マグリットになりたかったので、実際になってみた
ルネ・マグリット作『人の子』とは
作品になろうと思った。私が。
「ハァ?」というご意見ごもっとも。
まぁ、順を追って説明するので、そう焦りなさんな。
『人の子』の作品名は知らなくても、絵は見たことがある方が多いんじゃないでしょうか。これです。
象徴的な山高帽と顔前の青リンゴ。
マグリットは、普通のものを描いているのにどこかに不自然なところがあって、鑑賞者を不安にさせるような独特の魅力があります。ありませんか?ほら、だんだんあなたにもそういう風に見えてきたはずです。
絵が特別上手いとは言い切れないけれど、この描かれたトリックを生み出す発想力が私は大好きなのです。
余談ですがここまで来たらついでに『暗殺者危うし』って絵も検索してみてほしい。登場人物の誰の視点から見るかによって、状況が全く違うように見える仕掛けが施されていて最高です。
なぜマグリットになりたいか
「自分らしいnoteのアイコンを作りたい…」
と連日、頭の隅でそれとなく考えていました。
誰かが作った物は嫌だな、かといって自分で作るのも無理だな、などと連日思考が迷宮入り。
しかし、晩御飯を食べ終わって食器を片付けていたら突然
「そうだ!マグリットになろう!」
と思いついた。
神の啓示かと思った。
これなら予算をかけなくても自分のスーツと夫のネクタイとシャツでいける。買うのは山高帽とリンゴくらいだ。休職中の身、お金はないが時間はいくらでもある。
マグリットはこの作品をセルフ・ポートレイト、つまり自画像だと言っているらしい。
ならば作ろう私流のセルフポートレートを!
ポツネン氏の山高帽に憧れて
20年ぶりに私の推しに返り咲いたラーメンズ、小林賢太郎氏のPotsunen『 ポツネン氏の奇妙で平凡な日々 』Chapter7「セルフポートレート」内に明らかにマグリット風の描写が出てきます。
▲これを見たときはなぜか悔しい、してやられた!と思った(何様)
※再生するとマグリット風のシーンから始まります。
小林賢太郎の舞台によく登場するのが山高帽。ボーラーハットとかダービーハットともいうらしいです。上記動画の帽子は高さがあってまた違った種類だと思いますけれども。
▲山高帽といえばこういうヤツ。
ほら、あまりの格好良さに欲しくなってきたでしょう?(それはハット自体の魅力もさることながら着こなしている小林賢太郎自身の魅力だとも思う)
私は「あの人とおんなじ帽子じゃなきゃイヤアァ!買って買って買って!」と叫びながら転がりまわって、華麗に激しい駄々をこねました。見事2600円で密林から入手しました。意外と安い。
青リンゴは生ものじゃなくて紙粘土で
さてここからようやく作り方の説明です。
まずは青リンゴを作ろう!
生ものの青リンゴは私には小さすぎて顔が隠せないので却下。誰ですか?今「お前の顔がデカいからや」と言ったのは。廊下に立ってなさい。
【用意するもの】
発泡スチロール
紙粘土
アクリル絵の具と筆
フェイクグリーン
はさみ・カッター※全部100均でそろいます。
▲どうしたって映えないブルーシートの青さと画角は見逃してください。
▲まずリンゴの芯材を作ります。
発泡スチロールの芯材が大きかったので、顔がギリギリ隠れる理想の大きさまで削っていきます。粘土で隠れるので雑で大丈夫です。
▲その後、紙粘土で肉付けしていきます。
上と下をへこませてリンゴの形っぽく仕上げます。だいたいでいいんです。ちなみに紙粘土は片桐仁さんご愛用の『パジコ』です。安くてたくさん入ってます。
▲紙粘土が乾燥したら色塗りへ。
▲マグリットのポスターとにらめっこしながら、アクリル絵の具を塗っていきます。油彩っぽく見えるよう、あえて筆跡を残しました。よきかなよきかな自画自賛。
▲最後にポトスのフェイクグリーンを5枚分を残してカットして、
穴をあけた上部中央に差し込めば完成。案外簡単です。
オレ・マグリットの完成
そして夫のシャツとネクタイを拝借、自分のスーツを着て、開封したての山高帽を装備し
完成したのがこの写真!
ディティールとか完成度とか体型は気にしないでください。
やる気を買ってくださいやる気を。
あまりにもリンゴだけ写真映えしすぎて、合成したように見えますが、本当に作ってます。
▲リンゴが合成画像に見えないように手で持ってみたバージョンも撮りました。
偉そうに言えば、もっと森村泰昌さん的な完成度を目指したかった。
けど大満足です。私はやりきった!
さて、どうやって顔の真ん中にリンゴが浮かんでいるでしょうか?
その答えは…
リンゴの裏側に刺したガリガリ君の棒を噛んでるからです。
撮影時、紙粘土の重さに口元プルプルしてます。
この撮影に付き合わされた夫の気持ちを考えると可哀そうで涙がでます。食後急に「マグリットになりたい!」と叫ぶ嫁をもった苦労、お察し致します。いつもご協力ありがとうございます。
ブルーシート1畳の中で、制作費約3000円、協力者1名、撮影時間30分。
これで私は42歳にしてようやく『人の子』になれました。
サポート…?こんな世知辛い世に私をサポートする人なんていな…いた!ここにいた!あなたに幸あれ!!