。それをプレイするとPERFECTが3点、GREATが2点に換算され、この点数の合計がスコアとして反映されます。期間中はスタミナさえ消費すれば何度でも挑戦することができ、ハイスコアを狙ってたくさんプレイすることが求められます。
ランキングは全難易度共通ですが、VeryHard譜面の上下ノーツ有りを選択した場合、自動的にスコアが+50点加算されます。
また、ランキングは全参加者のスコアを上から10%刻みで分類する仕組みです。最終的に上位〇割のランク帯に入っているかで報酬量が決まります。
その他、ランキングとは別にイベント期間限定のミッションも開催されています。内容は課題曲のいずれかの難易度をフルコンボするというもので、クリアすると難易度に応じた称号を入手できます。
報酬の問題
スコランの報酬は、ガチャチケット以外はどれもイベント限定のものです。アバターパーツやノーツスキン、そして衣装が含まれます。それもライアリ衣装の色違い、本家コンパスで実装されている別衣装の2種類。
色違いは上位50%、別衣装に至っては上位10%に入らないと貰えません。
前述の通りスコランは「リズムゲームの上手さ」を競うイベントなので、これらの報酬はリズムゲームが上手くないと入手不可能です。
これの何が問題がって、今まで追加された衣装はガチャを引くか、イベントを走るかすれば入手できたのです。ガチャには天井があり、過去のイベント衣装も有償アイテムを使用すれば入手はできるので、お金さえあればなんとかなりました。
ところがスコランは、音ゲーが上手くないと衣装が手に入りません。ライアリのプレイヤーは、音ゲーが苦手だけど推しキャラのストーリーや新規イラストを期待している人が多数派です。
また、ランキングは全難易度共通というのも拍車を掛けています。ライアリは視認性こそ難がありますが、譜面の難易度は決して高くありません。そのせいで衣装が欲しくても、Very Hard譜面ができない人はスタートラインに立つことすら難しいのです。
そして割合制というランキングの仕組みにも懸念があります。
ライアリはそもそもユーザーが少ない上、それも減少傾向にあります。こんなクソイベやってるせいユーザーが減ると、それぞれのランク帯の人数だって減ります。おそらく衣装を貰えるプレイヤーはどんどん少なくなっていくはずです。
採点システムの問題
報酬に問題があればそもそものシステムに問題がある、問題だらけのイベントです。
まず、VeryHard譜面の上下ノーツ有りを選択した場合、自動的にスコアが+50点加算される点。ノーツ数は変わらないが無しより有りの方が難易度が高いので、理にはかなっています。
しかし、上下ノーツはあくまでもオプションで、どちらでもいいものだったはず。上位を目指す上でそれを強要されるというのは少々疑問です。
次に、以下の画像を見てください。
今月のスコランの課題曲「パラレルレイヤー」のVeryHard譜面のリザルト画面です。同じ曲の譜面をプレイしたはずなのに、コンボ数が違いますね。
これは連打ノーツによるものです。ライアリの連打は、譜面ごとに既定の打数連打すればコンボは繋がりますが、そこから更に連打した場合もその分コンボ数とスコアが加算されます。太鼓の達人の連打と風船を足したような仕組みです。
この連打は、スコランでは全てPERFECTとして処理されます。打数が1回増えるたびに3点になります。
先程の画像をスコランのシステムで採点すると、上が1596点、下が1610点になります。下の方が精度が悪いのに、点数では勝ってしまいました。
スコランは究極の連打ゲーです。
精度が多少悪くても、連打さえ多ければどうにかなります。
はっきり言って、「リズムゲームの上手さを競うイベント」としては破綻しています。ゲームの特徴をよく考えずにプロセカからパクったのがいけなかったですね。
端末によって連打が入りやすい、入りにくいということもあるので、端末ゲーでもあります。
ただ、これがある種の救済措置と化している現状もあります。上下ノーツ有りで加算されるスコアは50点なので、17回以上追加で連打すれば追い抜くことができるので、上下有りを選択する意義は減ります。連打のシステムが改善されたら、推しの衣装を入手できず泣きを見るプレイヤーが増えてしまうかもしれません。
存在自体の是非
「ガルパ」「プロセカ」「グルミク」など、ソシャゲの音ゲーでリズムゲームの上手さを競うイベントは過去に何回も開催されています。
しかし、それらはゲームのスケジュールとは別のリアルイベントだったり、ゲーム内で開催されても報酬が存在しないか決して多くはないものでした。
ライアリの場合、他のイベント回数を減らしてまでゲーム内で開催し、しかも限定の報酬が大量にあります。過去の事例とは状況が全く異なると言っていいでしょう。
また、運営の態度も問題があります。
スコランイベントは、2022年12月に「β版」と銘打たれて初回が開催されました。当時からシステムはほとんど一緒で、変更された要素は別衣装が報酬に追加されたことぐらいです。
その後の2023年3月、遂に正式なイベントとして開催されてしまいます。いきなりストーリーイベントを潰して月2回です。
これには多くの批判がありましたが、何も悪びれずに4月現在、第3回を開催中です。
それどころか、Google Playストアには「4月は零夜シーズン」とまで書かれています。コンパスのシーズンイベントと同列に扱うつもりです。
シーズンイベントは本家コンパスのメインコンテンツで、ここでの成績によって大会の出場権が得られます。また、ランキング報酬は限定アイコンや実戦では何の効果も持たないネタカードなど、あくまでも称号のようなものです(それでもカードの入手ハードルは低い)。シーズン期間限定ミッションでは、7日間バトルアリーナでバトルするだけで衣装を入手できます。
「称号」と「衣装」というとライアリのスコランにもありますが、その入手手段はひっくり返っています。もし逆だったら、スコランへの批判もちょっとは少なかったかもしれませんね。
それでもこんな批判まみれのイベントを毎月恒例にするのは無理があります。
そもそもストーリーイベントを潰してまでやることではありません。
先程も言ったように、ストーリーイベントは本作で一番期待されていた要素が結集したものです。
スコランにはストーリーもないし、新カードが登場しないので収益だって得られません。ただでさえ問題だらけなのに、ただでさえ売上が落ちているのに、利益が得られないのであれば運営だって損であるはずです。
そこまでしてスコランを続けて、何の意味があるのでしょうか?
おわりに
「ライアリは何故失敗したのか」なんて高尚なタイトルですが、実際は不満と文句を感情的に叩き付けただけになってしまいました。申し訳ございません。
ただ、私は虚偽の情報を言ったつもりはありません。キャラクターやストーリーの追加頻度の遅さ、スコアランキングの実態などは現実に則したことを書きました。
私は正直に言うと、リリース前からライアリに対して批判的で、そこまで期待していませんでした。ですが、ライアリはただでさえ低いハードルを越えることができませんでした。越えるどころか、ハードルをしゃがんでくぐり抜けようとして失敗しています。
ここからライアリが逆転して覇権ゲームになるとは考えていません。むしろ早々にサービス終了してコンパスの黒歴史になるとさえ感じています。
コンパスは好きなので、せめて黒歴史から脱却する程度にはがんばってほしいです。
ここまで長い記事を読んでくださりありがとうございました。初めてなので拙い部分だらけだと思いますが、是非どこが拙かったかをコメント欄で教えてください。
参考資料
#コンパスライブアリーナ |スマホゲーム
タイトル画像を引用させていただきました。
【#ライアリ】待望のリリース!はやしP&佐藤Dに開発秘話とVTuberコラボの狙いを訊く【#コンパス】
記事内容を一部引用させていただきました。
その他、「#コンパスライブアリーナ」のゲーム画面のスクリーンショット画像を使用しています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?